この記事はPHC BXC Advent Calendar 2022 19日目 の記事です
最近ものすごく寒くなってきましたね。
2年前、買ったばかりのエアコンが壊れ、文字通り震えて過ごした1週間を思い出しました。
その時のメーカーや家電量販店の対応から、不具合・クレーム対応と顧客体験ってなんだろうなと考えたので記事にしてみました。
結論は平凡ですが、読んでいただけたら嬉しいです。
出来事
2021年の1月末にわたしは3LDKのマンションを購入しました。
LDK + 隣の部屋まで暖められるように、某家電量販店で某大手国内メーカーの20万円くらいするエアコンを購入しました。
冬ということもあり、入居に間に合うように段取りをして、無事入居の一週間前にエアコンの取り付けが完了しました。
おかげで入居して初日から暖かい部屋で幸せに過ごすことができました。
が、2週間ほどたったある日、帰宅するとリビングのエアコンからまったく風が出ません。
外は最低気温0度とかです。リビングで過ごしたいのは当たり前ですが夜です。激寒です。
冷えっぱなしの部屋はマジで死ぬほど寒いです。
引っ越したばかりなので、家にある暖房器具は寝室についてるエアコンのみ。
この頃妻が妊娠3~4カ月くらいでした。寒すぎると体調も心配です。
以下、時系列で起こったことを列挙します。
1日目
帰宅したらエアコンが動かない。
一回電源抜いて朝リブートすれば動くだろうということで寝る。
2日目
動かない。説明書の故障かなと思ったらをすべて試すがだめ。
メーカーに問い合わせ。
マジで電話がつながらない。
ようやくつながったら、故障かなと思ったらをペアオペで試して、やっぱりダメ。
修理にエンジニアを向かわせるので、いつになるか明日折り返すとのこと。
寒い
3日目
寒い
メーカーから折り返しが来るが、仕事中のため出られず。
かけなおす。
マジで電話がつながらない。
明後日に来るとのこと。明後日までは寒いことが確定。
寒い
4日目
寒い
家も家電も買ってお金つかったばっかり。
明日修理が来るのなら、間に合わせの暖房器具は買いたくない。
ただ、寒い
5日目
寒い
ようやくエンジニアさんが修理に来る。
エンジニアさん(以下、エ)「原因がわからないですねー」
わたし(以下、わ)「原因がわからないことはわかりました。直りそうですか?」
エ「原因がわからないので直しようがないですね…。」
わ「原因がわからなかったら直らないですよね。いつエアコンは動くようになりそうですか?」
エ「基板交換になるので、部品取りよせになりますね。1週間あれば届くかと思います。」
わ「1週間はさすがにキツイので、なにか暖房器具の貸し出していただけませんか?」
エ「(電話して確認)小さいファンヒーターならなんとかできるんですが、この広さは暖まらないですしかなり電気代もかかってしまいますしそれも取り寄せになるので…」
わ「じゃあいいです、基盤待ちます」
わたしが今一番困っているのは、買ったばかりのエアコンが動かないことではなく、部屋が寒いこと です。
6日目
ふと、「家電量販店なら暖房器具がないわけない、もしかしたら何か対応してもらえるのではないか」と思いエアコンを購入したお店に電話。
※この時前職でしたので、週5日で1時間半かけて出社しており、平日買い物に行くのは難しかった。
わたし「お門違いは承知でのお願いなんですが、先日そちらで購入したエアコンが動かずかくかくしかじかなので、処分品の暖房器具とかがあれば貸し出していただけませんか。」
家電店「型落ちのファンヒーターだったら今日の夜になってしまうんですがご用意できます。」
わたし「ありがとうございます。お待ちしております。」
===== 30分後 ======
家電店「同じエアコンが在庫であり、メーカーと相談したところ初期不良扱いで対応可能なので、明日交換しに伺います。」
わたし「神様ありがとうございます。正座してお待ちします。ファンヒーターは大丈夫です。」
寒い
7日目
エアコン来ました。
非常に暖かい部屋で晩御飯を食べられるようになりました。
バンザイ\(^o^)/
それぞれの立場で整理してみる
それぞれの立場で困っていたこと、解決しようとしたことを整理してみます。
顧客が困っていたこと
顧客(わたし)困っていたことは エアコンが動かないことではなく、部屋が寒いこと です。
エアコンが直るのは解決手段の一つです。
ただ、エアコンが壊れた瞬間のわたしは 買ったばかりのエアコンが壊れた!こりゃ困った! と思っています。
自分が何で困っているか理解していないのです。さすがに2日目の夜には気づきましたが。
メーカーが解決しようとしたこと
顧客からエアコンの修理の依頼の連絡を受けました。
顧客は買ったばかりのエアコンが壊れた話をしています。エアコンを修理する必要があります。
顧客がエアコンの修理を要望しているので、メーカーはエアコンの修理ができるエンジニアを手配しました。
エンジニアさんが解決しにきたこと
メーカーから依頼されたことは エアコンの修理 です。
エアコンの修理 をしに行きました。原因不明ではあるが、基盤の交換をすればことを確認して基盤を手配しました。
寒いことの解消は依頼されていないので、この時点では解決していません。
家電量販店が解決したこと
「顧客からエアコンが動かない。 寒くて困っている ので暖房器具を貸してくれないか」 と相談をされました。
なので寒いことの解決に取り組みました。
短期では、簡易暖房器具の貸し出しができます。
長期では、エアコンの取り換えができます。
それぞれの立場で何ができたか
それぞれの立場で何ができたかを考えてみます。
ただ、どれについてもその対応そのものが売り上げに直結するわけではないので、
顧客に対してできたことではありますが、するべきだったこととは考えていません。
費用対効果もありますし、お客様は神様だみたいになってきちゃいますしね。
メーカーができたこと
修理の依頼の電話の時点で顧客が置かれている状況や困っていることを聞きだすことができていれば、
もし部品取りよせになった場合に何か暖房器具を貸し出す手配ができたかもしれませんし、
エンジニアさんにファンヒーターを持って修理に向かってもらうことができたかもしれません。
あらかじめエンジニアさんに基盤を持って修理に向かってもらうことも可能だったかもしれません。
すぐ電話がつながるとか、すぐ修理に向かうとかでも顧客対応としては良かったと思います。対応されてる感覚としては「メーカーは売ったら終わりでいいんだな」って思っちゃってました。
けれど、どれもコストはかかってしまいそうですね。
エンジニアができたこと
メーカーのエンジニアの方ではなさそうでしたので、あまりできることはなさそうでした。
こういうケースで現場に向かうのはエンジニアなので、もし顧客の困っていることに気づけた時なんらかの対応をする権限が委譲されていれば、顧客(わたし)との会話ももっと違った流れになったかなと思います。
わたしもエンジニアであるので、できなさそうな解決手段を提案するのは辛いなと思いつつしゃべっていました。
家電量販店ができたこと
顧客(わたし)としては本当に迅速に最良な対応をしていただけました。
電話もすぐつながりましたし、第一の対策の判断も早かったですし、恒久対応の判断も早かったです。
エンジニアとして何ができるか
1. 第一の対応を早めに行うことで顧客体験は向上する
アプリケーションもそうですが、恒久対応(今回で言えば修理)をすぐにやろうとしても限界があります。
恒久対応は難しくとも、他に何か 困っていることを一時的に解決 できることがあればそれを提案したいです。
これには 何で困っているか の理解が非常に大事です。
顧客の要望とは、顧客のほしいものではないんだなと改めて思います。
「ドリルを買いに来た顧客が欲しいものは、ドリルではなく穴である」みたいな話も有名ですしね。
2. 恒久対応の連絡も早いと顧客体験は向上する
恒久対応は原因の特定が必要なので、迅速にやるのは難しいことが多いです。
ただ、第一の対応ができていれば、恒久対応がすぐには難しいけどいつごろから着手するよって言われるだけでもだいぶ顧客体験は向上します。
逆に、どんなにいい恒久対応でも困っていることが解決できないと
3. 不具合クレームだからと言って、困っていないなら優先度は低い
このケース、真冬だったからマジで早くどうにかしてくれってなりましたが、
そもそも暖かい季節だったら 同じ事象でも 対応を半年ほっといても顧客(わたし)は困りません。
第一の対応すらいりません。
ここでも重要なのは不具合の事象より、何で困っているか です。
不具合のチケットから 何で困っているか を考えるのは難しいかもしれませんが、
ビジネスサイドと距離が近かったり、エンジニアに権限が委譲されていれば、
エンジニアからでも提案しやすいかなと思います。
感想
結果的に家電量販店が主導で解決してくれました。新品交換は予想もしていなかったので本当に驚きました。
家電量販店とメーカーのご協力があってこそ叶ったものだと思います。
本当に感謝しています。関係者の方々尽力してくださった方々本当にありがとうございました。
ただ、
わたしはそのメーカーの商品は 二度と買わない と決めました。
わたしは家電は ちょっと高くてもその家電量販店で買う と決めました。
こういう時の対応って本当に大事だなぁと思います。
最後に
PHC株式会社のBXCはコアバリューとして COTS を掲げており、一番重視しているのがCustomer insight(COTSのC)です。
今回記事にしたことはそれに通じることがあると思います。
ビジネスサイドとワンチームなのでエンジニアからの提案もどんどんできます。
もし面白そうな職場だと思っていただけたら、ぜひお話しできればと思います!