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中古のサーバを買って学んだこと

Last updated at Posted at 2017-03-18

この文章は個人の私見であり、また内容に誤りが存在する可能性があるので、
なんらかの行動をなさる場合には、十全な調査の上ご自身の判断で行ってください。

■ はじめに

性質上サーバは高価な製品です。ですが中古では非常に安く感じます。
ですので、個人でちょっとなにか遊んでやろうと中古のサーバを購入し、結果すったもんだしました。

万一にも同じことを考えている方がいたら、万一にも同じ轍を踏まないよう、雑多に書き連ねていきます。
内容はハードウェア的なものです。ソフトウェア的な内容はほとんどありません。

なおすったもんだした結果、たとえ新品を高く感じたとしても、中古を非常に割安に感じたとしても、
できることならば新品を購入することが一番望ましいということに、あらためて思い至りました。

■ メモリについて

▼ メモリの種類について

メモリの種類は、おおよそ次の区分ができます。

● バッファレジスタがついているか

『バッファレジスタ』が何者なのかは割愛しますが、早い話メモリの障害を起きづらくする仕組みです。バッファレジスタがついているメモリの方が一般的に高価であり、また高価なサーバにしか取り付けできません。

バッファレジスタがついているメモリは、RegisteredメモリとかRDIMMなどと呼ばれることがあり、また規格の最後にRがつくことが多いです。バッファレジスタがついていないメモリは、UnbufferedメモリとかUDIMMなどと呼ばれることがあり、また規格の最後にE(またはU)がつくことが多いです。基本的に互換はありません。

なおかつてはFully Bufferedメモリ(FB-DIMM、規格の最後にFがつく)などというものも存在しましたが、見かけなくなって久しいです。

● ECCがついているか

『ECC』が何者なのかは割愛しますが、早い話メモリの障害を起きづらくする仕組みです。サーバ向けのメモリには、ほとんどの場合ECCがついています。聞くところによるとECCは無効化することができるらしいのですが、基本的に互換はありません。なおECCがついていないメモリは規格の最後にUがつくことがあります。

中古で買ったサーバを動かしたとき『Correctable memory error has been detected in memory slot DIMM3』などというログを見かけたことがありましたが、これはECCがメモリの誤った情報を検出して修正してやったぜということらしいです。

少々余談になりますが、一般向けのメモリはECCなしが普通なので、ECC付きメモリを買ったけど普段使ってるパソコンに差しても認識しなかったよ!という悲しい話を何度か見たことがあります。

● 消費電力

(最近のDDR4では消費電力の標準が変わったようなので、これはDDR3以前に限ります)
旧来メモリは1.5Vが標準であり、省電力な1.35Vのメモリはちょっとだけ特殊でした。省電力なメモリは規格にLが入ることが多いです。例:通常→PC3-12800(DDR3-1600), 省電力→PC3L-12800(DDR3L-1600)など
聞くところによると1.35Vのメモリは1.5Vと互換性が存在する場合もあるらしいのですが、そういう互換性は期待しない方が幸せになれると思います。

● メモリの物理的な大きさ

ノートパソコンなど小型化が要求される用途のSO-DIMMと呼ばれるものと、通常サイズのものがあります。
聞くところによるとSO-DIMMを通常サイズに変換するアダプタのようなものがあるらしいですが、基本的に互換はありません(物理的にも)
サーバでSO-DIMMを使うことは基本的にないと思うので、今回はこれ以上触れないことにします。

少々余談になりますが、強いてさらに大きさで区分するならば、ロープロファイルかそうでないかです。SO-DIMMか否かは言わばメモリの長さの違いですが、ロープロファイルか否かは言わばメモリの高さの違いです。ロープロファイルか否かは唯一どちらでも良い要素だと言えます。(物理的に高さの余裕があるならば)

● ちょっとまとめ

サーバで使用されうるメモリにはECCがまずついています。
高価なサーバのメモリにはバッファレジスタがついています。安価なサーバにはついていません。
ときどき省電力なメモリがついている場合があります。
基本的にこれらの機能の有無は、互換性がないと考えた方が幸せになれると思います。

メモリにはおおよそ以下の分類があります。PC3-12800を例にすると

規格 バッファレジスタ ECC 省電力
PC3-12800R はい はい いいえ
PC3L-12800R はい はい はい
PC3-12800E いいえ はい いいえ
PC3L-12800E いいえ はい はい
PC3-12800U いいえ いいえ いいえ
PC3L-12800U いいえ いいえ はい
PC3-12800 調べよう 調べよう 調べよう

使用できるメモリの規格というのはCPUに拠るので、IntelならばXeon系のCPUはECC付きメモリを使うといった認識で基本的に間違いありません。たとえば下掲のリンク(『Intel Xeon E3-1240L v3』の製品仕様ページ)を見ても、メモリの仕様が明記されていることがわかります。
https://ark.intel.com/ja/products/80912/Intel-Xeon-Processor-E3-1240L-v3-8M-Cache-2_00-GHz

なおバッファレジスタがついているけどECCがついていない、というメモリはまず扱う機会がないだろうので、ここでは無視します。
ちなみにヒートシンクがついているECCつきメモリは、まず間違いなくバッファレジスタつきメモリである気がします。

▼ メモリについて学んだこと

新品で買うと当然バッファレジスタつきメモリの方が高価なのですが、搭載する容量が大きくなればなるほど中古で買うならばむしろバッファレジスタつきメモリの方が安価な場合があります。これはバッファレジスタつきメモリを搭載するようなサーバは、メモリを大量に積むことが多いため、中古市場に流れる数も多くなるからなんじゃないかなと思っています。(逆にバッファレジスタなしメモリを搭載するようなサーバは、メモリを大量に積むことが少ない。もとよりバッファレジスタというのはメモリを大量に積むための仕組みであるため)

またサーバのメモリの差し方(何番目のレーンに何GBのメモリを差す組み合わせが良いなど)はマニュアルに基本載っているので、メモリの差し替えないし増設を検討する段階で、あらかじめマニュアルのメモリの差し方を一読しておいた方が幸せになれると思います。(サーバ筐体の蓋の裏面に記載されていることもあります)

可能であるならば、必要な枚数を同じところから1度に購入することが望ましいです。たいていメモリのロット番号が同じになるためです。いままでロット番号が異なるメモリを使って困ったことは実はありませんが、それでもメモリのトラブルを抱える可能性はなるべく低くしたいので……。

■ ストレージについて

ここでは記憶媒体はHDDのみを扱います。ほかには触れません。

▼HDDについて学んだこと

ここではSATAとSASのみで考えます。それ以外の端子でHDDに接続するようなサーバは買わない方が幸せになれると思います。

さてSATAとSASですが、言ってしまえばSASはSATAの上位互換です。接続端子的にも物理的に、SASの端子はSATAのHDDにも差せますが、SATAの端子はSASのHDDには差せません(あくまで接続端子としてSASがSATAの上位互換であるというだけで、SASのHDDをSATAの端子に指すことはできません!)
RAIDカードやマザーボードがSASに対応しているならば、無理矢理SATAの端子をSASに変換しても認識する場合がありますが、そのへんしっかり調べずに自分がやったらやっぱり認識しませんでした。

HDDの中古品ないし新古品を購入するにしても、SASは出回っている数量がまず少ないですし、出回っているのも容量の小さく高価なものがほとんどです。私見ですがHDDは新品/3.5インチサイズ/SATA端子のものを買うのが一番良いように感じました。2.5インチサイズのSASな製品を買うとなると、故障したときの苦労が大きくなりそうなので。購入するHDDのサイズ/容量/接続端子が統一されていると、きっと機器間で取り回しがしやすくなるはずです。
(少々余談になりますが、個人で使うパソコンであるならば、ストレージのメーカーを統一することにはメリットがあります。というのも各メーカーが配布しているストレージに関するソフトウェアは、そのメーカーの製品でないと対応していない場合があるからです)

HDDのスロットが少ないけれど何となくHDDをたくさん入れたい!などと思ったとき、3.5インチサイズのマウンタに2.5インチサイズのHDDを2台乗せられるアダプタを買ってつけようと考えた時期が僕にもありました。ですがHDDの台数が多くなり必然的に故障しやすくなる一方で、よりHDDの交換をしづらくするような、やるせない構成になってしまうことに何とか気付けたので回避しました。

いろいろ考えてみると、やはり可用性の高い、記憶領域を提供するのに特化した筐体がほしくなるものです。なりますよね? ですがHDDの集合住宅のようになっている筐体は、保障もとっくに切れているような中古品だと、HDDが1台壊れだすと次々に他のHDDも壊れる印象があります。というのも、そういう筐体には同一ロットのHDDが積んであって、更にそれぞれのHDDに均一に書き込もうとする賢いコントローラが積んであるからです。保障期間内の素晴らしい信頼性は、いっそ全く望まないほうが幸せになれると思います。

▼ RAIDについて学んだこと

RAIDを組みたいと思ってあれこれすると、ホットスワップやホットスペアを試したくなるものです。なりますよね? ですので、ホットスワップやホットスペアが可能な筐体を購入した方が楽しめると思います。

当然ながら**RAIDは冗長性を確保するための1つの手段であって、たとえばRAIDカードがふっとんだら全く復旧できなくなる可能性があります。**ですので、中古で買ったような機器には大切なデータを入れないか、筐体内で物理的に冗長性がとられているものを選ぶか、レプリケーションできる筐体をもう一台用意するか、baculaやamandaのようなバックアップサーバを立てておきたいところです。

■ CPUについて

▼ CPUについて学んだこと

数回機会がありましたが、意外と交換や増設は問題なくできました。ソケットが2つマザーボードにあるのに、1つは使っていないなどという筐体がしばしばありますが、保障も切れているしどうとでもなれという感じならば、試してみる価値はあると思います。忘れがちですが大切なのは、予めちゃんとグリスを用意して、丁寧に拭いて丁寧に塗って、しっかりとヒートシンクを固定することです。なおCPUに関する文量が短かいのは、そのぶん苦労が小さかったからです。

■ そのほかのことについて

▼ サーバの設置について学んだこと

● ラックサーバは、基本的にオーディオラックに乗りません

たいてい、ラックサーバはレールをつけて前後で固定することを想定していますが、オーディオラックは耳のような金具で前面だけを固定することを想定しており、後面が固定できなかったり奥行きが合わなかったりするためです。なおノイズは思ったほどは乗りませんでした。ファンがうるさいですが……。

● 筐体は小さいに越したことはありません

個人でサーバを使うに当たって、サーバは大きくて重いものという常識を、なんだかんだで受け入れられることができませんでした。

● どうやってもサーバはうるさいものです

サーバルームで感じる倍はうるさいです。冷静な判断が求められます。

● サーバは電気代がかかります

750Wの電源が冗長化されて2口とかよくあります。実際にはその半分も使っていないことが多いとは思いますが、それでも常時起動が前提なサーバを導入するにあたって、電気代を考慮しないわけにはいきません。消費電力も忘れてはいけない要素です。

● UPSはあったほうがいいです

落雷などによる電力供給の瞬断は、時折ながら確かに存在します。

▼ サーバの各部品について学んだこと

● ライセンスの扱いに困ります

ライセンスも部品のひとつなのでここで触れますが、しばしば不明瞭になるライセンスがあります。となると、そのライセンスは放棄せざるを得ません。保守が残っていた場合も同様です。

● サーバの部品は専用品です

特にラックサーバだと顕著なのですが、ケーブル1本にしても、そのへんで買い漁ったものだと短すぎたり長すぎたりします。もう一度言います。短すぎたり長すぎたりします

製品名は同じだけれどよく見たらパーツナンバーが違っていて、とりあえず使う分には問題ないけれど、一部機能だけがエラーになって使えなかったなんてこともありました。ですので多少費用や手間や時間が掛かったとしても、そのサーバのパーツナンバーを調べて、それを購入すべきです。

一番良いのは、必要な部品が可能な限り揃った状態のものを買うことです。つまり新品でCTOが一番。
ちなみに新品で買うお金はありません。

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