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連載の構成
- この記事は、マネジメントについて一人で考える Advent Calendar 2022の連載記事です
- 1記事目から読んでいただいても良いですし、気になる記事から読んでいただいても問題ありません
- 全25回分の構成は、次の通りです
- 第1〜6回:ドラッカーの『マネジメント』を中心に解説します
- 第7〜13回:『図解人材マネジメント入門』を中心に解説します
- 第14〜22回:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を中心に解説します
- 第23〜25回:私の経験談を中心に、まとめに入ります
報酬とは
- 人材マネジメント6項目のうち2番目は、報酬です
- 報酬とは何でしょうか?
- こう聞いたときに、多くの方が真っ先に浮かぶのは"給料"というお金でしょう
- また、"やりがい"といった、目に見えないものも報酬と言えるでしょう
- これらはどう分類できるでしょうか?
- また、これら報酬はあればあるだけ良いのでしょうか?
内的報酬と外的報酬
- 報酬には2種類あります
-
内的報酬
- 仕事そのものから生まれる報酬
- 例)仕事のやりがい、社会貢献感、成長の喜び等
-
外的報酬
- 外から与えられる報酬
- 例)役職、給与、社会的な地位等
- これらは性質が異なるものです
- どちらが良い悪いというものではなく、どちらも重要です
内的報酬
- おさらいですが、内的報酬とは仕事そのものから生まれる報酬です
- ITエンジニアに例えると、
- コードを書くのが好きで、好きなことやりながらお金貰えるなんて天職だ
- バグの再現が取れた時、すごく嬉しくなる
- 自分が開発したシステムを、喜んで使ってもらっているのを見ると嬉しい
- 等の経験が内的報酬と言えるでしょう
- 内的報酬の特徴は、存在することによって、プラス効果がある性質のものです
- 参考図書では、内的報酬について次のように説明されています
あると満足につながります。研究者ハーズバーグはこれらが「動機づけ(モチベーション)」の要因だと言っています。
引用:図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
外的報酬
- おさらいですが、外的報酬とは外から与えられる報酬です
- ITエンジニアに例えると、
- 大きく昇給して、年収がXXX万円になった
- 部長に昇進して、社会的な地位が高くなった
- スペシャリストを任せられて、スキルレベルの高さが認められた
- 等の経験が外的報酬と言えるでしょう
- 外的報酬の特徴は、不足していることによって、マイナス効果がある性質のものです
- 参考図書では、外的報酬について次のように説明されています
ハーズバーグはこれらが足りないと不満につながる「衛生(予防)」の要因だと言っています。
引用:図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
重要なこと
- 重要なのは、
- 内的報酬と外的報酬は性質が異なるもの
- 内的報酬はあると満足するもの
- 外的報酬は足りないと不満につながるもの
- どちらも重要
- ということです
- 内的報酬と外的報酬は性質が異なるもの
- 組織の定着率や働く人の幸福度を上げたいのであれば、どちらかで無理やりバランスを取るのはうまくいかないでしょう
- 例えば離職が増加して困っている時に給与額を大幅に上げたとします
- しかし離職の原因が外的報酬ではなく内的報酬の低下だった場合、根本解決に繋がらない可能性が高いです
最後の藁
- ちょっと脱線しますが、離職の理由について考えてみます
- 離職の理由をまとめて手を打つことを考えてみます
- 仮に3人離職して、その理由が
- Aさん: 給与が低い
- Bさん: 仕事のやりがいを感じない
- Cさん: 給与が低い
- の3つだったとします
- では、給与を上げれば離職は減るでしょうか?
- 必ずしもそうとは限りません
- そもそも離職理由で本心を赤裸々に語ってくれているか?という観点もあります
- それ以外に、"最後の藁"にばかり注目している可能性もあります
英語のことわざ、「ラクダの背骨を折るのは最後の藁だ(It is the last straw that breaks the camel's back)」に由来する、ある物事が、耐えることのできる限度を超えてしまうきっかけとなった物事を意味する表現。
引用:「最後の藁(さいごのわら)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書
- 3人それぞれ前述の理由は、"最後の藁"だとしたら?
- 実は人間関係等、3人とも"背骨が折られるに至った"、別の蓄積した理由があった可能性も否定できません
給与に対する納得感
- 報酬の中で、特に不満が溜まりやすく、他社・他者と比較されやすいのは給与ではないでしょうか
- なぜなら"やりがい"は社外から測りづらく、業界や社風によって単純比較が難しいです
- しかし給与は年収XXX万円と定量化されているため、比較検討されやすいです
- そして比較の結果、隣の芝生が青く見えやすくなるでしょう
- では給与に対する不満が出た時、マネージャーはどうすべきでしょうか?
- 一番手っ取り早いのは、不満が出たメンバーの昇給をすることでしょう
- ただ、不満を上げれば給与が簡単に上がるものでもないでしょうし、不満が上がらなければ給与が上がらないなら、不健全な仕組みになっていそうです
- 重要なのは"納得感"です
- なぜあなたがこの給与で、それは社内の評価基準に照らし合わせたらこうなるからという対話が重要です
- 批判が怖くてこの対話を避けているなら、遅かれ早かれ不満は出ます
- 何より大事なのは、評価者が説明責任を果たすことでしょう
- ここでも、マネジメントで何より重要な真摯さが必要とされます
この不満自体は根本的には解消されません。企業には出せる人件費に限度があるからです。しかし、説明を聞いて、納得することはできます。賃金体系とは、納得のための説明体系であるとも言えます。
引用:図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ
終わりに
- "報酬"と聞いた時、給料ばかりイメージしていた方も多いのではないでしょうか
- 今回は内的報酬と外的報酬の違い、それぞれの特徴を解説しました
- 次回は等級について考えます
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