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前回の記事

連載の構成

  • この記事は、マネジメントについて一人で考える Advent Calendar 2022の連載記事です
    • 1記事目から読んでいただいても良いですし、気になる記事から読んでいただいても問題ありません
  • 全25回分の構成は、次の通りです
    • 第1〜6回:ドラッカーの『マネジメント』を中心に解説します
    • 第7〜13回:『図解人材マネジメント入門』を中心に解説します
    • 第14〜22回:『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』を中心に解説します
    • 第23〜25回:私の経験談を中心に、まとめに入ります

組織開発

  • 人材マネジメント6項目最後は、組織開発です

組織開発は1950年代後半にアメリカで発祥しました。リチャード・ベッカード、ワーリック、エドガー・シャインなどが定義していますが、それらに共通しているのは「行動科学を応用する」「組織内のプロセスを変革する」「組織の効果性を高める計画的な取り組み」の3点です。
引用:図解 人材マネジメント入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

心理学的経営―個をあるがままに生かす

  • 著者の大沢武志氏は、リクルート社でSPIを開発する等の実績がある方です
  • 心理学的経営という言葉だけ見ると、人間の性質を画一的に分類・診断するような印象を受けます
    • しかし実際は、サブタイトルの『個をあるがままに生かす』色が強いです
    • 行動科学のようなアプローチを使いつつ、一人ひとりの個性を尊重に重きをおいています

集団目標

  • 連載のMBOでは個人目標を前提に解説していました
  • では同様に、集団に対しても目標を立てているでしょうか?
  • 個々に目標を立てるだけでなく、集団に対して目標を立てる方が、モチベーションや業績に好影響を与えることが書かれています

つまり、個々人の目標とは別に集団で目標を設定することが、モティベーションに多大な効果を及ぼすことが明らかになっているのである。
角山剛教授の実験的研究によると、単独に個人に目標が与えられた場合よりも集団で目標が設定された場合の方が業績を高める効果が大きいことが指摘されている。集団目標が設定されると、達成に関してメンバーが責任を共有する状況ができあがり、目標へのコミットメントが一層高まると説明されている
引用:心理学的経営―個をあるがままに生かす

  • ここでの集団は主に小集団(5〜15名程度)を指すと考えています
  • そのため"会社の目標"に対して個々が目標を立てるわけではなく、最小単位の『エンジニアチーム』で立てるイメージでしょう

集団目標を有効活用するには

  • では単純にチーム目標を掲げるだけで、個人目標が勝手に達成されたり、業績改善に繋がるのでしょうか?
    • さすがにそんな楽ではありません

この集団の凝集性を高める要因としては、その集団の目標がメンバーにとって魅力的で、自分の目標として受容されていることや、集団のなかでのメンバー間の対人関係においてお互いにひきつけるものがあり、心理的な安定に結びついていること、さらにその集団が周囲から高い評価を受けているとメンバーが認知していることなどが重要なものとなろう。
引用:心理学的経営―個をあるがままに生かす

  • これらを5人程度のチームで例えるなら、こんな感じでしょうか
    • 心理的安全性が担保されているチーム
    • 四半期/半期のチーム目標を、全員で腹落ちするまで話し合って決定
      • チーム目標からブレイクダウンした個人目標を設定
      • 立てた個人目標をチームメンバーで共有
      • 定期的にチーム目標、個人目標の進捗を確認
  • 上記例、当たり前のように見えて実はできていないことも多いです
    • 例えば
      • 一方的にマネージャーが決めた目標を通達される
        • トップダウンで決めることが悪いわけではないが、"自分の目標として受容されているか"が重要
      • チーム目標を立てたけれど、個人目標と紐付いていない
        • チーム目標で不具合X%削減を掲げたけれど、誰の個人目標にも反映されていない
      • チームメンバーの目標を知らない
        • MBOの運用上、直属上司と部下間だけで共有されており、チームメンバー間で共有が無いことも多い
      • 定期的に追っていない
        • 四半期/半期終わったタイミングで、全く進んでいないことに気付く

実践例

  • ITエンジニアに落とし込んで考えてみます
    • 自社サービスを3人で運営をするチーム
      • 月間サービス稼働率99.9%、アクセス成功率99.9%のSLOを設定
      • インフラが得意なAさんは、オートスケールの仕組みを整える
      • バックエンドが得意なBさんは、テストカバレッジ向上により500エラーを削減する
      • 仕組み化が得意なCさんは、SLI計測と可視化の仕組みを整える
  • こんな感じに目標を立てて、隔週で進捗共有会を行ったとします
  • こうすることで、こんなことが可能です
    • 個々の目標進捗が未達見込みであれば、チーム目標に影響を与える意識が芽生える
    • 逆にチーム目標が未達見込みであれば、個人目標により力を入れる判断をする
  • ただし前提として、心理的安全性が担保されている必要があるでしょう
    • 進捗が厳しいのであれば、何が原因か真摯に向き合って指摘したり、解決が困難な時にヘルプを求めることもできます

最後に

  • 連載も折り返しの13回に到達しました
  • これまではITエンジニアに限らない領域の解説が主でしたが、次回からは『エンジニアのためのマネジメントキャリアパス』をベースに、ITエンジニアだからこそのマネジメントについて考えていきます

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