はじめに
どうも、将来乗りたい車はTesla、
プラチナ☆みゆきです。
本記事は前回記事の世界編である。
今回も前回と同様に世界の時価総額の高い企業を順に300社抽出して、yahoo-finance-api2を用いてコロナ前後の株価の成長率を算出していく。
分析手順
1. companiesmarketcap.comから企業シンボルの取得
世界中の企業の時価総額が網羅されたサイトとしてcompaniesmarketcap.comを選出した。
前回は企業コードであったが、今回はティッカーシンボルを抽出していく(例:Apple.inc → AAPL)
時価総額の高い順位300社のティッカーシンボル・企業名・在籍国名を取得するcodeは以下となる。
import re
import requests
from bs4 import BeautifulSoup as bs
def main(url):
# requestsによってhtmlソースを取得
res = requests.get(url)
soup = bs(res.text, 'html.parser')
# codeのtagを抽出
code_soup = soup.find_all(class_="company-code")
code_list = []
for code in code_soup:
code_list.append(code.text)
# 企業名のtagを抽出
company_soup = soup.find_all(class_="company-name")
company_list = []
for company in company_soup:
company_list.append(company.text)
# 国名のtagを抽出
country_soup = soup.find_all(class_="responsive-hidden")
country_list = []
for country in country_soup:
country_list.append(country.text)
return code_list, company_list, country_list
total_code_list = []
total_company_list = []
total_country_list = []
for i in range(1,4):
url = "https://companiesmarketcap.com/page/" + str(i)
code_list, company_list, country_list = main(url)
total_code_list.extend(code_list)
total_company_list.extend(company_list)
total_country_list.extend(country_list)
# エスケープ文字の除去
for i in range(len(total_company_list)):
total_company_list[i] = re.sub('\W', '', total_company_list[i])
# 欠損値の除去
total_company_list.pop(115)
total_code_list.pop(115)
total_country_list = [s for s in total_country_list if '\n' not in s]
total_country_list.pop(115)
2. yahoo-finance-api2を利用してコロナ前後の株価を取得
1で取得した企業リストをもとにyahoo-finance-api2で以下の3つの変数を算出していき結果をcsvとして保存する。
コロナ前の株価 = 2019年6月1日~2019年12月31日までの終値の平均
コロナ後の株価 = 2020年11月1日~2021年4月30日までの終値の平均
株価成長率 = コロナ後の株価 / コロナ前の株価
import pprint
import sys
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
import datetime as dt
from yahoo_finance_api2 import share
from yahoo_finance_api2.exceptions import YahooFinanceError
from search_symbol import total_code_list, total_company_list, total_country_list
def main(code, company, country):
my_share = share.Share(code)
symbol_data = None
try:
symbol_data = my_share.get_historical(share.PERIOD_TYPE_YEAR, 2,
share.FREQUENCY_TYPE_DAY, 1)
df = pd.DataFrame(symbol_data.values(), index=symbol_data.keys()).T
df.timestamp = pd.to_datetime(df.timestamp, unit='ms')
df.index = pd.DatetimeIndex(df.timestamp, name='timestamp')
except YahooFinanceError as e:
print(e.message)
sys.exit(1)
after_covid19 = df[(df.index >= dt.datetime(2020,11,1)) & (df.index <= dt.datetime(2021,4,30))]
after_covid19 = round(after_covid19.close.mean())
before_covid19 = df[(df.index >= dt.datetime(2019,6,1)) & (df.index <= dt.datetime(2019,12,31))]
before_covid19 = round(before_covid19.close.mean())
ratio = round(after_covid19 / before_covid19, 2)
print("code: {}. company: {}. country: {}".format(code, company, country))
print(before_covid19, after_covid19, ratio)
stock_df.loc[i] = [code, company, country, before_covid19, after_covid19, ratio]
stock_df = pd.DataFrame(columns=['シンボル', '企業名', '国名', 'コロナ前平均', 'コロナ後平均', '成長率'])
for i in range(len(total_code_list)):
try:
main(total_code_list[i], total_company_list[i], total_country_list[i])
except Exception as e:
print(e)
stock_df.to_csv("stock_world.csv", encoding='utf_8_sig', index=False)
print(stock_df)
完成したcsvファイルがこちらである。
一応codeもこのリポジトリに格納している。
※上場している証券取引所が企業によってバラバラなので、株価成長率を標準的な尺度としては語れないかもしれない点には注意が必要である。
3. コロナ前後で伸びた企業の事業調査
前回のように企業ごとに決算資料を確認して財務指標のYoYを算出するのは少々骨が折れるので今回はランキングの発表と各企業の概説をしていく。
その代わりに、ランクイン企業の紹介数を増やしたいと思う。
コロナ前後で世界のどんな企業が伸びたかを知るだけでも後学になると思われる。
上位30位:TokyoElectron(Japan)
株価成長率:2.13
業界:半導体製造装置業界
企業HP
日本勢として最初で最後のランクインとなったのは我らが東京エレクトロンである。
同社は5Gモバイルの普及とデータセンター投資に牽引され業績を伸ばしている。
上位28位タイ:WuliangyeYibin(China)
株価成長率:2.2
業界:飲料業界
企業HP
発音の仕方がわからないのだが28位タイには中国のスピリッツメーカーがランクインした。
中国はコロナ後に家飲みの頻度でも上がったのだろうか。
上位28位タイ:ASML(Netherlands)
株価成長率:2.2
業界:半導体製造装置業界
企業HP
同じく28位にランクインしたのはオランダの半導体製造装置メーカーASMLである。
ASMLと聞いてASMRと誤解したのは私だけではないはず。
上位26位タイ:PayPal(USA)
株価成長率:2.23
業界:オンライン決済業界
企業HP
言わずもがな世界最大のオンライン決済サービス企業がランクイン。
上位26位タイ:Apple(USA)
株価成長率:2.23
業界:ITプラットフォーム業界
企業HP
Appleである。
同社は2020年11月17日にM1チップを発売したりと株式市場でもひときわ注目を集めているようだ。
最近では7種類のカラーバリエーションがあるiMacも発売されている。
上位24位タイ:Mindray(China)
株価成長率:2.3
業界:医療機器業界
企業HP
同率24位にランクインしたのは中国の医療業界からMindrayである。
同社は患者のモニタリング・体外診断・医療画像システムをサービスとしており、中国だけでなくヨーロッパにも進出している。
上位24位タイ:LamResearch(USA)
株価成長率:2.3
業界:半導体製造装置業界
企業HP
同じく24位にランクインしたのはアメリカの半導体製造装置企業LamResearchである。
上位23位:TSMC(Taiwan)
株価成長率:2.45
業界:半導体受託製造(ファウンドリ)業界
企業HP
23位にランクインしたのはまたしても半導体業界から台湾のTSMCである。
同社は受託製造企業としてアップル、クアルコム、AMD、アマゾンといった米国の名だたる大企業から発注を受けている。
垂直統合型の生産体制から水平分業型の生産体制に変化した今、ハイテク企業のデバイスは自国だけでは決して賄えないことに注意したい。
上位22位:AMD(USA)
株価成長率:2.53
業界:半導体業界
企業HP
22位にランクインしたのはICチップでお馴染みのAMDである。
AMD製のチップはパソコンだけではなくTeslaの自動車にも組み込まれている。
また、同社はCPUだけではなくGPUも製造している。
上位21位:WuXiAppTec(China)
株価成長率:2.65
業界:製薬業界
企業HP
中国の製薬・バイオ医薬品・医療機器企業である。
遺伝子絡みのバイオテクノロジーは近い未来に活況するので注目しておきたい。
上位20位:LGChem(S. Korea)
株価成長率:2.67
業界:化学業界
企業HP
韓国最大の化学メーカー。
同社は創業当初は化粧品製造企業として誕生したが2017年には世界で第10位の化学会社に生まれ変わった。
樹脂からはじまりディスプレイやリチウムイオン電池まで幅広く製造している。
上位19位:FreeportMcMoRan(USA)
株価成長率:2.73
業界:非鉄金属業界
企業HP
19位には少し変わった業界からのランクイン。
同社は世界最大のモリブデン生産者であり、銅の最大生産者の1社でもある。
上位18位:MercadoLibre(Argentina)
株価成長率:2.76
業界:EC業界
企業HP
ラテンアメリカ版のAmazonとでも言おうか、アルゼンチンのEC企業がランクイン。
同社は2016年時点でラテンアメリカを中心に1億7千万人のユーザを保有している。
同社のショッピングサイトはこちら
上位17位:JingdongMall(China)
株価成長率:2.81
業界:EC業界
企業HP
中国の巨大EC企業である。
同じく中国のEC企業といえばAlibaba社であるが、Alibabaが商品を自社でエンドユーザに提供しないのに対し、同社は自社で商品をエンドユーザに提供する点が差異となっている。
商品の買い付けから果ては物流まで自前で行う一気通貫のビジネスモデルであり、バックにはTencentがついている。
上位16位:NVIDIA(USA)
株価成長率:2.98
業界:半導体業界(GPU)
企業HP
16位にランクインしたのは言わずと知れたGPU企業NVIDIA。
同社はGPUの開発はもちろんディープラーニングのオープンソース開発なども行っている。
上位15位:Adyen(Netherlands)
株価成長率:3.04
業界:オンライン決済業界
企業HP
こちらはオランダのオンライン決済企業である。Uberやebay、Spotifyなどの大企業も利用している。
上位14位:ChinaTourismGroupDutyFree(China)
株価成長率:3.06
業界:小売業界
企業HP
中国最大の免税店である同社が14位にランクイン。
上位層としては、異色の業界である。
上位13位:Square(USA)
株価成長率:3.42
業界:決済業界
企業HP
オフライン・オンラインどちらも扱っている決済企業である。
POSレジ、在庫管理、顧客管理、勤怠管理を1つのサービスでまかなうことができ、アカウント1つで自分のサイトをオンライン決済に対応させることができる。
シンプルなデザインのデバイスも特徴的である。
上位12位:Shopify(Canada)
株価成長率:3.43
業界:EC業界
企業HP
区分上はEC業界としたが、実際は普通のECとは随分と違っている。なぜならShopifyはC向けのサービスであり、エンドユーザが手軽にショップオーナーになれるサービスだからである。
日本でもBASEという類似のサービスが登場している。
Shopifyはサブスクリプション制でありベーシックプランで月額3000円ほどかかるが、BASEは基本利用料は無料で決済手数料と売上手数料だけの課金だというからすごい。
上位11位:Snap(USA)
株価成長率:3.6
業界:SNS業界
企業HP
動画系SNSであるSnapchatを運営する同社がランクイン。
日本ではあまり浸透していないイメージでる。類似のサービス・機能としてInstagramのストーリーが存在する。
上位10位:WuXiBiologics(China)
株価成長率:3.71
業界:製薬業界
企業HP
中国の製薬業界である。
アジアやヨーロッパ、北米に製造施設を有する。
上位9位:BYD(China)
株価成長率:3.94
業界:自動車業界
企業HP
中国の自動車メーカーがランクイン。
同社はEV(電気自動車)に力を入れており、新エネルギー車(NEV)が売りである。
上のロゴは2007年のもので現在は変わってしまっているがどう見てもBMWのようにしか見えない。
上位8位:Meituan(China)
株価成長率:4.2
業界:ITプラットフォーム業界
企業HP
上の画像はギグエコノミーを代表するような画像ではあるが同社はUber Eatsのようなフードデリバリーだけを運営する企業ではない。提供するサービスが多すぎて一言では説明できないのだが、Uber EatsとPayPayとExpediaを合体させたようなプラットフォームを提供している。
幅広いO2O(Offline to Online)、具体的には配達から決済、旅行予約等のサービス展開しているのだ。
上位7位:CATL(China)
株価成長率:4.26
業界:自動車バッテリー業界
企業HP
主に電気自動車用にリチウムイオン電池を製造する中国の企業である。多くの電気自動車メーカーが同社のバッテリーを使用している。
上位6位:Zoom(USA)
株価成長率:4.65
業界:オンラインコミュニケーション業界
企業HP
コロナ禍で人類全員が使いだしたんじゃないかいうほど普及したZoom。同社は元Ciscoのエンジニア、エリック・ユアン氏によって2011年に設立され、瞬く間に2017年にユニコーン企業へと変貌を遂げた。高い株価成長率から見ても世界中でコロナ禍が一番追い風になった企業であるといえるだろう。
上位5位:Pinduoduo(China)
株価成長率:5.1
業界:EC業界
企業HP
5位にランクインしたのは中国のC向けECアプリ企業。
同社は農作物を中心としたECプラットフォームであるが、他のECとは決定的に違う点がチーム購入と言われる仕組みである。
チーム購入というのは、買いたい商品をSNSで共有してチームメンバーを増やすことによって商品価格を下げられる仕組みのことである。
この仕組みは売り手にも買い手にもメリットがある画期的な仕組みである。
このモデルは次世代型のECとしてソーシャルEコマースとも呼ばれている。
チーム購入について分かりづらい方は公式HPの動画を見てイメージを掴んでもらうと良いかもしれない。
チーム購入機能こそないものの、日本で類似するサービスとしてletが挙げられる。
上位4位:SeaGarena(Singapore)
株価成長率:6.64
業界:オンラインゲーム業界
企業HP
4位にはシンガポールのオンラインゲーム企業がランクインした。
同社はゲームタイトルの配信プラットフォームとしてだけではなく、eスポーツの大会なども主催している。
シンガポールはカジノ文化との相性も良かったのかもしれないが、この兆しを見ると日本のeスポーツ熱も過熱する日が近いように思われる。
上位3位:Moderna(USA)
株価成長率:8.56
業界:製薬業界
企業HP
ファイザーの次に日本に輸入されたm-RNAワクチンを製造する同社が堂々と3位にランクイン。
日本においては緊急事態宣言の効力も限界に近づいてきているのでワクチン投与の体制が整うを期待するばかりだ。
上位2位:Tesla(USA)
株価成長率:12.57
業界:自動車業界
企業HP
2位にランクインしたのは電気自動車専売自動車メーカーTeslaである。
株価成長率12.57倍という10倍以上の脅威の成長率を誇った。
Tesla車はEV車両であったり、運転支援機能であったり、タッチパネル操作であったり、GPUが搭載されていたりともはや従来の自動車の尺度では考えてはいけない代物である。
これは自動車ではない別の乗り物であり、まさに走るコンピューターといったところである。
モデル3なら500万円程度で新車が買えるのでいつか買ってみたいものだ。
上位1位:NIO(China)
株価成長率:12.57
業界:自動車業界
企業HP
株価成長率1位を樹立したのは中国版Teslaとも名高い中国のEVメーカーNIOである。
同社は2014年の設立以来爆速で成長しており、EV車両の開発や自動運転技術の発展に注力している。
また、2020年からはじめたBaaS(Battery as a Service)の成功も大きい。
BaaSとはその名の通りリチウムイオンバッテリーのサブスクリプションであり、EVの購入時にバッテリーを購入せずにその後サブスクリプション費用として支払うモデルである。
これはビジネス的にもテクノロジー的にも革新的なモデルであるとも言われている。
上位2社の投資熱は単に過熱しているだけかもしれないが、今後のEV・自動運転の技術革新を助けてくれるに違いない。
日本でも高速道路なら自動運転できる日も近いことを願うばかりだ。
総括
今回の調査の結果から、EV業界やEC業界、製薬業界、半導体業界がコロナショック後に伸びている企業であることがわかった。
また、世界経済は相変わらず米中の2強であった。上位30社の所在する国の登場数を以下にまとめる。
国名 | 登場数 |
---|---|
USA | 11 |
China | 11 |
Netherlands | 2 |
Taiwan | 1 |
Singapore | 1 |
S. Korea | 1 |
Japan | 1 |
Canada | 1 |
Argentina | 1 |
果たして今後日本から世界を驚かすユニコーン企業は登場するのか、今後の展開に期待したい。