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【初心者向け】Amazon Kinesis Video Streams WebRTC SDKのJSサンプルをEC2にデプロイする手順

Last updated at Posted at 2021-05-05

1. この記事の内容

WebRTCを勉強中の初心者エンジニアです。
前回は、WebRTCの仕組みを調査しました。今後はハンズオンとして、Amazon Kinesis Video Streams WebRTC(以降、KVS WebRTC)でWebチャットアプリを作っていきます。
今回は、KVS WebRTC SDK(JavaScript)のサンプルをEC2にデプロイして動作確認したので、その手順をまとめます。

この記事で触れる内容は以下です。

  • Amazon Kinesis Video Streams WebRTCの使い方
  • EC2でWebサイトを公開する方法
  • WebサイトのSSL化の方法

2.Amazon Kinesis Video Streams WebRTCとは

フルマネージドのシグナリングサーバー、STANサーバー、TURNサーバーを提供しています。
また、クライアント側のSDKも公開されています。ブラウザ向け(JavaScript)、組み込み用途(C言語)、iOS/Androidアプリ向けのSDKがあり、用途に合わせて利用できます。
詳細は公式ドキュメントをご覧ください。

3.構成イメージ

AWSリソースと、KVS WebRTC SDK(JavaScript)のサンプルを使って、下図のようなサービスを構築します。

WebRTC0005.png

4.前提

AWSコンソールで作業します。AWSアカウントを作成していることを前提として進めます。

5.手順

RTC0017.png

Webサイトの公開

1.Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)でWebサーバーを構築する

下記サイトの手順に従ってEC2を起動し、Apacheを入れてWebサーバーを構築します。

2.EC2にサンプルプログラムを配置する

Webサーバーに、クライアントのサンプルプログラムを配置します。

まずは、KVS JavaScript SDKのリポジトリをクローンします。
AWSコンソールからEC2に接続した状態で、下記コマンドを実行します。

sudo yum install git-all 
git clone https://github.com/awslabs/amazon-kinesis-video-streams-webrtc-sdk-js 

サンプルのままでは、kvs-webrtc.jsが参照されずエラーになるのでindex.htmlを書き換えます。
下記コマンドで、index.htmlを開きます。

cd amazon-kinesis-video-streams-webrtc-sdk-js/examples
vim index.html 

開いたら、下図赤枠内のように書き換えて保存します。
code.png

次に、下記コマンドで、クローンしたフォルダ配下のサンプルプログラム(HTML、css、jsなど)を/var/www/html/配下に配置します。

cd amazon-kinesis-video-streams-webrtc-sdk-js/examples
sudo cp app.css favicon.ico loader.css createSignalingChannel.js index.html   master.js viewer.js app.js /var/www/html/

最後に、ブラウザからWebサイトにアクセスして確認します。
ブラウザにEC2の「パブリック IPv4 アドレス」を入力します。
下図のページが表示されれば、Webサイトの公開完了です。ページに入力する値は、次項の手順で取得します。
page2.png

KVS WebRTCの設定

KVS WebRTCのシグナリングサーバー・STUN/TURNサーバーを利用するには、以下2つが必要です。

  • シグナリングチャネル
  • AmazonKinesisVideoStreamsFullAccess権限のあるIAMユーザー
1.KVSのシグナリングチャネルを取得する

AWSコンソールで「KVS」と検索して、KVSの画面を表示します。
画面左側のメニューから「シグナリングチャネル」を選択し「シグナリングチャネルを作成」を押下します。
画面右上のリージョンは「ap-northeast-1」にします。
signal2.png

次の画面で、「シグナリングチャネル名」に任意の名前を入力して「シグナリングチャネルを作成」を押下します。
signal3.png

2.Identity and Access Managemenen(IAM)ユーザーを作成する

AWSコンソールで「IAM」を検索します。
IAMの画面左側のメニューの「ユーザー」を選択し、「ユーザーを追加」を押下します。
ユーザー詳細の設定で以下を入力して「次のステップ」を押下します。
ユーザー名:任意の名前
プログラムによるアクセス:チェック
IAM2.png

アクセス許可の設定で、「既存のポリシーを直接アタッチ」を選択し、「AmazonKinesisVideoStreamsFullAccess」を選択して「次のステップ」を押下します。
IAM3.png

タグの追加は何も指定せず、「次のステップ」を押下します。
確認画面で、「ユーザーの作成」を押下します。
最後に「.csvのダウンロード」を押下して、アクセスキーID、シークレットアクセスキーを保存しておきます。
IAM4.png

これで、KVS webRTCの利用準備が整いました。
が、まだ、ビデオチャットはできません。HTTPS通信でないと、ブラウザからカメラデバイスへアクセスできないからです。

WebサイトのSSL化

構築したWebサイトをHTTPS通信で配信するように変更します。
Route53で取得したドメインを使ってAWS Certificate Manager(ACM)で証明書を取得し、証明書をElastic Load Balancing(ELB)に適用します。ELBとEC2を紐付けてインターネット-ELB間はHTTPS、ELB-EC2間はHTTPで通信します。(下図)
onfla.png

1.ドメインを取得する

以下のサイトの手順に従ってAWSコンソールでドメインを購入します。

2.証明書を適応してSSL化する

以下のサイトの手順に従って、ELBに証明書を適応し、Webサーバーと紐付けます。
https://dev.classmethod.jp/articles/aws-web-server-https-for-beginner/

これで、ブラウザからカメラデバイスへアクセス可能となりました。

通信テスト

最後にPCを2台用意して、通信の確認をします。

1.サンプルページのフォーム入力

下図に従って設定値を入力します。
ページ3.png

1台目のPCで、「Start Master」を押下します。
2台目のPCで、「Start Viewer」を押下します。
下図のように両者の映像が表示されれば成功です。
sample1.png

オフィスと自宅など、NATを超えた通信でも30分以上問題なく利用できました。

6.まとめ

Amazon Kinesis Video Streams WebRTCSDK(JavaScript)のサンプルをEC2で動かしてみたので、その手順をまとめました。
次回は、C言語版の実装をしてみたいと思います。

おまけ.サンプルコードの確認

動作確認ができたので、コードを覗いて処理の概要を確認します。

JSファイルの処理概要

サンプルのJSファイルは、それぞれ主に以下の処理を担当しているようです。

  • APP.js・・・画面の更新などMaster、Viewerの共通処理。

  • createSignalingChannel.js・・・シグナリングチャネルを利用するためのオブジェクトを作成する。

  • Viewer.js・・・Viewer側の処理。シグナリングチャネルに接続する。RTCPeerConnectionを生成して、offer SDPを送信する。Masterのメディアを受信したら画面に表示する。

  • Master.js・・・Master側の処理。シグナリングチャネルに接続する。
    offer SDPを受け取ったらRTCPeerConnectionを生成してanswer SDPを送信する。Viewerのメディアを受信したら画面に表示する。

主要なクラスやAPI

【KVSWebRTC.SignalingClient】
SDPの送受信や、ICEcandidateの送受信など、シグナリングの処理を行うクラス。

例.ICEcandidateの送信

signalingClient.sendIceCandidate(candidate);

例.ICEcandidate受信時の処理

signalingClient.on('iceCandidate', candidate => {
    peerConnection.addIceCandidate(candidate);
});

【RTCPeerConnection】
ピア間の接続の開始や、保守や監視などをするメソッドを提供するAPI。
例.相手のメディアを受信した際の処理

peerConnection.addEventListener('track', event => {
    console.log('[MASTER] Received remote track from client: ' + remoteClientId);
    if (remoteView.srcObject) {
        return;
    }
    remoteView.srcObject = event.streams[0];
});
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