前回の記事
連載の構成
- この記事は、マネジメントについて一人で考える Advent Calendar 2022の連載記事です
- 1記事目から読んでいただいても良いですし、気になる記事から読んでいただいても問題ありません
- 全25回分の構成は、次の通りです
- 第1〜6回:ドラッカーの『マネジメント』を中心に解説します
- 第7〜13回:『図解人材マネジメント入門』を中心に解説します
- 第14〜22回:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を中心に解説します
- 第23〜25回:私の経験談を中心に、まとめに入ります
マネージャーの仕事
- マネージャーの仕事とは何でしょうか?
- プレイングマネージャーなら、自身で設計やコーディングをすることも多いでしょう
- それ以外にも、意思決定の会議に参加したり、人事評価や1on1等も仕事の1つです
- 今回は引き続きドラッカーの『マネジメント』を元に、マネージャーの仕事を考えていきます
5つの仕事
あらゆるマネジャーに共通の仕事は五つである。①目標を設定する。②組織する。③動機づけとコミュニケーションを図る。④評価測定する。⑤人材を開発する。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
1. 目標の設定
- マネージャーの仕事として"目標を設定する"と解説されていると、個人の目標も全てマネージャーが設定するもの…という誤解を招く可能性があります
- ここで言う目標設定とは、"組織目標"を主に指していると、私の中で捉えています
- メンバー一人ひとりの個人目標は、『3. 動機づけとコミュニケーションを図る』に含まれるでしょう
2. 組織する
- 組織するとは、単に複数人を1つのチームとして集結するだけではありません
- そこに対しヒト・モノ・カネ・情報を適切にコントロールし、成果を上げる集団にする必要があります
組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。天才に頼ることはできない。天才はまれである。あてにできない。凡人から強みを引き出し、他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決定する。同時に、組織の役目は人の弱みを無意味にすることである。要するに、組織の良否は、そこに成果中心の精神があるか否かによって決まる。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
- これ、すごく重要です
- エンジニアチームだと、何でもできるスーパーITエンジニアのような存在に依存したくなります
- そういった人の能力を十分に発揮できる環境を作ることが悪ではありません
- むしろ存在するなら積極的に貢献いただける場を作るべきです
- が、それを端から当てにしないと大きな成果を上げられないとは考えないことです
- 前回の記事で次のような引用をしました
強みよりも弱みに目を向ける者をマネジャーに任命してはならない
- 結局これが繋がってきます
- つまり弱みに注目ばかりせず、強みを活かして成果を最大化することがマネージャーの役割です
3.動機づけとコミュニケーションを図る
- 日々の雑談含めた会話や、1on1も、動機づけやコミュニケーションの1つでしょう
- しかし特に注目したいのは、目標管理です
ここにおいて、目標管理こそコミュニケーションの前提となる。目標管理においては、部下は上司に向かい、「企業もしくは自らの部門に対して、いかなる貢献を行うべきであると考えているか」を明らかにしなければならない。こうして明らかにされる部下の考えが、上司の期待どおりであることはまれである。事実、目標管理の最大の目的は、上司と部下の知覚の仕方の違いを明らかにすることにある。もちろん、上司と部下の知覚が違っていたとしても、それぞれにとっては、それが現実である。
実は、こうして同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ること自体が、コミュニケーションである。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
- 目標管理制度として、多くの会社でドラッカーの提唱した手法"MBO"が導入されています
- MBOの他にOKRもありますが、MBOから派生した手法の1つです
- MBOとはManagement By Objectives and self-controlの略です
- 略されがちなself-control部分がすごく重要なのですが、これは別記事で書きます
- 多くの会社では、四半期(3ヶ月)、半期(6ヶ月)、通期(1年)といったタイミングはまちまちであるものの、上司と部下がすり合わせた目標を追っていく制度になっているはずです
- 何よりその中で重要なのは、
- 上司と部下の知覚の仕方の違いを明らかにすること
- self-controlを目指すべきもの
- の2点でしょう
- なので、「あなたはこの技術領域が苦手だから、半年でこれぐらいのスキルまで上げてください」と一方的に通達するものは、MBOから外れた運用です
- 一方通行では知覚の仕方の違いを明らかにできていませんし、Self-Controlになりえません
4. 評価測定する
- マネジメントを読んでいても評価測定に関して詳細が見つけられなかったため、評価のその先である報酬について触れます
しかるに組織内の人間にとって、報酬や報酬システムほど強力な信号はない。報酬は、金銭的な意味合いがあるだけでなく、トップマネジメントの価値観を教える。自分にいかなる価値があるかを教える。いかなる位置づけにあるか、いかに認められているかを教える。
科学的な報酬システムはもちろん、かなりよいといえる報酬システムさえつくることは難しい。できることといえば、まちがった行動を褒めたり、まちがった成果を強調したり、共通の利益に反するまちがった方向へ導くことのないよう監視することぐらいである。
引用:マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則
- 多くの会社は評価に応じて報酬が増減する制度になっているでしょう
- あの行動は良かったね、このスキルが身についたから成長したねと評価の言葉を並べることはできます
- しかし一番分かりやすいのは、それが報酬に反映されるか?という点です
- もちろん報酬が全てを解決するわけではありません
- しかし報酬に繋がらなければ、日々行動を改善するモチベーションも失われやすいでしょう
5. 人材を開発する
- 人材開発に関しては非常に奥が深いため、次次回以降の連載のメインテーマとなります
終わりに
- マネージャーの仕事は?と聞かれると、
- 成果を最大化すること
- よしなにすること
- といった抽象的な答えになりやすいです
- それらをもう少し具体化したものが、今回書いた5つ
- ①目標を設定する
- ②組織する
- ③動機づけとコミュニケーションを図る
- ④評価測定する
- ⑤人材を開発する
- でした
- 次回はMBOについて考えます
次の記事