前回の記事
連載の構成
- この記事は、マネジメントについて一人で考える Advent Calendar 2022の連載記事です
- 1記事目から読んでいただいても良いですし、気になる記事から読んでいただいても問題ありません
- 全25回分の構成は、次の通りです
- 第1〜6回:ドラッカーの『マネジメント』を中心に解説します
- 第7〜13回:『図解人材マネジメント入門』を中心に解説します
- 第14〜22回:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を中心に解説します
- 第23〜25回:私の経験談を中心に、まとめに入ります
人材開発
- 人材マネジメント6項目のうち5番目は、人材開発です
- 会社はOJT・Off-JT・自己啓発の支援によって、人に投資し、人材開発をする必要があります
- 疎かにすることによって、人に対し投資してくれる会社へ転職が増えたり、成長意欲の低い入社候補者の割合が増加しかねません
- ただしITエンジニアに当てはめて考えてみると、やや特殊な事情もあります
- なぜなら他職種に比べ、『業務時間外で自己学習をすることは当たり前』と感じる方が多いためです
- 仕事と趣味の境界が曖昧で「好きでやっているから」
- 業務外で学び続けないと、自身のスキルが陳腐化するから
- 等の理由が挙げられます
- なぜなら他職種に比べ、『業務時間外で自己学習をすることは当たり前』と感じる方が多いためです
- と言えど、人材開発を会社がしなくていい、というわけでは当然ありません
- 例えば家庭の都合により、若い頃のように業務外で学び続けるのが難しくなるケースも多いでしょう
- 法的な観点や会社のモラルとしても、業務時間外で学ぶことを強制したり、当たり前にするのは問題が出てきます
自己啓発の支援
- OJTやOff-JTの仕組みを整えるのはもちろん、自己啓発も会社から支援することが大切です
- 例えば
- 社外勉強会を業務時間内で参加できたり、出張費の補助をする
- 技術書は高額なので、購入費補助をする
- OSS活動を業務時間で行えるようにする
- 社内LT会等、学ぶ場を積極的に提供する
- 等です
- 「エンジニアなら、自ら学ぶのが当然でしょ」という考えも理解はできるのですが、会社組織はどれだけ支援しているか?は重要です
- 会社から時間やお金は捻出しないのに、自らは時間やお金を捻出しろと言うのは都合が良すぎる考えではないでしょうか
- むしろその状況に違和感を覚えない人たちしか残らない環境を、会社が作ってしまっているとも言えるのではないでしょうか
幹部育成
- 異動の目的、最後の1つは幹部育成です
- 人材開発に含まれる要素ではありますが、敢えて分離されているようです
- 例えば同じチームの中で次期マネージャー候補が2人いるとしたら、どうしますか?
- より見込みのある方に、次期マネージャーを任せるのは1つの手です
- チームを2つに分けて、それぞれに次期マネージャーを任せるのも手です
- さらに別の手として、違うチームに異動させるのもありでしょう
- 人それぞれ適正は異なるので
- 大人数チームより、少人数チームで才能を開花させたり
- 保守運用がメインのチームより、泥臭く0から作り上げるチームで才能を開花させる
- といった可能性も大いにあります
- こういったことを考えるのも、マネージャーの役割です
自己啓発をどれくらい重視するか
- では、OJT・Off-JT・自己啓発といった手法は、どれも同じぐらい必要なのでしょうか?
- 1個参考になる考えとしては、ロミンガーの法則(7・2・1の法則、70:20:10の法則)というものがあります
米国の人事コンサルタント会社であるロミンガー社は、経営幹部などリーダーシップを発揮するために有効であった要素の調査・分析を行いました。その結果、7割が業務経験、2割が薫陶、1割は研修であることが判明し、これをロミンガーの法則と名付けたのです。「70:20:10の法則」とも呼ばれる業務経験・薫陶・研修は、すべてのバランスがとれてこそ、効果を発揮します。
引用:ロミンガーの法則とは?「70:20:10」の法則の内容を徹底解説
-
要素として
- 7割が仕事を通じての経験
- 2割が先輩や同僚からのアドバイス
- 1割が研修や自己研鑽
-
といったものです
-
前提として、盲信すべき絶対的な法則ではないことは押さえておく必要があります
- リーダーシップを発揮するために有効であった要素
- つまり"成長"に関する全ての事柄に適用されるかは不明
- 学術的に導かれた黄金比というわけではない
- あくまでも経営幹部等にヒアリングした結果であり、大いに主観が混じる
- リーダーシップを発揮するために有効であった要素
-
ただしこの3要素は常に必要な要素です
-
また、これらが三位一体となり、どれかが大きく欠けていると成長が鈍化するのは、経験則として大きくズレてはいないです
-
ITエンジニアに当てはめると、"1割"である研修や自己研鑽は、実際もっと大きいのでは?と感じています
- 例えば仕事の中で新しい技術を導入したい時を考えてみます
- そもそも日頃新技術のキャッチアップができていなければ、提案・検討の幅が狭くなります
- PoCの工数を取れたとしても、座学で基礎知識を学んでいなければ、実務に活かすのは難しくなります
- エンジニア領域以外で言えば、7割・2割(経験やアドバイス)を元に1割(読書)をして抽象化できます
- しかしエンジニア領域で言えば、1割(読書や趣味のプログラミング、キャッチアップ)を元にして、7割・2割(経験やアドバイス)に活かす機会が多くあります
- すると最初の"1割"は重要であり、そこを会社として支援することは、エンジニア組織全体に影響を与えるのではないでしょうか
- 例えば仕事の中で新しい技術を導入したい時を考えてみます
終わりに
- 今回は人材開発、その中でも自己啓発を中心に解説しました
- 次回は人材マネジメント最後の1つ、組織開発です
次の記事