本記事は、フューチャーアドベントカレンダー2024の19日目のエントリーです。
新卒でフューチャーに入社し生活インフラ関係のお客様のIoT基盤チームに配属されチームリーダーになるまでに経験したことと学びを共有しようと思います。
自己紹介とバックグラウンド
フューチャーに入社するまでの経験
大学ではコンピューターエンジニアリングを専攻し、電気工学とコンピューターサイエンスを学びました。特に電子工作や画像認識に興味があり、ハードウェアとソフトウェアを利用して(技術の力で)今までできなかった事をできるようにする仕事をしていきたいと考えていました。
大学では基礎理論は学べるものの実用のイメージがあまりできなかったため、複数のIT企業とハード開発企業の長期インターンに参加し現場で学びを得ていました。
なぜフューチャーを選んだのか
学生時代にハード開発企業やIT企業のインターンに参加してシステム設計の知識やプログラミング力は上がったものの、「直接お客さんと話したり物事を前に進める力」が足りていないと感じるようになりました。またニッチな分野よりも大規模で社会的にも影響が大きな仕事をしてみたいという気持ちもありました。分業体制よりも自分の興味関心に合わせて仕事の幅を広げていきたいと考えていました。
そこでフューチャーを見つけて
- フューチャー技術ブログを見てGoやAWSなどモダンでイケてる技術を使っており、良質な記事が多く技術力を磨ける環境がある
- 若い人材にも重要な仕事を任せて20代でも挑戦を得られる機会が多いこと
- 要件定義から保守運用まですべてのフェーズを一気通貫で担当し仕事の全体感や進め方を学べる
- ないものはつくる精神への共感「お客様の成功のために必要であれば、ハードウェアさえ設計開発してつくります。技術を原理原則から理解しているからこそできることです。」
- 複数の業界の様々なプロジェクトが存在しており学びが多く社会的に大きな意義のある仕事ができる
- 風通しがよい社風でリモートワークなどの働き方も自由
という点にひかれて入社を決めました。入社後も上記の就職活動中に魅力に感じていた点とのギャップはなく、自分で言うのもなんですが、いい選択をしたと思っています。
業務概要
新人研修後から生活インフラ系のお客様のプロジェクトに参画しています。
【プロジェクト】
期間 | 概要 | 役割 | 説明 |
---|---|---|---|
2021年7月~9月 | 新人研修 | 新人 | ITの基礎や仕事の進め方、webアプリ開発を実施 |
2021年10月~12月 | 分散処理基盤開発 | OJTトレーニー | 生活インフラ系の料金計算ロジックの現行調査、設計、開発テストを実施、PythonとSparkを利用したバックエンドロジックの開発とテストを実施 |
2022年1月~3月 | IoT基盤開発&保守運用 | OJTトレーニー | 生活インフラ系のIoTデータ基盤の開発と保守運用を担当。Go,AWS,Terraformを利用してAPI開発やJobの改修を実施 |
2022年4月~7月 | 〃 | 開発者 | 日次で千万オーダーで連携されるセンサーデータのIF連携開発。他チームとの要件調整や百億オーダーのデータ出力を担当 |
2022年8月~2023年6月 | 〃 | 難機能開発者 | チームの中でも難しい機能開発やOJTトレーナーを担当。関係する開発ベンダーや顧客とのやり取りが増加。リファクタリングやCIの整備 |
2023年7月~2024月1月 | グループ会社統合プロジェクト | 統合プロジェクトのIoTデータ基盤チーム責任者 | 会社の統廃合によるデータ移行とシステム移行を実施。ダウンタイムなしでの移行が求められ関連システムが多く業務影響が大きい。関係ベンダーや顧客と密にコミュニケーションを取りながら仕様整理、テストの実施、移行を完遂 |
2024年2月~2024月9月 | IoT基盤保守運用&保守運用引継ぎ | アーキリーダー | システム保守運用引継ぎに向けた機能改善、Jobの自動化、ドキュメントの整備。グループ統合で得たシステムへの深い理解と信用を活かし仕事を推進 |
2024年10月~現在 | IoT基盤保守引継ぎ&AWSコスト削減&次世代IoT導入要件定義 | プロジェクトリーダー | システム保守完全引継ぎの実施。AWSのコスト削減、DynamoDBの百億オーダーのデータ改廃などを実施。次世代のIoT機器導入の要件定義 |
2024年11月~現在 | スマートホームデータ可視化 | プロジェクトリーダー | 住宅メーカーのスマートホームのデータをBIツールで可視化 |
【その他活動】
- 2名のOJTトレーナー
- 新人研修推進サポーター(新人研修で現場社員が試験官や成果物レビューを行う)
- 「ソフトウェア設計のトレードオフと誤り」の翻訳活動
- 「Software Design 2024年9月号Goのエラーハンドリングと向き合うベストな設計戦略を徹底解剖第2章」寄稿
- 新卒採用イベント登壇4回
新卒時は
プロジェクト参画当初はインターンで開発経験もあったことから開発以降の工程で大きくつまずく事はありませんでした。開発の手の速さや仕事の丁寧さは比較的高く評価いただけていたと思います。ただお客様とのコミュニケーション、パワーポイントの資料作成、仕事の進め方はご指摘をいただくことが多々ありました。
失敗と学び
①年次の浅さを見せない&新人という言葉はNG
始めて客先に訪問した際に、自分が1年目であることを自ら顧客に伝えてしまったことがありました。顧客からすると「高いお金を払っているのに、新卒の何もわからない人がプロジェクトに入っていて大丈夫かな」とどうしても思われてしまいます。同じ土俵で仕事をしている以上年次に関わらず成果が求められることが当然です。この件で先輩からも注意を受け、仕事に対する向き合い方や成果に対する考え方が変わりました。
②システム視点しか持ておらず仕事を前に進められなかった
新機能の開発や機能改修で要件の合意を行う際に、システム面からの視点しか持てずビジネス要件やビジネスインパクト(費用対効果)を意識できていませんでした。
例えばシステム上では正しくデータが登録されていれば問題はなくても、運用上どうしても登録ミスや不正なデータが登録されてしまうことがあります。もちろんミスを防ぐために業務フローを見直したりシステム側でミスを防ぐ対応を入れるなどやるべきことはありますが、全てが理想通りに進められるわけではありません。予算、人員、影響度を精査してその時々によって打つべき対策は異なります。例えば機能Aにバグが見つかり対応しないと1日あたり100名のエンドユーザーに影響があり、機能Bにも同時にバグが見つかり1日あたり1名のエンドユーザーに影響がある場合、十分な人員が確保できなければ当然機能Aの修正を先に行うことになります。この例より何倍も複雑なことが日々起きています。
そんな中システム的にどうあるべきかという視点しか持っていないと仕事を進めることは難しくなってしまいます。ビジネス視点に立ってみると「言っていることはわかるが、それは現実的に実行できないしそこに割く予算はないと」というように見られてしまいます。もちろんシステムがどうあるべきかを考えることはとても重要ですが、実際に仕事を進めていく上ではシステムの都合だけではなく費用対効果やトレードオフも考えなければいけません。また仕事には人が介在するので人間関係にも気を使わなければいけない場合も多いです。
入社2年目くらいまでは開発には入れば作業が速いが、上記のようなビジネスインパクトを考えられていなかったため要件を合意することに苦労していました。どうしてもシステム上こうした方がいいのではないかという気持ちが先行していました。今考えると当時はお客さんとコミュニケーションを取ることを無意識に避けていたのかもしれません。おかしなことを言って失望されたり、𠮟責されたり、担当を外されたりすることを恐れていたのかもしれません。またお客さんの時間をもらうのは申し訳ないと思い込んでおり定例会議外で個別にミーティング設定することも避けていました。その結果自分が理解しているシステム目線からの提案ばかりになってしまい、業務影響やニーズを理解する機会を逃してしまっていたと思います。
リーダーから「定例会議外でもステークホルダーとチャットや対面でコミュニケーションを積極的に取り、仕事を速く進めた方が結果的には利益が大きいからどんどんコミュニケーションを取った方がいい」と言われ考え方が変わりました。その後お客さんからお話を聞く機会を増やしていきました。初めのはリーダーに書面のレビューや会議に出席いただいたりして経験と自信をつけて、一人でもうまく仕事を進められるようになっていきました。初めは緊張で上手くできなくても、数をこなして場慣れして自信を付けていくことで少しずつ上手くできるようになると思います。
③引き継がれたシステムへの責任感の欠如
社内の人事関係の都合で別のチームが見ていたシステムを私が所属するチームに引き継ぐことになりました。通常の業務も多い中、引き継がれたシステムはお問い合わせ、機能改修、即時に対応が必要なタスクが多く正直なところとても大変でした。
通常の業務が忙しいという点もありましたが、引き継いだシステム関連のレスポンスが引き継ぎ直後の時間に、遅くなってしまった事もありました。今考えてみると自分宛に来ている連絡に返信が遅れるなど、なんと責任感がないんだと思います。まともに連絡が返ってこない人を誰も信用はできないです。
当時は自分で作ってもいない引き継がれたシステムでなんでこんなに大変な思いをしなければいけないんだと思っていた部分があったと思います。根本的に責任感が欠落していたと思います。顧客側の視点で見ると「高いお金を払っていてるのだから責任を持って、引き継いで仕事を進めてよ。自分が作ったかどうかは関係なく、さらに業務がよくなるように全力で貢献してよ。連絡を返さないなんて論外だよ」と思うはずです。一作業者から責任が増えてチームをリードしていかなければいけない立場になって当時の考えの未熟さを反省するばかりです。
仕事として対価を得ている以上プロとして期待以上の貢献をすべきですし、信頼を積み重ねてさらに大きな仕事にチャレンジしてどんどん社会を良くしていくサイクルを回していくことを意識することが大切だと思っています。どんな仕事にも責任感を持って能動的に動くことでより楽しい仕事をするチャンスが回ってくると思います。
上手くいった点と要因
①技術力と品質の高さ
技術や新しいことを学ぶのが好きな性格もあり、開発スピードや技術力についてはある程度評価していただけました。ソースを書く際にはもっといい書き方がないかを常に考えて、プログラミング言語自体の理解にも時間を使っています。参画当時は既存コードを読む時間もとるようにしていました。また品質については自分の書いたコードを疑ってかかているため、テストや動作確認は丁寧に行っていました。システムを作ることが目的ではなく、実際にシステムがしっかりと動くかということを常に考えられるとよいなかなと思います。仕事以外の何もしていない時間に実装ミスに気づいたり、より良い設計案が思い浮かぶことがよくあります。インプットとアウトプットと思考の量を増やすことが大切だと思います。
②グループ会社統合プロジェクトの成功
短い期間でグループ会社の統廃合を行う必要がありシステム移行とデータ移行を実施しました。グループ会社統合のIoT基盤チームの責任者になりプロジェクトを進めていくことになりました。IoTシステムは10以上のシステムと連携しておりJobの数は100を超えていました。また移行中システムを止めることが許されない状況であり失敗した際に影響を受けるエンドユーザーは100万人を大きく超えておりプレッシャーがとても大きかったです。さらにチーム1の有識者が離脱してしまいプロジェクトリーダーも育休という状況で正直不安がとても大きかったです。
ただ逆に頼れる人がいない環境があったおかげでやるしかないと腹をくくることができたと思います。何かあれば何とかしてくれる人が近くにいるとどうしても甘えが出てしまう部分があると思います。仕事の責任はすべて個人にあるわけではないのでチームメイトやリーダーに頼ったりすることも必要ですが、自分の担当している仕事に対して責任を持つことは忘れてはいけないと思います。
期間も短い中でやるべきことは山積していたので、効率的に仕事を進める力はこの時に磨かれたと思います。逆境は人を大きく成長させるさせるものだなと思います。若い時の苦労は買ってでもしろと言われる理由がよくわかりました。
短い期間で物事を進めなければならないため、何を優先すべきかを短時間で判断する必要がありました。関係者とコミュニケーションを取って優先すべき事項の整理したり判断を沢山していくうちに判断力や優先順位付けを行う力がついていったと思います。単純に情報を多く得たことで考慮すべき項目が明らかになったということもあります。適切な判断をするために周囲と良い関係性を築くことは大切だと強く思った記憶があります。また「あの人にはあの時助けてもらったから助けよう」と思ってもらえたり「あの人になら本音を話しても大丈夫」と思ってもらえるように普段から信用を積み重ねていくこともとても大切だと思いました。理屈ではわかっているつもりでも実際に体験してみると感じるものがあると思います。
システムのソースコードをすべて理解して、関連システムについての知見を深め、周囲とよい関係性を築き、ビジネスの優先度の判断力を磨けたことで以後の仕事を進め方や見えている景色が格段に変わったと思います。
オーナーシップとラストマンシップを持って本当の意味で顧客、顧客の顧客、社会にとっとて何がいいことなのかを考え抜いて仕事をしていくことが大切だと思います。そんな意識をして仕事をしていると自然とリーダーになっていくのかなと思います。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。今回の記事で書ききれなかったことが沢山あります。チームリーディング、マネジメント、技術力向上、要件定義、開発、プロダクトの品質保証、マインドセット、仕事の進め方、関係性構築、情報収集、期待値コントロール、人材育成、採用など深堀したい内容はまだまだありますがまた別の記事にまとめようと思います。
同業の方、就職活動中の学生の方、面白おかしく読んでくれる方の参考になればと思います。この記事を読んでフューチャーに興味を持っていただいた方がいればぜひ採用ページをチェックしてみてください!