私は関係者でも何でもないので、特に新しい知見とかはないです。
さらに末期の情報がろくに出てこないので力尽きた。
インターネットナンバーってなに?
もはや誰も覚えていないと思いますが、その昔インターネットナンバー
という概念が存在しました。
2000年前後の話です。
https://ascii.jp/elem/000/000/312/312110/
http://ntn81.jp/guide/inn.html
簡単に言うと、URL欄に0120444444
と入力したら再春館製薬所のWebサイトに飛ぶよ、みたいな仕組みです。
え?何でそんなものが必要なの?って思いますよね。
URL欄に電話番号を入力したら検索結果が出てくるからそこから飛べばいいし、何なら直接商品名で検索したほうが早いですからね。
はい、でもそれは、今だからこそ言えることです。
歴史
当時のブラウザは検索エンジンなんてものを搭載していませんでした。
正しいURLを知っていて、URL欄に正確に入力しないかぎりどこにも行くことができないという代物だったのです。
検索エンジンも黎明期から存在はしていましたが、当時の検索エンジンは、自動でWebサイトをクロールするわけではなく、ディレクトリ型検索というものが一般的でした。
これは人間がWebサイトを探し回って手動で登録するという、今では考えられない原始的牧歌的なシステムです。
そして、ディレクトリ型検索で頂点に立ったのがYahooです。
YahooにあらずんばWebサイトにあらず。
Yahooに登録されていないWebサイトは、インターネット上に存在しないのと同義だったわけです。
今でいうGoogle八分と同じようなものですが、Yahooの場合金を払わないと登録してやらないなんてこともやっていたので更に悪質です。
この後ロボット検索エンジンの黒船Googleがやってきてディレクトリ型検索は駆逐されることになるわけですが、その短い間に現れた歴史の徒花がインターネットナンバーです。
Yahooに載せてもらえない、もしくは検索順位が低いので検索流入など絶望的、といってURLを覚えてもらえるほど重要なサービスを展開しているわけでもない。
でもURLは覚えてもらえずとも数桁の数値くらいなら覚えてもらえるかもしれない、そんな望みにすがった企業や個人が数万件ほど集まったようです。
実際、素人にはURLを打ち込むのはとても大変ですからね。
これが電話番号でアクセスできるのであれば、だいぶ便利になりますね。
また、積んだ金額に応じて電話番号より短い番号も取れました。
10桁11桁の長い番号は1万円程度と個人でも取れる程度で、そして最短では"81"みたいに2桁でアクセスできたらしいです。
このサービスが"Hatchナンバー"として始まったのが1996年、そして"インターネットナンバー"となったのが1998年です。
Googleの検索サービスが始まったのが1996年、日本語対応が2000年とほぼ同時期なので、当時としては先進的画期的な考え方だったことは間違いありません。
インターネットナンバーを実現するアプリHatch insideは一部のメーカー製PCなどにプリインストールされ、それなりに普及していたようです。
その後
インターネットナンバーは特許3762882号を取ったのですが、その後類似のパクリサービスを訴えたところ逆に特許自体が無効とされてしまいました。
でも一応、その後特許無効は無効ってされたみたい?よくわからん。
さて国内でそんなことをやっている間に、Googleが上陸してきました。
何も覚える必要がなく、うろ覚えのフレーズだけで検索できるロボット型検索というパラダイムシフトにより、そもそもインターネットナンバーという概念が不要なものになってしまいました。
それら様々な事情により、2000年代前半には早くもサービス継続できる財務状況ではなくなっていたようです。
2002年には悪名高きJWordと相互乗り入れたりと迷走を繰り広げた挙句2003年に創業者が解任され、直後GMOに吸収されました。
その後も2007年あたりまではサービス提供を続けていたみたいですが、このあたりから情報が全く出てこなくなるのでどうなったかはわかりません。
未だに稼働しているという話は全く聞かないのでとっくに終わっているのだとは思いますが、しかしサービス終了のお知らせは見当たりません。
JWordも2019年7月に終了したので、このあたりで一緒にお亡くなりになったのでしょうかね。
感想
発想そのものは決して悪くなかったと思うのですよ。
当時はホームページへのアクセス方法に重大な課題があったことは間違いないですからね。
それを実現する方法としてのインターネットナンバーも、要するに短縮URLのようなものですから、今でも通用するアイデアです。
ただ同時期に『あらゆるサイトを力業で検索しつくす』というロボット型検索が現れてしまったのが最大の敗因でしょう。
電話番号すら覚える必要もなく、思いついたキーワードを入れるだけでそれっぽい結果が現れるという利便性は圧倒的であり、Googleが軌道に乗った時点でインターネットナンバーの命運は尽きていたと言えます。