はじめに
こんにちは、こんばんは!理学部物理学科3年のらんさんです!クリスマスイブですが、全く関係ない話をします。私は8月からシンガポール国立大学で留学をしていて、今回は今学期勉強したことと絡んで(物理を勉強するのに必要だった)シンガポールの食べ物を紹介したいと思います。
シンガポールとは
シンガポールといえば、みなさんは何を思いつきますか?マーライオン、マリーナベイサンズ、チャイナタウン、チャンギ空港...
東京23区ほどの大きさしかない島にはたくさんスポットがあります。
↑マリーナベイサンズ、シンガポール政府はこれに巨額なお金を投資し、見事成功した
しかし、シンガポールの一つの特徴はその文化多様性にあります。シンガポールは人口の75%ほどが中華系、15%ほどがマレー系、10%ほどがインド系なのです。この3つの人種は宗教も違えば、食文化も違ってきます。したがって、
様々なおいしい食べ物があります。
シンガポール国立大学
シンガポール国立大学 (以下NUS)はシンガポール最大の大学で、世界大学ランキングでも常時上位を保っています。そんな多くの優秀な大学生を支えているのはもちろん食です。NUSは大学のキャンパスとその隣にある学生街UTownからなり、その中にはたくさんの食事をする場所があります。
UTown
UTownにはフードコート、スーパー、レストラン、自習室、スタジオ、ジム、プール...そして学生が住む寮(NUSではResidential Collegeといったりする)があります。食事が提供される寮もあれば、されない寮もあります。僕は運良く食事が提供される寮に入ることができました。食事が提供されない場合はすぐ近くにあるフードコートに毎食行かなければなりません。どこからでも徒歩5分以内ではありますが、寮に食事があったほうがもちろん便利ですね。
↑UTownの夜景、タワマンに住める
寮の食堂
僕はTembusu Collegeというところに住んでいて、Tembusuには食堂があります。寮では朝飯と夜飯が提供されます。
Kaya Toast
シンガポールといえばKaya Toast。Kaya ToastはKayaジャムというココナッツと卵を原料にしている甘いジャムで、寮の食堂ではKayaが食パンの隣においてて、自分でKaya Toastを作ることができる。東京でもシンガポールで一番有名なYa Kun Kaya Toastのお店があるので実は東京でも食べれたりする。僕はせっかちなので、Kaya Toastを自分で作る気が全く起こらず結局サウンドウィッチばっかり食ってた。しかし、糖分は当然物理に1番必要なので、みんなも午前中に物理の授業があるときはKaya Toastを喰らおう。
↑典型的なシンガポール朝食。Kaya Toastと温泉卵2つ、そしてコーヒーなどのドリンク。温泉卵はなぜか必ず2つでシンガポール人のとてもないこだわりを感じる。上の写真は全然寮のやつではない。
夜飯
夜飯はマレー料理、インド料理、ウェスタン、アジアン(主に中国)、麺の5種類が選べる。様々な選択があるが、僕は最初はハラルって非ムスリムが食ったらだめなのかなっていう謎な思い込みをしてたのでアジアンばっかり食べていた。下の写真を見ると、量が少なめなのだが、これには実はからくりがあった。
↑食堂でのアジアン
寮での飯はクレジット制になっていて、学期はじめに約100クレジット与えられる。実は真面目に毎日食べても40クレジット余るような仕組みになっていて、つまり1人が毎食2クレジット—2人前—を食っても全く問題ないのである。このライフハックに気づいてからは人生が変わった。それまでガリガリへの第一歩を踏み出した僕は気づいたら、顔は丸くなり、ベルトの穴はどんどん前進し、そして。ちなみに味は結構ボラティリティが高く、またインド料理は常においしいと言われている。インド料理が美味しいのは、僕が思うに、常に辛く、人間の味覚神経を刺激して、味覚を麻痺させているからである。わざわざ食べ物を食べたのにそれを美味しくないと感じるのはまさに時間の無駄で、だから麻痺した味覚神経から人間は幻想でも美味しさを見出そうとする。つまり、インド料理にハズレはないのである。
Starbucks
人類のProductivityのおそらく30%を支えているであろうStarbucksももちろんUTown内に存在する。日本では過剰Starbuckser(?)だった僕はもちろんお世話になる。。。はずだった。しかし、まず値段が高い。日本でのスタバの最低値段は300円代だったはずだが、ここのスタバは最低でもS$5.5(なはず)。日本円にして約600円。(円高泣)また日本にいた頃はスタバでしか作業できなかった僕だがシンガポールではその習慣が改善された。なぜならNUSの学生があまりにもハードワーキングなので、スタバが常に埋まっているのだ。ここのスタバは24時間営業なのだが、23時にいっても満席。おそらくシンガポールのProductivityの1%くらいはこのスタバで生産されている。従って着席することすら無理で、残念ながらスタバの外にあるクーラーがない、非生産的人間用スペースに追いやられる。非生産人間用スペースではスタバのコーヒーを飲みながらなんとかFinal ProjectであるMono Layer MoS2のバンドストラクチャを徹夜で計算した。つまり、物理を勉強するために必要である。
↑UTownのStarbucks、NUSのホームページより。
↑24時間以上作業できないnon-productiveな学生はスタバの外にあるクーラーのないスペースに座るしかない。昼間は暑いのでとても集中することはできない。
Canteen
NUS内部には何個も食堂(NUSではCanteenと呼ばれる)がある。食堂といっても日本のような食堂ではなく、フードコートのようなものであり、そのような食堂はシンガポールではHawker Centreと呼ばれる。Canteenには基本的中国料理、マレー料理、チキンライス、ウェスタン、マラーホットポット(後述)などいろいろな選択肢がある。今回はその中から抜粋して、物理を勉強するのに必要だったものを紹介する。
Gong cha
ゴンチャは料理ではないと言われるかもしれないが、Canteenで飯を食うには必須品である。シンガポールは熱いくせに、レストランやCanteenにいっても基本的に水はもらえず、飲み物は有料である。1よって、食事の際に何か飲み物を買うことはシンガポール人にとって当たり前であり、その選択肢の1つとしてゴンチャがある。ゴンチャに支えられた理由はそのタピオカのデンプンとミルクティーの砂糖である。まず、Canteenの食事のポーションは小さめであるので一品だけ頼むと大抵3時くらいにお腹がすく。しかし、タピオカのデンプンによってお腹が満たされる。また、計算するのに当然脳を使うので砂糖が必要である。
↑NUSにある典型的なゴンチャ。ゴンチャが何個もある。
さて、デンプンと糖分が必要なものはなんだろうか?そう、2nd order time-dependent perturbationである。Dyson Seriesの2nd orderは
$P^{(2)} = \left|\frac{1}{(-i\hbar)^2}\int_0^{t}dt_1\int_0^{t_1}dt_2\bra{\phi}V_I(t_1)V_I(t_2)\ket{\psi}\right|^2$
でもとまる。さて、この計算は$V(t)=A\sin\omega t$といった簡単なperturbationでも8 termsが計算に出てくる。普段ならRotating Wave Approximationでtermの荒削りをすることができるのだが、僕が受けていた授業では$\omega$がoff-resonanceである場合の計算もさせられたの式地獄であった。つまり、ゴンチャは摂動計算に必須である。
Chinese Food
シンガポールは中華系の人が多いので、当然中国の食べ物も多い。ここのChinese Foodで指しているのはCanteenにある自分でおかずを選べる式のChinese Food店である。下のように、色々あるおかずの中から自分の食べたいものを選ぶことができ、無限大の組み合わせがある。2ここにある食べ物はChinese Foodであって、日本でよく見る"中華料理"とは別ものである。さて、様々ある中から僕のおすすめを紹介する。それはナス炒めである。日本で食べることができるナスが入った中華料理は麻婆茄子くらいしか思いつくことができないのだが、Chinese Foodのナス炒めはナスの本質的な香ばしい香りを引き出したあとに、油と様々な調味料で強火でカッと炒めるのである。日本にはナスが苦手な人が多い気がするのだが、これを食えばナスというものに対するパラダイムシフトが起きることは避けられない。
↑NUSにある典型的なChinese Food店。NUSのホームページより
さて、ナスの形状を見ると何が思い出されるのだろうか。そう、Berry Phaseである。Berry Phaseは量子系を断熱的プロセスを施したあとに生じる位相であり、それは
$\gamma = i\oint dR \bra{\psi(R)}\nabla\ket{\psi(R)}$
で表される。ここで$R$はHamiltonianのパラメータ空間の座標を表している。さて、この量はパラメー空間で状態を平行移動させながら一周させたときにズレる角度を意味している。もちろん、平な空間で平行移動し続ければ、元の位置に戻ったときもずっと平行なのだから、最初と最後で角度がズれることはないのだが、空間が曲がっている場合はそうとは限らない。下の図のように球面上でベクトルを平行移動させると、最初のベクトルであった黒いベクトルと、一周後のベクトルである紫のベクトルで角度がずれるのだ。これは球面が"曲がっている"からである。したがって、Berry Phaseとはパラメータ空間での空間の曲がり具合の評価基準ともなれる。
ナスの表面はまさしく曲がった空間である。僕はナス炒めを食べながらBerry Phaseを理解した。よって物理に必要である。
Mini Wok
NUSのCanteenには必ずといってもいいほどMini Wokと呼ばれる種類のChineseがある。Mini Wokは小さな鍋という意味である。ここではチャーハン、焼きそばなどを小さな鍋に乗せて出される。だからMini Wokと呼ばれるのである。Mini Wokでは主に中国の炒める料理が出される。その炒める火力は猛烈で食材のエッセンスが引き出される。火力こそパワーといってもいいのである。特にUTown内にあるMini Wokはおいしく、そこの上海炒飯は本場上海の東方明珠が眼裏に現れるほどである。
↑UTownのMini Wok。これは甘い唐揚げとご飯のセットである。甘いのだが、トマトの酸味と絡めあって絶妙なバランスを作る。
Mala Hotpot
さて、次に紹介するのはMala Hotpotである。名前だけ聞くと、麻辣火鍋で、辛いしゃぶしゃぶなのかなと思われるかもしれないが、シンガポールのMala Hotpotは色々な具材を入れて炒めた麻辣味の鍋である。店のシステムは、肉、野菜、ソーセージ、インスタントラーメンなど様々な具材が店頭においてあり、それらを好きな量だけ取って、店の人に渡すのである。そして、20分くらい待つと炒められた鍋が出来上がる。辛さは小辛、中辛、大辛から選ぶことができ、小辛ならば辛さが苦手な人も楽しむことができる。
↑Mala Hotpot。これは汁ありなのだが、汁なしのほうが主流な気がする。
さて、辛いものを食べると脳内に電流が走ったような感じがするのだろう。では、物質の電気伝導性を決めるのはなんだろうか、そうBand Structureである。固体中の電子のエネルギーはバンド構造というもので決められる。電子の状態は$k$(Bloch波数という)というインデックスをつけることができる。例えば、下の図では2つの線があり、それぞれ電子のエネルギーと状態を表している。下の線はValance Bandと言われ、原子に束縛されている状態である。上の線はConduction Bandと言われ、固体中で動ける電子状態を表しており、電気伝導性を担う。今Valance BandとConduction Bandの間にはエネルギー差がある。これをバンドギャップという。例えば、電場をかけてない状態で電子は全てValance Bandにあるとする。電場をかけると、電子がConduction Bandにいき、電流が流れるのである。もしこのバンドギャップが大きければ、電場をかけてもほとんど電流は流れない。つまり、物質は絶縁体である。このエネルギーギャップが小さければ、物質は半導体、エネルギーギャップがなければ物質は導体なのである。3自分の体に電流が流れていることを感じなければ、真にBand Structureを理解したことにならないので、Mala Hotpotは物理を勉強するのに必要である。
Chicken Rice
シンガポールの料理を語るならばチキンライスは欠かせないだろう。チキンライスとは、シンガポールにきた中国系移民がはじめたChinese Foodであり4、蒸した白鶏、もしくは焼鶏が味付されたご飯とともに供えられている。長時間蒸したり、焼いたりすることでチキンの味を最大限に引き出し、そしてソースと一緒に食べることでフュージョンを起こす。シンガポールに来て、チキンライスを食べなかったならば、それはシンガポールに来たとはいえないのである。またチキンライスは美味しいだけでなく、安いのである。高いものでも10ドルを超えることは少なく、基本的に4,5ドルで食べることができる。シンガポールは基本的にどこにいってもチキンライスが食えるのそれゆえ、美味しさもピンキリである。NUS内にあるチキンライスは味はどれもまあまあで基本的に満足はできる。しかし、やはり真のチキンライスを食うならばMaxwell Hawker CentreにあるをTianTian Hainanese Chicken Riceをおすすめする5。ここのチキンライスは有名なだけあって、とても美味しい。ちなみに、シンガポールにはNewton Hawker Centreもある。こちらは観光者向けと言われ、高くて味は微妙である6。 これはまさしくNewton力学は非相対論的近似でなく、真に正しいのはMaxwellの電磁気学であるという現代物理学を表している。つまり、シンガポールに来てこの2つのHawker Centreを訪問するだけで現代物理学が学べるのである。よって、物理を勉強するのに必要である。
Nasi Lemak
Nasi Lemakとはココナッツ味のご飯という意味であり、おそらくマレーシア料理で一番有名である。NUSのCanteenは基本的にNasi Lemakが食べられる店が1店舗以上あり、学生たちに愛されている。CanteenのNasi Lemakは安さが売りであり、3ドルほどで食べられる。チキンと野菜がバランスよく摂れ、またチリソースの辛さがほどよく味覚神経を刺激してくれる。
↑Nasi Lemak。ココナッツ味のご飯にチキンやチリソース(?)が添えられる。
さて、食べるという行為はまさしく系(私)と環境の相互作用である。この系はLindblad Equation、
$$\frac{d\rho}{dt} = -i[H,\rho(t)]+\sum_k (L_k\rho(t)L^\dagger_k-\frac{1}{2} \{ L^\dagger_k L_k,\rho(t) \} )$$
で記述される。ここで$\rho(t)$7は私の密度演算子,$L_k$は相互作用を表しており、$k$は相互作用の種類を表している。この場合例えば、$k=1$はチキンを食べる、$k=2$はご飯を食べる、$k=3$はチキンにチリソースをつける...など多くの楽しみ方ができることを表している。量子開放系なんて環境と相互作用してなんぼなんで、みんな飯を食おう。
Cendol
最後に紹介するのはCendolである。Cendolは東南アジアでよく食べられているかき氷である。日本のかき氷と違うのは氷の上に乗せられている食べ物である。例えば、下の写真のCendolにある緑の謎のものはPandanと呼ばれる草のゼリーである。なめらかの食感とすやっとした味でこれが甘いココナッツ味の氷とよくあう。最初に食べるときはその体験したことが味に少し困惑を感じるかもしれないが、そのうち病みつきになる。
↑Malaccaで食べたCendol。シンガポールではないのは許してほしい。
さて、我々がかき氷を食べるのはなぜだろうか。それは、冷やすことで量子状態を破壊しないためである。しかし、冷やしてもやはりデコヒーレンスは生じる。そこで人為的にデコヒーレンスを防ぐことを考える。
例えば,Spin-Boson ModelのHamiltonianは
$$H = \frac{\omega_0}{2}\sigma_z +\sum_i a_i^\dagger a_i \omega_i +\sigma_z \sum_i (g_i a_i^\dagger+g_i^* a_i)=H_s+H_B+H_I$$
と書かれる。この系で$H_S$はスピンを表しており、$H_B$は環境のボソン、例えば光、を表している。また最後の項はスピンと環境の相互作用である。さて、この相互作用があるために、系にはデコヒーレンスが起きる。ここに新たなHamiltonian,$H_C$を付け加えて、相互作用を消すことを考える。我々は環境を操ることはできないので、$H_C$はspin側のみのHamiltonianである。$H_C$によるRotating Frameでの有効Hamiltonian$H_{\mathrm{eff}}$では$H_C$はexplicitには現れない。したがって、有効Hamiltonianでの相互作用項が消えてくれればよいのである。ここでRotating Frameでの演算子は全てtildeをつけることにする。
まず、$H_C$による時間発展演算子$U_C$が$t_c$の周期を持つする。すると、$U_C(Nt_C,0)=1$である。またRotating Frameでのシュレディンガー方程式は
$$i\hbar \frac{d\tilde{U}}{dt}=H_{\mathrm{eff}}\tilde{U}$$
と書ける。元のシュレディンガー表示でのもともとの時間発展演算子は
$$U(Nt_C,0) = U_C(Nt_C,0)\tilde{U}(Nt_c,0)=\tilde{U}(Nt_C,0)$$
となる。ここで、$U_C$の条件を用いた。また$H_\mathrm{eff}$も$t_c$の周期を持つとすると、$\tilde{U}(Nt_C,0) = (\tilde{U}(t_c,0))^N$と書ける。よって、これからは$\tilde{U}(t_c,0)$を考える。
さて、ここでMagnes Expansionを用いる。これは時間依存するHamiltonianによる時間発展演算子
$$U(t,0) = T\{\exp(-\frac{i}{\hbar}\int_0^t dt' H(t'))\}$$
を時間依存しないHamiltonianによる時間発展演算子に置き換える展開である。そのHamiltonian $H_{m}$は
$$H_m = \sum_k H_k$$
$$U(t,0) = T\{\exp(-\frac{i}{\hbar}\int_0^t dt' H(t'))\}= \exp(-\frac{i}{\hbar}H_m t)$$
と表され、
$$H_1 = \frac{1}{t}\int_0^t dt' H(t')$$
$$H_2 = -\frac{i}{2t}\int_0^t dt^1 \int_0^{t^1} dt^2 [H(t^1),H(t^2)]$$
$$H_3 = -\frac{1}{6t}\int_0^t dt^1 \int_0^{t^1} dt^2 \int_0^{t^2} dt^3 [H(t^1),[H(t^2),H(t^3)] +[H(t^3),[H(t^2),H(t^1)] $$
というように交換子がどんどん増えていく。第1項は単にHamiltonianの時間平均をとっているだけで直感的に理解できる。
ここで、もとの話題に戻ろう。我々は$\tilde{U}(t_c,0)$を考えれば十分だった。Magnes Expansionの高次項を無視し、第1項までのみをとると、
$$\tilde{U}(t_c,0) = \exp\left(-\frac{i}{\hbar} \int_0^{t_c} dt_1 \tilde{H}_S(t_1)+\tilde{H}_B(t_1)+\tilde{H}_I(t_1)\right)$$
となる。ただし、tildeはRotating Frameでの演算子を表すのだった。よって
$$\int_0^{t_c} dt_1 \tilde{H}_I(t_1)=\int_0^{t_c} dt_1 U_c^\dagger(t_1,0)H_I(t_1)U_C(t_1,0)$$
という項が0になってくれれば、相互作用は時間$t_c$では消えると言える。
これを実現する$U_C$は例えば
$$U_C(t,0) = \exp\left\{i\frac{2\pi}{t_c}t\sigma_x\right\}$$
がある。実際
$$\int_0^{t_c} dt_1 \exp\left\{-i\frac{2\pi}{t_c}t\sigma_x\right\} \sigma_z \exp\left\{i\frac{2\pi}{t_c}t\sigma_x\right\}=\int_0^{t_c}dt_1 \sigma_z \exp\left\{i\frac{4\pi}{t_c}t\sigma_x\right\} = \sigma_z \int_0^{t_c} dt_1 \left(\cos\frac{4\pi}{t_c}t + i\sigma_x\sin\frac{4\pi}{t_c}t\right)=0$$
となり、$\int_0^{t_c} dt_1 \tilde{H}_I(t_1)$はspin側で0になるので、相互作用項は時間$t_c$において時間発展に寄与しない。これを実現するHamiltonian $H_C$は
$$H_C =-\frac{2\pi\hbar}{t_c}\sigma_x$$
であり、これはspinをx軸周りで周期$t_c$で回すことを意味する。つまり、周期的にspinを回すことで相互作用の効果が相殺され、時間$t_c$では無視できるのである。この回し方は一意ではなく他にもさまざまな回し方があるので、ぜひ自分で探してみてほしい。
最後に
いかがでしょうか。シンガポールの食べ物の魅力は感じることができましたか?留学はとても良い経験になりますので、みなさんぜひ世界へ羽ばたくことに挑戦してください。あと、物理できたいならシンガポールの食べ物を食いなさい。