概要
みなさんの開発現場はモニタは2枚でデュアルディスプレイでしょうか?人によっては一枚の大きなモニタで作業したい人もいるでしょうし、様々好みがあるんじゃないのかな、と思います。
今回は私の職場の開発チームで、デュアルディスプレイを提供するために奔走した話をここで供養しておこうと思います。
私のチーム内での立場
私はそもそもインフラエンジニアなので、開発をメインでする人間ではないのです。
そもそもの開発環境
うちは社内SEということもあって、開発チームにあまり良い環境が用意されてませんでした。ちょっといいスペックのWindows11と通常のモニタが一枚です。一般的な開発会社ではあり得ないような環境で開発をやっていると思います。(とはいえ実際、ほかの会社さんがどんな環境で開発しているかは、あまり知らないのですけども)
正直、ひと昔前のHTML!CSS!Javascript!という感じのコテコテのWebページ作成を開発と呼んでいた時代であれば、それでもよかったのかもしれませんけど、昨今の開発現場はそうもいきませんよね。DockerやVScodeなどのエディタなどを常時起動させておくことはもちろん、コンソールやローカルのコンテナ環境を参照しながら開発なんて日常茶飯事です。
デュアルディスプレイが欲しいという話は度々出ていた
もちろん開発をやっている面々が、「デュアルディスプレイがほしいんだ!」と度々文句を言っている場面はよく見かけていました。でも問題は、そう言っている人たちが自分たちでデュアルディスプレイを導入するための動きを一切取ってないんですよね...
文句を言うだけいって、自ら環境を変えようとしないこと自体は愚かしいわけですが、私も文句を毎回聞いてるのか面倒 + 自分もデュアルディスプレイを入れたいなって気持ちは少なからずあったので、「なら自分がやってやろうか」ということで動き始めたわけです。
開発環境の改善に向けて
デュアルディスプレイの件だけであれば、正直なところ上長に必要性を説いて備品購買の申請を出せばいいだけだったのですが、せっかくの機会なので開発環境の改善に向けて議論をしてみようと思い、「インフラ・開発MTG」という形で開発メンバーの意見を収集してみました。
すると思ったよりいろんな意見が上がってきて興味深かったです。
- 開発にchatGPT(GPT4)を使いたい
- デザイン関連で必須のツールを会社で購入して使わせてほしい
- 開発に集中できる個人ブースがほしい
- 席替えをしてほしい(周りが騒がしい)
- 肩腰がしんどいからもっと良い椅子で仕事がしたい
- 乾燥で目がしんどいので加湿器を導入してほしい
- 緑(たぶん観葉植物)がほしい
などなど・・・
皆、自分たちの中で重視していることや、「もっとこうだったら仕事がはかどるのに」という考えがあることがわかりました。
結構個人的な感覚な意見は多かったんですが、まずは実務的に効果があって、かつチーム全体でその恩恵を享受できるものを優先的に解決していこうと思いました。 環境を変えていくにも、まずは会社に効果を証明することが最重要だと思います。そのため、デュアルディスプレイ導入やGPT4の導入にフォーカスして進めていくことになりました。
立ちはだかる上司
ここで立ちはだかるの上司の存在です。うちの上司は開発をしていません。
「どういうこと?」って感じかもしれませんが、どういうことなんでしょうね。正確には、昔は開発をしていたけど、ここ数十年は上流工程ばかりで実務は全く、という感じです。Gitは全然使ったことなくてわからんし、CICD?って感じですし、何ならこの前JSONがわからないって言ってて驚愕しましたが・・・
そもそもの話をすると、開発チームにはリーダーが不在でした。
だからこそ、今回の話1つにしても、直接的には関係が無い私が先導することにはなったのですが、そういう事情もあって、組織的には開発が全然わからない人が上司、という状況でした。
それ故に、末端の開発者も「こんな開発のことをわかってない人に言っても何も変わらない!なんでこいつが上司なんだ・・・」という負のスパイラルに突入しているような状態です。
結果的には、懇切丁寧に
- なぜデュアルディスプレイが必要なのか?
- 本当に開発メンバーが求めているのか?
- 実際に導入することによって効果がでるのか?
などを5回くらい説明して、ようやくOKをもらえました・・・。2ヶ月くらいかかりました・・・
いろいろあってようやく導入
その後、どんなモニタがいいかメンバーに聞いてみたり、必要な書類を作ったりで色々あったわけですが・・・
話が出てから数ヶ月、ようやくデュアルディスプレイ化を達成しました!
みんなそこそこ便利に使っているようです。
でも悲しきかな、誰ひとりとして感謝はしてくれなかったですね!別にいいけど!
この件で思ったこと
今回の件は、とても小さな案件と成果でした。
しかしながら、やってみて様々なことに気がつくこともできました。
自分が中心になって環境を変えることは勇気がいる
今ある環境を変えるって、やっぱり勇気が必要なことだと思いました。
「自分がやろうとしていることは本当に正解なのか?」「本当にみんなは求めているのだろうか?」とかいろんな考えが巡って、考えすぎた時期もありました。
自分が中心になってなにかをするとなると、なにかあったときの責任も当然自分に降ってかかりますから。ある意味で言えばその覚悟は必要だと思いますね。
一方で、やってみて自信がついた部分もあります。確実に各自の作業効率や仕事へのモチベーションは上がったと思います。自分を含め、個別に話を聞いてみた感じは満足度は高そうでした。
そう考えると、誰かがやってくれるまで待つのではなく、自ら中心になって動くことで、どんどん環境は変えていけるんだ!という気持ちも湧いてくるというものです。
開発チームのリーダーがいないことの弊害
リーダー不在であることは結構弊害が多いと思っています。
- 開発環境・ポリシをまとめる機会がなくなる
- → 成果物の設計やフレームワークが全く統一されていない
- 進捗管理・タスク管理の機会がなくなる
- → 特定の開発者に案件が大量に積まれ、不公平感や就労上の問題にもなる
- 意見交換・情報共有の機会がなくなる
- → 定例MTGや1on1などの開催がなくなるので、各個人や全体の動きを誰も把握できない
私の個人的な意見としては、こういった弊害もある故に、開発リーダー(いわゆるテックリードエンジニア)というのは必須だと思っています。なぜなら、会社で働くということは個人で働いているのとは違うんです。なので、周りのチームメンバーをうまく利用して成果を上げ、会社を儲けさせて給料もアップさせる、これが使命だと思っているからです。 だからこそ、彼らをうまく利用できる人間、つまりリーダーが必要ということです。
環境は変えていかなければならない
昨今のIT分野は目覚ましい変化ですよね。技術もそうですが、開発スタイルやセオリーと言えるようなやり方もどんどん変わっています。そんな変化が激しい業界で仕事をする我々エンジニアだからこそ、自分たちが働く環境も合わせて変えていかなければなりません。
変えようとしなければ変わらない、当然のことではありますが、その当然ができるかどうかがチームを動かしていく上では大切なのだと思いました。