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健康経営コンサルティング

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健康経営の促進に向けて

企業・健康保険組合を取り巻く状況

  • 増加し続ける国民医療費は、健康保険組合等の財政悪化を招き、結果として健康保険料の上昇という形で企業負担の増加につながっている

  • 生産年齢人口が減少し、労働力確保のために従業員の雇用延長等を積極的に図らなければならない状況の下であるが、従業員の健康状態の悪化は企業の生産性を低下させることになり、更には、人材の定着率の悪化等、有能な人材の確保にも悪影響を及ぼす可能性がある

健康経営のイメージ

  • 企業にとって、従業員の健康維保持・増進を行うことは、医療費の適正化や生産性の向上、さらには企業イメージの向上等につながることであり、そうした取り組みに必要な経費は単なる「コスト」ではなく、将来に向けた「投資」であるととらえられる。このため、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること。」である、「健康経営」の実施が重要となっている

健康経営をはじめよう

1.経営理念・方針

従業員の健康を経営課題として捉え、実行力を伴って健康経営に取り組むためには、経営トップがその意義や重要性をしっかり認識するとともに、その考え(理念)を社内外にしっかり示すことが肝要である。

2.組織体制

理念に基づき方針を定めた次のステップとしては、従業員の健康保持・増進に向けた実行力ある組織体制を構築することとなる。

3.制度・施策実行

従業員の健康保持・増進の取組は、事業主としての企業(経営トップや担当部署)、産業医や保健師等の産業保健スタッフ、健康保険組合、労働組合、従業員等様々な主体が関与して実施されるものである。健康経営を実践する上では、これらの主体が互いに連携し、相互補完的又は相乗的な効果のある効率的な制度・施策がなされることが望ましい。

4.評価・改善

取組の効果を検証する際、現状の取組の評価を、次の取組に生かせるよう、PDCA がしっかりと機能するような体制を構築・維持することが重要である。

5.法令順守・リスクマネジメント

健康経営評価の考え方

  • 企業の健康経営の様々な取組みを、ストラクチャー(構造)・プロセス(過程)・アウトカム(成果)として整理しており、ストラクチャー・プロセスでは、企業の健康経営理念の基づく、組織体制、施策の実行、評価・改善プロセス等を評価し、その結果として生み出される効果について、従業員個人への効果、及びその集合体としての組織としての効果に分けている。

  • 健康経営によって個人の健診結果の改善や生活習慣の改善が図られ、それにより長期欠勤等アブセンティーイズムの解消や、個々人の生産性の改善といったプレゼンティーイズムの解消が図られる。この個人個人への効果が組織としての従業員満足度向上や、コミュニケーション活性など組織的効果として現れ、さらに健康経営実践により、対外的な PR 効果として人材の維持・確保の容易性や、ブランディング効果も生まれると考えられる。

  • また、健康経営実践の長期的効果として、医療費の適正化や、株価などが一つの尺度と
    して考えられる企業価値の向上、利益の拡大等が得られると考えられる。

ストラクチャー・プロセス・アウトカムの整理

ストラクチャー

健康経営を実践するための、経営層のコミットメントや、人材・組織体制の有無、構成等

  • 経営理念としての健康経営の位置付け
  • 産業医、コメディカル等との連携体制
  • 健保組合等保険者との連携の有無

プロセス

健康経営を実践するにあたっての様々な施策が機能しているかどうかを判断する指標

  • 健診受診率
  • 保健指導実施率

アウトカム

健康経営の質を評価する指標であり、適切なストラクチャーにおいて、提供されるプロセスが従業員の健康状態や、ひいては企業利益に結びついていることを評価する指標

  • 生産性(プレゼンティーイズム、アブセンティーイズム)
  • 身体的指標
  • 生活習慣指標(喫煙・飲酒・運動・睡眠休養等)
  • 心理的指標
  • 就業関連指標

「健康経営」の評価について

ストラクチャー評価指標

1.経営理念・方針

⑴ 企業の経営における健康への取り組みの位置付け

  • 従業員の健康保持・増進の目的の明確化 ➡ 健康経営の目的の明確化の有無

  • 従業員の健康保持・増進の理念・方針の明文化 ➡ 健康健康経営の理念・方針の明文化の有無

⑵ 経営トップのコミットメント

  • 経営トップの発信 ➡ 健康トップの発信の有無

2.健康経営推進体制

⑴ 組織体制

  • 企業の金銭的投資 ➡ 法定外福利費のうち従業員一人あたりの医療・健康関連費用額

  • 健康保持・増進責任者の設置 ➡ 健康保持・増進責任者の設置の有無

  • 健康経営統括組織の形態 ➡ 健康経営統括組織の有無

  • 健康経営統括組織における人員体制 ➡ 従業員一人当たりの産業医、保健師・看護師・管理栄養士の人数

  • 統括組織構成員への教育・研修 ➡ 統括組織構成員への教育・研修の有無

⑵ 外部資源との連携

  • 保険者との連携体制 ➡ 保険者との連携体制の有無・保険者とのデータ共有の有無

  • 外部専門家等活用の推進 ➡ 外部専門家等の活用の有無

プロセス評価指標

1.従業員の健康についての状況・課題の把握

  • 従業員の健康課題の把握 ➡ 定期健診受診率・保健指導対象率・保健指導実施率

2.健康課題への対応・施策実施

⑴ ポピュレーション・アプローチ

  • 健康教育実施 ➡ 全従業員に占める参加率・満足度

  • 禁煙プログラム提供 ➡ 喫煙者に対する参加率・満足度・継続率

  • 食生活支援 ➡ 社食における健康メニュー提供数・食生活改善情報提供閲覧数・支援内容への従業員満足度 等

  • 運動奨励 ➡ 職場における体操等参加者率・継続率・満足度・提携スポーツクラブ・ジム等利用率・継
    続率・スポーツイベント等参加率・継続率・満足度

  • メンタルヘルス対策 ➡ メンタルヘルス教育参加率・メンタルヘルスチェック参加率・メンタルヘルス相談窓口等利用率・ラインケア実施率・参加率 等

⑵ ハイリスク・アプローチ

  • 保健指導 ➡ 保健指導対象率・保健指導実施率・対象者/実施者満足度

  • 管理不良者に対する対応 ➡ 事後措置面談実施率

  • 受診勧奨 ➡「要再検査」・「要精密検査」対象者の再検査受診率

3.就業環境に関する制度・施策

⑴ 就業環境に関する制度・施策

  • 長時間労働抑制施策 ➡ 長時間労働者数・従業員 1 人平均年間総実労働時間数・従業員 1 人平均年間所定外労働時間数・施策満足度

  • 有給休暇取得奨励 ➡ 年次有給休暇取得率・従業員 1 人平均年次有給休暇取得日数・施策満足度

  • 復職支援 ➡ 対象者満足度・対象者復職率

4.施策の効果検証・改善

⑴ 施策の効果検証・改善

  • 健康状態 ➡ 健診結果からの改善状況把握の有無・健診結果と施策の相関分析の有無

  • 休職・欠勤状況 ➡ 休職率・欠勤率の状況把握の有無・休職率・欠勤率と施策の相関分析の有無

  • 医療費 ➡ 施策と医療費の費用対効果分析の有無

  • 次年度施策への反映 ➡ 施策効果検証結果を踏まえた改善案の提示・検証結果を踏まえた次年度計画策定

アウトカム評価指標

1.健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【生産性への影響度を評価する指標:アブセンティーイズム】

アウトカム評価指標:アブセンティーイズム

⑴ 従業員へのアンケート調査

「昨年 1 年間に、自分の病気で何日仕事を休みましたか」という質問項目により、アブセンティーイズムを自己申告して把握する。企業・組織で休暇理由を正確に合わせてデータを持っているとことは少ないため、この方法を取ることで、有給休暇を含む休暇取得の中の病気によって休んだ日数を把握することができる。ただし、アンケート方法にもよるが回収率によっては欠損値が多く出てしまう懸念がある。

⑵ 欠勤・休職日数(代替指標)

有給休暇取得後の欠勤・休職は疾病理由が主であることから代替指標として利用し把握する(有給休暇の病欠は把握できず)。企業・組織によって異なるが、有休休暇取得時に理由を正確に取得していることころは少なく、有給休暇の中の病気による休暇取得日数は含まれていない。そのため、この方法を取ることで、アブセンティーイズムは過小評価になっている可能性がある。ただし、企業・組織の持っているデータのため欠損値はない。

⑶ 疾病休業者数・日数

企業が保有する人事データを活用し、「疾病休業開始後、有給休暇を除き、暦 30 日以上の疾病休業の者」を把握する。(多くの企業は人事部門が情報を把握しており、社内規則で一定期間以上の疾病休業の際、主治医による診断書の提出を義務付けていることが多い)休業開始日、休業終了日、疾病名(メンタルヘルス疾患/非メンタルヘルス疾患)を把握する。企業が疾病休業を把握するにあたり、多くのケースで利用される有給休暇を含めて情報を把握しなかったため、今後疾病休業に関して、有給休暇の利用の有無にかかわらず、疾病休業開始から暦 30 日以上の疾病休業者について、復職支援等の健康管理の推進を目的として情報を把握することが望ましい。

2.健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【生産性への影響度を評価する指標:プレゼンティーイズム】

⑴ WHO-HPQ

WHO で世界的に使用されている「WHO 健康と労働パフォーマンスに関する質問紙(ハーバードメディカルスクール作成)」を用い、3 つの設問で評価する。得点方法は、1絶対的プレゼンティーイズムと2相対的プレゼンティーイズムの2つの方法で表示される。プレゼンティーイズムをコスト換算する場合には、日本人の性格的気質を考慮し、相対的プレゼンティーイズムを用いることが、健康関連総コストの割合からみても妥当と考えられる。

⑵ 東大1項目版

アンケートの設問数を減らしたいなどの理由により、プレゼンティーイズムの意味をそのまま反映したアンケート 1 項目にて取得する項目を東京大学WG にて作成したものである。

⑶ WLQ

WLQ(Work Limitations Questionnaire、タフツ大学医学部作成)の日本語版。(版権・日本語版作成:SOMPOリスケアマネジメント株式会社※有料)全 25 問の質問項目からなり、4 つの尺度(「時間管理」5 問、「身体活動」6 問、「集中力・対人関係」9 問、「仕事の結果」5 問)で構成されている。回答は、体調不良によって職務が遂行できなかった時間の割合や頻度を、「常に支障があった」~「まったく支障はなかった」の 5 段階、及び「私の仕事にはあてはまらない」から選択する。

⑷ WFun

WFun(Wrok Functioning Impairment Scale)とは、産業医科大学で開発された、健康問題による労働機能障害の程度を測定するための調査票である。7 つの設問を聴取し、合計得点(7~35 点)で点数化する。点数が高い方が、労働機能障害の程度が大きいことを示す。日本における先行研究の結果より、21 点以上が中程度以上の労働機能障害があると判断できる。

⑸ QQmethod

まず、何らかの症状(健康問題)の有無を確認したうえで、「有り」の場合は4つの質問「仕事に一番影響をもたらしている健康問題は何か」「この 3か月間で何日間その症状があったか」「症状がない時に比べ、症状がある時はどの程度の仕事量になるか(10 段階評価)」「症状がない時に比べ、症状がある時はどの程度の仕事の質になるか(10 段階評価)」を把握する。

3.健康健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【生産性損失のコスト評価】

1.健康関連総コスト換算による評価

1医療費(総額)2傷病手当金(事業主補填金含)3労災補償費4アブセンティーイズムの日数×総報酬日額 5プレゼンティーイズム損失割合×総報酬年額 (標準報酬月額×12 か月+標準賞与)1 5の合計金額・割合で生産性損失コストの評価を行う。

2.パフォーマンス低下度による損失額算定評価

11 人 1 日あたり人件費(賞与・各種手当・法定福利費等)×2パフォーマンスの低下(※QQmethod)×有症状日数=損失額※パフォーマンスの低下=1-{(仕事の量+仕事の質)/2×1/10}または =1-{(仕事の量)/10×(仕事の質)/10}により生産性損失コストの評価を行う。

4.健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【従業員の健康状態に関する指標:身体的指標】

  • 血圧
    血圧を下げる薬服薬(1=はい)または収縮期血圧 130mmHg 以上 or 拡張期血圧 85mmHg 以上をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。

  • 血中脂質

コレステロールを下げる薬服薬(1=はい)または、中性脂肪(トリグリセリド)150mg/dL 以上または HDL コレステロール 40 mg/dL 未満をリスク因子とし、該当者・割合を把握する

  • 肥満

BMI が 25.0 以上(腹囲基準も用いる場合は、男性≧85、女性≧90)をリスク因子とし、該当者・割合を把握する

  • 血糖値

インスリン注射または血糖を下げる薬服薬(1=はい)または、空腹時血糖 110mg/dL 以上または HbA1c(NGSP 値)6.0 以上をリスク因子とし、該当者・割合を把握する

  • 既往歴

脳卒中、心臓病、慢性の腎不全、貧血のいずれかをリスク因子とし、該当者・割合を把握する

  • 管理不良者率

<血糖>HbA1c(NGSP)8.0% or 空腹時血糖 200mg/dLor 随時血糖 300mg/dL 以上の者
<血圧>収縮期血圧 180mmHg または拡張期血圧 110mmHg 以上の者以上をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。

  • 要受診者率

<血糖>HbA1c(NGSP)6.5%or 空腹時血糖 126mg/ dLor 随時血糖 200mg/dL 以上の者
<血圧>収縮期血圧 160mmHg または拡張期血圧 100mmHg 以上の者以上をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。

5.健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【従業員の健康状態に関する指標:生活習慣指標】

  • 喫煙習慣

問診「標準的な質問票」の喫煙に関する設問「現在、たばこを習慣的に吸っている」に「はい」と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

  • 飲酒習慣

問診「標準的な質問票」の飲酒に関する設問「お酒(清酒、焼酎、ビール、洋酒など)を飲む頻度」として「毎日」と回答し、かつ「飲酒日の1日当たりの飲酒量」が 44g 程度以上(3=2~3 合または 4=3 合以上)
と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

  • 運動習慣

問診「標準的な質問票」の飲酒に関する設問「1 回30 分以上の軽く汗をかく運動を週2 日以上一年以上実施」または、「日常生活において歩行又は同等の身体活動を1 日1時間以上実施」に「いいえ」と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

  • 睡眠・休養

問診「標準的な質問票」の睡眠に関する設問「睡眠で十分休養が取れている」に「いいえ」と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

  • 朝食

問診「標準的な質問票」の朝食に関する設問「朝食を抜くことが週に3回以上ある。」に「はい」と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

6.健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【従業員の健康状態に関する指標:心理的指標】

  • 主観的健康感

「自分で健康かと思うか」に関し、4 件法で把握し、「あまりよくない」「よくない」と回答した者をリスク因子とし、該当者・割合を追加アンケート調査にて把握する。

  • 生活満足度

職業性簡易ストレス調査票の D-2 生活の満足度に関し、4 件法でのカやや不満足、不満足にチェックがついた者をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。

  • 仕事満足度

職業性簡易ストレス調査票の D-1 仕事満足度に関し、4 件法で「やや不満足、不満足」にチェックがついた者をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。

  • ストレス

職業性簡易ストレス調査票の「B 身体的・心理的ストレス」項目のカテゴリーでいずれか要チェックがついた者をリスク因子とし、該当者・割合を把握する。または、K6(気分・不安障害のスクリーニング質問紙)の合計得点が 5 点以上の者の割合を用いて把握する。

健康経営評価指標(短期的アウトカム評価指標)【就業関連指標】

ワークエンゲイジメント

ユトレヒト・ワーク・エンゲージメント・スケールを使用し、活力、熱意、没頭の状態を追加アンケート調査にて把握する。

健康経営・健康投資に関する情報発信について

1.目的の記載

 自社の経営理念や経営方針及び事業計画を打ち出したうえで、それに基づく健康経営の目的を明示している。

2.PDCA サイクルを実施するための体制整備

 健康経営の PDCA サイクルを実施するための社内体制を示している。

3.取組体系及び具体的な取組み内容の記載

 健康経営に係る自社の課題を提示した上で、課題に対応する具体的な施策を記載している。

4.成果の記載

 施策の成果を定性的及び可能な限り定量的に記載している。

⑴ 目的の記載

  • 健康経営を行う目的が、企業の持続的成長に資することを明らかにするため、自社の企業理念や中長期目標に基づき目的を記載する。また、トップ層のイニシアティブが分かるように記載する。

  • 自社の企業活動において、企業が重要と考える取組みや関心事項を明示した上で、それに基づいた健康経営の目的を設定する。

⑵ PDCA サイクルを実施するための体制整備

  • PDCA サイクルを実施できるよう、施策実施の体制(担当役員、担当部署の別等)及びフォローアップ体制を示す。

⑶ 取組み体系及び具体的な取組み内容の記載

  • 目的達成のために解決しなくてはならない課題を整理した上で、解決方法としての施策を記載する。併せて、取組みの進捗が分かるような具体的な数値目標(可能であれば中期的に)を示すことが望ましい。

  • 自社の企業活動において、企業が重要と考える取組みや関心事項に基づく施策であることを示す。

  • 取組みの規模が読者に伝わるように、施策の実施規模、回数、参加率、実施予定年数を記載する。

⑷ 成果の記載

  • 成果を、公の統計情報がある、統一的な算出方法が定まっているなどの、可能な限り定義が明確な数値で表す。なお、独自の指標を使う場合は、算出方法を明記する。

  • 可能な限り同業種・同業界において共通化が可能な指標を用いて成果を示す。

  • 過去の実績、変化も分かるよう、経年変化を示す。

  • 健康経営銘柄等、外部評価の実績があれば明示する。

(例) 発信例1ー1 ~目的:生産性向上 業種:IT企業~

取組みの目的

当社の企業理念である「世界最高水準のIT技術による社会創造」の実現のためには、社員一人ひとりが自らの能力(IT技術力など)を最大限に発揮し、企業全体の生産性を向上することが重要です。当社は生産性向上のためには社員の働きが必要であると考え、そのための施策の一つとして、社員の健康増進のための健康経営に取り組んでいます。

PDCAサイクルを実施するための体制整備

2012年に社長を委員長、人事担当取締役を副委員長とする「健康経営推進委員会」を設置しています。委員会は、社内各部から1名ずつ選出されたメンバー及び産業医、保健師、臨床心理士の各専門スタッフにより構成されています。委員会において、毎年の健康課題を踏まえた目標を設定し、随時実施状況の評価を行っています。更に、健康課題に対する目標達成については、当社執行役員の評価体系にも導入しております。これにより、企業トップ層のコミットメントを図ります。

当社の健康課題と目標

1.生産性に係る当社の健康課題

  • 当社には、以下のような健康課題が存在します。システム導入前の繁忙期などに社員がインフルエンザや風邪などに罹患し、病気休暇を取得することがある

  • システム開発やマネジメントにおけるプレッシャーなどに起因する社員のメンタルヘルス不調が多い

  • 長時間座り続けるため、腰痛を抱える社員が多い

2.健康課題解決のための効果測定指標と具体的目標

このような状況をふまえ、当社では感染症、メンタルヘルス、腰痛などの改善に係る健康経営施策を行っています。これらの施策を通じて達成していきたい目標は以下の通りです。なおこれらの施策の大前提として、本人の健康状況を把握する定期健康診断を行うことが必要なため、受診率100%も目指しています。

(効果測定指標) (目標値)

  • 平均病気休暇取得日数 前年より1日の減少
  • プレゼンティズム指標による金額換算 前年より5%の減少
    ※メンタルヘルス、腰痛などの課題に対して、プレゼンティズム指標により測定する

具体的な健康経営施策

  • 感染症対策の実施
    職場におけるインフルエンザ蔓延の防止として、インフルエンザ予防注射を社員に対し無料で実施しました。また、うがい薬、消毒液などの設置を行い、社員に予防に努めるよう促しています。

  • メンタルヘルス対策の実施
    健康経営推進委員会に所属する臨床心理士によるメンタルヘルス改善などに関する研修を、管理職に対して年4回実施しました。2015年は全管理職が受講しています。また、予防対策として、病気による休暇の日数が多い者、残業の多い者などに対して、産業医、保健師及び臨床心理士による面談を受けるよう指導しています。2015年の年間相談件数は102件です。

  • 休憩時間取得の推進
    腰痛予防のため、全社員に対し作業時間1時間ごとに5分の休憩時間の取得及び休憩時間におけるストレッチの実施を推奨しています。

健康経営への取組みによる成果

  • 健康診断受診率100%達成しました。

  • 平均病気休暇取得日数が低下しました。
    健康経営推進委員会を設置した2012年から、一人当たりの平均病気休暇取得日数は減少傾向にあり、2015年は前年比で1日減少しました。

  • プレゼンティイズムが減少しました。
    腰痛、メンタルヘルスなどにより生じると考えられるプレゼンティイズムは、金額換算すると、毎年減少しており、2015年は前年比で約3%減となりました。
    ※プレゼンティイズムは、出勤をしているが生産性が低下している状況のことを言います。金額換算の方法には、本来発揮できる力を10としたときにどの程度生産性が低下しているかを調査票を用いて算出し、標準的な賃金から計算する手法を用いています。

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