はじめに
先日参加した「こども食堂オープンデータ・アイデアソン&ハッカソン ーUDC2024ー 〜地域×データで課題解決チャレンジ〜」について報告させていただきます。このイベントは、「認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」さんが主催し、埼玉県のこども食堂のオープンデータを活用して社会課題の解決に取り組むものでした。
3行まとめ
- アイデアソン&ハッカソンに参加して、子ども食堂の課題から解決のアイデアを出してプロトタイプを作ったよ
- Tableauを使えば子ども食堂オープンデータを簡単に可視化できることを知ったよ
- Project PLATEAUとは日本全国の都市の3Dモデル化プロジェクトであることを知ったよ
もくじ
イベント概要
会場の雰囲気
アイデアソン&ハッカソンで取り組んだ内容
他チームの取り組み
結果(成果と今後の展望)
Tableauを使えば子ども食堂オープンデータを簡単に可視化できる
未来を感じるProject PLATEAU
イベント概要
- 開催日:2024年12月21日(土)・22日(日)
- 【事前勉強会】11月22日(金)
- 会場:武蔵野銀行本店ビル内 M's SQUARE
- 主催:認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
- 参加者:エンジニア、非エンジニア、こども食堂関係者、支援団体、自治体関係者など約50名
◾️当日のスケジュール
1日目:12月21日(土)
10:00〜 オープニング(埼玉県庁よりご挨拶)
10:10〜 ハンズオン(tableau)、技術紹介(PLATEAU)
12:00〜 休憩
13:00〜 チームビルディング
14:10〜 アイデアソン
15:55〜 メンターから各チームへのアドバイス
16:25〜16:30 クロージング、終了
2日目:12月22日(日)
9:30〜 アイデアソンの復習、確認
10:00〜 プロトタイプ制作
14:50〜 各チーム成果物発表
15:40〜 審査、講評
17:00〜 懇親会
会場の雰囲気
M's SQUAREは、大宮駅西口から徒歩5分とアクセスが良く、毎日9:00から17:00まで開放されています。
子供たちが走り回れるほど会場も広く、明るく開放感がある雰囲気は一人でゆっくりしたい時でも大人数のイベントでも使い勝手が良いと感じました。
コワーキングスペースや休憩スペースとして事前予約不要で無料で使用できるということなので、また使ってみたいと思いました。
アイデアソン&ハッカソンで取り組んだ内容
課題の背景
- 子ども食堂運営者は寄付(食材等)を受けた際、支援者に対して活動報告書の作成が必要(基本的には)
- 報告書のフォーマットや送付方法が支援者や中間支援団体ごとに異なり、作業負担が大きい
- 子ども食堂・支援団体もデータの管理が効率的でないこともあるため、必要な情報にたどり着くのための手間が大きい
提案したソリューション
- ノーコードツール(kintone)を活用した報告書作成もできる統合プラットフォーム
- 支援者・中間支援団体・子ども食堂運営者が共通して利用できるシステム
- UIや入力形式の共通化による作業効率の向上、報告書作成の負担軽減を実現
- データの一元管理(寄付情報、備品在庫管理)
- 通知機能によってメッセージの見逃しが減り、すぐに連絡を返すことができる
- コミュニケーション機能でメッセージのやり取りもしやすい
- 今後のやりたいこと
- レシピ管理
他チームの取り組み
学生と子ども食堂のマッチングアプリ
- 課題:人手不足、若い人材が少ない、若い人が参加するきっかけがない(若い人に情報がタイミングよく届いていない)
- 提案したソリューション:子ども食堂と学生ボランティアをつなぐマッチングアプリ
- アプリで学生ボランティアを集められる
- 就活活用や単位認定に利用可能なボランティア証明の発行
- 全国の子ども食堂との連携
- 企業協賛を募り、ボランティア学生にクーポン等を配布
ユーザーフレンドリーな情報提供マップ
- 課題:こども食堂がどんなところか分からないことが多くて不安(こども食堂への心理的障壁)を無くし、「行ってみたい」という気持ちを増やしたい
- 解決策:運営者の想いを重視した情報発信(基本情報や活動内容のほかに、運営者さんの想いを可視化する)
- 位置情報活用による利便性向上(自身の現在地に近い場所を上位に表示)
- 情報のアイコン表示により一目で分かる
- 運営者コメントやアンケートなどオープンデータになっていないものを連携
子ども食堂の活動状況の「見える化」 [VIZZIES(エキシビション枠)]
- 課題:こども食堂の活動状況を見える化(活動実績収集をより簡単に、二次利用可能な形にする)
- 解決策:参加者からなるべく簡単にデータを収集できる仕組みを構築し、閲覧アプリ上で開催実績情報を見られるようする
- ユーザーフレンドリーなアンケート設計(開催実績データを収集するため、ターゲット(参加者)にあわせた簡単な情報収集アンケート)
- Tableauによる分かりやすい可視化(収集したデータをTableauを使ってわかりやすく、グラフなどで表現)
- 子ども食堂オープンデータへの提言
- データの土台をしっかりすべき(機械判読生を意識する)
- 一度採番した子ども食堂のIDは絶対に変わらないユニークなものとするべき(都道府県コード+食堂ID=全国でユニークなID)
- データの土台をしっかりすべき(機械判読生を意識する)
結果(成果と今後の展望)
優勝は「ユーザーフレンドリーな情報提供マップ」を作成したチームでした!👏
こども食堂への心理的障壁を無くすというコンセプトはとても良いと思いました。
私は実際に子ども食堂に行ったことがないので、このアプリを使って近くの子ども食堂に行ってみたいです。
「学生と子ども食堂のマッチングアプリ」は良い人材が集まるかなど課題はまだあるかも知れませんが、未来に繋がるアイデアが詰まっていてぜひ開発を続けて欲しいと思いました。
オープンデータ活用のエキスパート「チームVIZZIES」のプレゼンも聞けて大変勉強になりました。
- 特に「オープンデータを作成する場合には今後色々な人に活用されることを考えてむやみやたらに作るのではなく、機械判読生を意識することや共通のユニークなIDにすることなど共通のルール整備も合わせて推進していかなければならない」という部分
残念ながら我々のチームには賞は頂けませんでしたが、アイデアを煮詰めていく中で、報告書作成の中でやらなくても良い作業が見つかり、その作業を省いても良いと関係者からの確認も取れました。
それを聞いた子ども食堂の代表の方からの「今回参加して本当によかった」という言葉は、賞を頂くよりも嬉しかったです(プロダクトを作り込まなくても、プロセスやルールを見直したり、変えることで解決できることもある事を知りました)。
また、一緒にアイデアソン&ハッカソンに参加した「SARAちゃん食堂」の活動報告を見させていただいて、子ども食堂への熱意や支援者への感謝の気持ちが伝わりました。この思いが支援先に伝わり、支援の和が広がって行っているのではないかと思いました。
今回、活動報告の大切さを改め知ることができたので、私もイベント等に参加した際はQiitaで活動報告をしていきたいと思います。
成果と今後の展望
このハッカソンでは、技術を活用した具体的な解決策が多く提案されました。特に:
- 子ども食堂の報告作業等の運営効率化により本来やりたい事へ注力ができる
- 若い世代の参加促進による子ども食堂の発展
- 子ども食堂の情報の可視化による理解促進と参加障壁の低減
- 子ども食堂の活動状況データの利活用の促進
今回得られた知見を活かし、今後も社会課題の解決に向けて技術面からの貢献を続けていきたいと考えています。また、他チームとの協働可能性も探っていきたいと思います。
(追記)「アーバンデータチャレンジ2024」に作品の応募も検討したい
Tableauを使えば子ども食堂オープンデータを簡単に可視化できる
Tableauを使えば子ども食堂オープンデータを簡単に可視化できることを知りました。
しかも無料で(Tableau Publicを使えば)
Tableau Publicで子ども食堂オープンデータを簡単に地図上に可視化する方法(8ステップくらいでできました)
1.子ども食堂オープンデータを取得しておく
子ども食堂のデータは埼玉県オープンデータポータルサイトから取得できます(さすが埼玉県!※データは少し古いらしいです)
https://opendata.pref.saitama.lg.jp/datasets/478
2.Tableau Publicにログインする(アカウントがなければ作成する)
3.新しいワークブックを作成し、データに接続画面に子ども食堂のデータをアップロードする
4.「基本情報」をドラッグ&ドロップする
5.「分析」タブの「計算フィールドの作成」から「国」「'日本'」のデータを持つフィールドを作成する
※子ども食堂オープンデータに「国」に関するデータが無いため、追加する
6.「国」のデータフィールドを右クリックし、「地理的役割」→「国/地域」を選択
7.同様に「都道府県」、「市区町村」、「住所」のデータフィールドを右クリックし、「地理的役割」を選択それぞれ選択
※これらのデータは子ども食堂オープンデータに存在するので、地理的役割を付与するだけ
※住所については「地理的役割」で「群」を選択する
8.「国」、「都道府県」、「市区町村」、「住所」と「名称」やその他表示させたい項目をダブルクリックすれば自動的に地図上に子ども食堂の位置がプロットされ、マウスカーソルを当てれば情報が見られます
※子ども食堂オープンデータに緯度・経度情報が存在するため、Tableauが地理情報と名称などを自動で紐付けしてくれます。
未来を感じるProject PLATEAU
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PLATEAUは、国土交通省が様々なプレイヤーと連携して推進していて、日本全国の都市の3Dモデルを整備したり、オープンデータとして提供したりしているそうです
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より詳しい情報を知りたい場合は、PLATEAU公式サイトをご覧下さい
- さいたま市も面白い取り組みとして、「3D都市モデルを活用したマイクラのワールドデータ」を公開しているそうです(楽しそう)