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Tech Designという会社でCTOをした。

Last updated at Posted at 2020-09-27

はじめに

私は、2020年の2月から8ヶ月間、株式会社Tech Designという会社でCTO(最高技術責任者)をしていました。
(役員ではなく、株式などは持たない業務委託契約なので、アルバイトみたいな感じですが。)
うちの大学では、10月からは研究室に配属されることになっているので、そちらに専念しようと思います。

CTOという立場を経験して、そこで得たもの、成し遂げたこと、感じたことをまとめます。
力を入れて書いた内容なので、多くの人の目に止まることを祈っています。

CTOとしてどんなことをしたのか

最初に僕がこの会社に話を聞きに来た時は、会社では、ボランティアのマッチングプラットフォームを作っていました。
しかし、その事業はあまりうまくいかず、導入企業数は0でした。
また、プロダクトもSESの方が中心となっていて、社内のエンジニアにノウハウは一切残っていない状態でした。
創業から1年半頃でしたが、事業もチームもノウハウも肩書きも何一つない会社でした。
その会社の創業者と話をして、僕にはCTOとしてこの会社に入って、社内のチームをリードして、BCPに関連する新規プロダクトを構想し実装ほしいという話をされました。

そして、そのBCP事業の立案のために、外資系大手コンサルティング企業でBCPを経験していた方を紹介していただき、本当に長い期間をかけて議論につきあっていただきました。

その結果、僕は、BCPやサプライチェーンの管理をし、災害情報を収集する総合的な防災プラットフォームを構想し、実際のUXと機能要件に落とし込みました。

ビジネスモデルの構想や機能要件の定義だけでなく、経営戦略、開発戦略、採用戦略、営業戦略、チームの構築、主要OKRとKPIの選定、技術選定、サービス説明資料作成など、事業に関わることの全ての裁量をいただきました。

当然今年は大学3年生で、本業の学業も忙しく、やらなければならないことが多すぎて目が回るような日々でした。
頑張りすぎて体調を崩したり、手を抜こうかと思ってしまうような時もありましたが、チームに支えられていたので、なんとか頑張れました。なんだかんだ毎月200~250時間程度は稼働していました笑。
モダンな技術や僕の思想が優秀な学生やエンジニアの方々に刺さったのか、採用は非常にうまくいき、すぐに10人まで人数は増えました。とても仲がよくて楽しい会社になりました。
「全力で楽しむけれど、緊張感を忘れない」という弊社の行動指針の一つは、僕ではなくメンバーの一人が言ってくれたものですが、本当にその通りの会社になりました。
僕が作ったというよりは、チームがそうしてくれた気がしています。

結果的には、 Resilire のプロダクトをリリースし、小さいピボットなどもありながら事業を進めていくことができました。

幸運にもチームメンバーの全員に(きっと)信頼していただいたので、全ての裁量をもって積極的に取り組ませていただいたので、本当に楽しかったし、得るものも多かったです。
主体的に挑戦して成果を出す場として、最高のステージを用意してくださり、僕を信じてついてきてくれた、Tech Designのメンバーの全員に本当に感謝をしています。
本当に本当にありがとうございました。

CTOとして目指した世界線

とにかく僕は、「人が成長する場所」にしたいと思っています。
これは、一般論としてそこに所属している人が成長しない企業は企業としても成長していくポテンシャルがないと考えられると思っています。
特にTech Designの場合は、大学生が特に中心になっていました。何も知らなくてどんなことでも吸収できる年代が集まっているのだから、この会社を人生の分岐点になるようにしたい。
僕の価値観を共有して、大きく社会に貢献できるような人材になってほしい。そして僕もそうなれるような分岐点にしたいと思っています。

また、「人が成長する場所」といっても成長の観点というのは、たくさんあると思いますが、中でもエンジニアとしての「技術力」と、「主体性」の二つの観点にフォーカスしていました。

技術力にフォーカスする理由

これは、主体性にも繋がる話なのですが、
技術力そのものが重要というよりも、「苦労して困難を乗り越えてでも達成したいと思える目標」を掲げ、それに向かって努力をして積み上げる。
そのプロセスが、人生を豊かにする
のではないかと考えています。

なので、エンジニアであれば、(LINE, mercari, DeNAなどの)メガベンチャーと呼ばれるようなIT企業に就職しても、その中で上位層に入っていけるような人材になることを目標とするのが妥当なのではないかと思っています。

また、僕を含めて大学生は数年後には大学を卒業します。その時には、新入社員として社会に出ることになります。
就職先で活躍できるくらいの実力が備えられていれば、本人だけでなく、IT業界全体の成長にもつながります。
そうすることで、業界全体の発展に寄与していただきたい。という想いもあります。

その二つの観点から、僕は、「技術力」が成長させられる会社にしたいと思っていました。

主体性にフォーカスする理由

主体性というのは、僕が生きてきて一番大切にしているテーマです。
Tech Designのメンバーなら耳にタコができるほどこの単語を聞いてきたと思います。

これは、僕の
これまでやったことないことに全力で取り組むこと。 それだけが人生を豊かにするきっかけになり、これまでになかった理念と価値観を作り出す。
という考えに基づいています。
その細かい理由については、
https://riita10069.github.io/aboutme/post/first-post/
こちらの記事で語っているので、ぜひ読んでほしいです。

人が成長するために重要なのは

意思決定の数

人が成長するために必要なのは、意思決定の数の多さです。
自分が心の底からこれがやりたいと感じたことに挑戦する。そのプロセスとそれによって得られた結果によって反省をする。それを繰り返すことで人は学習します。

例えば、「この技術を導入した方がいいと思う」と提案したが、僕や他のメンバーから否定されてしまったらどうでしょうか。
その時点で、成長する機会を1つ失います。
それが続くとついには提案してもどうせ採用されないと思い、成長する機会が一切無くなります。

そのために企業ができることは、全員に裁量権を与え、何事もメンバー自身が考えて決められる環境づくりです。
そのような環境のことを僕は全員がリーダーのチームと呼んでいます。

僕が作ったのは、「全員がリーダー」のチーム

よくある誤解として、「リーダーとは一つの組織に一人か二人いればいい」と思っている人がいます。
しかも、その人たちは、リーダー以外の人は自分の主張を強くしてはならず、リーダーにやれと言われたことをやればいいと思っています。そのほうがトラブルが起きないためにパフォーマンスが高いと考えている人もいます。

僕がいつも言っている「仕事は人に与えられるものではなく、自分で生み出すもの」という価値観と全く逆です。
結論から述べると、組織に一人のリーダーがいるチームよりも、全員がリーダーのチームの方が圧倒的に高いパフォーマンスが出せます。

まず、僕のいうリーダーというのは、「チームとして成果を出すこと」を「自分の意見が採択されること」よりも重視している人を指します。
その前提において、リーダーが何人いようと、人と人がぶつかって、トラブルになるなんてことはありません。

また、一人をリーダーにおくチームの場合は、
リーダー以外のフォロワー立場に立つと、(言われたことをこなすだけですので)チームとして成果を出すことを最優先事項にするのは難しく感じます。
成果を出すことに主眼が向いていても、個人としての成果を最大化することになるのではないでしょうか?
現実問題、ほとんどのフォロワーは、ただ指示に従い、成果の責任は全てリーダーのものであると考えてしまいます。
そうすると、自分のモチベーションはなくなり、強いて言えば報酬を受け取ることになるのではないでしょうか?

その結果、当然チームとしての成果は出なくなります。

逆に、本題の「全員がリーダーのチーム」について考えます。
全員がリーダーのチームとはいえ、僕はCTOを担当していたわけで、役職上のリーダーがいないわけではありません。
役職上の責任者である僕は最終的な顧客体験に対して、全責任を追っています。
しかし、役職上の責任者とリーダシップというスキルは全く別のものです。
他のメンバーは役職がないからと言って、僕の指示を待ち、与えられた業務を遂行するというのとは大きく異なっています。

僕たちは全員、自分の関わるプロジェクトについて必要な実装や仕様について把握していて、どのように分担し進めていくかについて積極的に話し合いをします。話し合いにおいても、自分が合意形成をリードするという意思があります。
話し合いで得られた結果だけにフォーカスする人はいません。

僕がどれだけある機能の必要性について説明しても、チームメンバーはそれを採用するかしないかについて自ら考えます。
採用されないことも多々ありましたが、「なぜこの意見を取りいれなかったのか」について聞くことはありますが、その判断を批判したことは一度もありません。
僕は、どの技術や仕様を採用し、逆にどれを採用しないのか。それを一人一人のエンジニアが自分で考えて、動いて、意思決定することを求めました。

チームメンバーが僕の言った通りに動くと思えば、自分の影響力を考えてからでないと発言できなくなります。先週リリースされたGCPの機能を使ったら?なんて気軽に言えなくなります。
チームのマネージャーであろうがが、 株主だろうが、どんなに偉い人がどんなに強く意見を言っても、それを指示とは受け取らない。あくまでも意見だと受け取る。
そういった文化を作ることに成功していました。
弊社の行動指針に、「配慮はするが遠慮はしない」というものがあります。これも、僕ではなくチームのメンバーから出たフレーズなのですが、メンバーからこのようなフレーズが出てくるということは、本当の意味で全員がリーダーのチームが作れていたのかなと思います。
少なくとも、役職上のリーダーである僕に対して遠慮をするメンバーはいなかったんじゃないかなって思います。

また、僕たちは誰にも指示されなくても、主体的に新しい技術を導入しようとします。
常に技術に対して高いアンテナを立てていて、先週リリースされたバージョンで追加された機能の実装を検討します。
全員がこういった主体的で成果を出すことに拘っている組織を作ることに成功したと思っています。

どのようにして、全員がリーダーの組織を作ったか

まず一つは、マイクロサービスアーキテクチャによる責任の分割があると思います。
サービスを細かくマイクロサービスに分割することで、自分の開発しているサービスに関与する人数が少なくなるので、そのサービスに対して一人一人が責任を持つようになりました。

弊社の文化として、マイクロサービスに星の名前をつけていくのですが、自分の開発しているマイクロサービスについている星の名前に愛着が沸くってメンバーが言っていたのも、責任の分割に成功している証なんじゃないかなと思いました。
また、マイクロサービスにつける名前に関しても、出来るだけ僕ではなく、開発担当者が自分達自身で決めるように促していました。そのほうが、責任感とリーダーシップが生まれると考えたので。

また、技術領域に関しても、分断して、担当を割り振るようにすることで、技術に対してもリーダーシップを発揮して、積極的にキャッチアップ、布教活動を行なっている様子が伺えました。

KubernetesのCustom Controllerオタクの〇〇君がいつも語っているとか、ジョブの運用したいから誰々に聞こう。自然言語処理のことは誰々に聞こう。
のような感じですね。

他には、
全ての業務について、なんでそれをやるのか。どのような背景で、そのような経営的な意思決定をしたのかについて、PRDという自作の書式に従って、ドキュメントを徹底して書きました。
これによって、メンバーが全ての業務に理由を持っていて、自分の頭で考えて取り組むことができるような環境を作っていました。

この会社だけでなく、世界中の全ての会社がこのように全員がリーダーになれるような会社であって欲しい。
まさに、僕の願う世界中の人が主体的に挑戦することができる世界線にたった10人だけれど、なれていたと思っています。
そして、この記事を読んでくれた人が少しでもこういった価値観になって欲しいと思います。

成長する人の特徴

繰り返しになりますが、成長する人の特徴の一番は主体的な人です。
具体的に言えば、

  • 人に言われる前に自分から気になった技術をキャッチアップする人
  • 調べろと言われる前に過去の事例を調べ新たな価値を提案できる人

そういった、仕事は人に与えられるものではなく、自分で生み出すものという価値観が定着している人は成長します。
これが一番重要なことです。

そしてもう一つが現状に満足しないことです。
現状に満足したらそこからは一切成長しません。
僕が本当に成し遂げたいことはなんだったっけって考えるとまた熱が湧いてきます。
僕は、

  • 最先端の技術を使って、これからの新しい時代を作りたい。
  • 世界中の人が主体的に挑戦するような世の中にしたい。

って少し大きすぎる目標を掲げて現状に満足せずに貪欲にやっていきます。

目標に対する執着心が強くて、高みを目指し続けられる人。
そんな人が成長できる。常に現状に不満を言っていいるくらいの人の方がいい。
どんなに売り上げを伸ばしている会社で、どれだけいい待遇を受けていても、現状に満足しない人。事業としても個人としても、もっと上を目指し続けられる人。
そんな人こそが、本当に成長する人、これからの時代を作っていく人なんじゃないかなって思っています。

Special Thanks

繰り返しになりますが、株式会社Tech Designに携わった全ての方に心の底からの感謝を申し上げます。

そして、Tech Designの開発メンバーのみんなへ、
池尻大橋のアパートに毎日泊まって、夢中で開発を続けた日々はきっと僕らの一生の宝物になると信じています。本当に楽しかったです。
それぞれ新天地が決まってきていますが、どんな会社や研究室に行っても、主体的に新しい技術のキャッチアップをして、リーダーシップを発揮し続けてほしいと願っています。

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