TCPとUDPの違いについて

TCP (Transmission Control Protocol)について

TCP（Transmission Control Protocol）は、インターネット上でデータを確実かつ順番通りに送るためのルール（プロトコル）の一つです。

例えるなら、TCPは宅配便のサービスのようなものです。

• 接続してから送る: 送る前に、相手に「これから送りますね」と声をかけ（コネクション確立）、準備ができてから荷物を送ります。
• 確実に届ける: 送った荷物がちゃんと届いたかを確認し、もし届いていなければ再送します。
• 順番通りに届ける: バラバラに送った荷物も、相手に届くときには元の順番通りに並べ替えてくれます。

このように、TCPは信頼性が高く、順番が重要なデータのやり取りに向いています。例えば、ウェブサイトの閲覧（HTTP/HTTPS）、メールの送受信（SMTP、POP3、IMAP）、ファイルのダウンロード（FTP）などで使われています。

TCPの主な特徴

• コネクション型: 通信を始める前に、送信側と受信側の間で仮想的な接続を確立します（3ウェイハンドシェイク）。
• 信頼性が高い: データの到達確認や再送制御などにより、データが確実に相手に届くことを保証します。
• 順番保証: 送信したデータは、受信側で送信された順序通りに再構成されます。
• フロー制御: 受信側の処理能力に合わせて、送信側の送信速度を調整します。
• 輻輳制御: ネットワークの混雑状況に応じて、送信速度を調整します。

TCP（Transmission Control Protocol）は、その信頼性の高さから、様々なアプリケーションで幅広く利用されています。主な用途としては、以下のようなものがあります。

• Webブラウジング (HTTP/HTTPS): ウェブサイトのテキスト、画像、動画などのコンテンツを正確に取得するために使われます。HTTPSはHTTPに暗号化を加えたもので、より安全な通信を実現します。
• 電子メール (SMTP, POP3, IMAP): メールサーバーとの間でメールを送信（SMTP）、受信（POP3, IMAP）する際に、メッセージが確実に届くようにTCPが利用されます。
• ファイル転送 (FTP, SFTP): ファイルをサーバーにアップロードしたり、ダウンロードしたりする際に、データが破損なく正確に転送されるようにTCPが使われます。SFTPはFTPに暗号化を加えたものです。
• リモートログイン (SSH, Telnet): 遠隔のコンピュータに安全にログインして操作したり（SSH）、古いシステムでテキストベースの接続を行ったり（Telnet）する際に、コマンドや応答が正確にやり取りされるようにTCPが用いられます。
• データベース接続: アプリケーションがデータベースサーバーと通信し、データの読み書きを行う際に、トランザクションの整合性などを保つためにTCPが利用されます。

UDP (User Datagram Protocol)について

UDP（User Datagram Protocol）は、TCPと同じくインターネット上でデータを送るためのプロトコルですが、TCPとは対照的に、高速性を重視した、よりシンプルな仕組みを持っています。

TCPを宅配便に例えるなら、UDPは手紙やメール便のようなイメージです。

• 送るだけ: 送る前に相手との準備（コネクション確立）をせず、荷物が届いたかの確認もしません。とにかくデータを送るだけです。
• 早く届くかも: 確認や順番の管理などをしない分、TCPよりも早く相手に届く可能性があります。
• 届かないこともある: 途中でデータが失われたり、順番が入れ替わったりする可能性がありますが、再送は行いません。

このように、UDPは信頼性よりも速度が重要なデータのやり取りに向いています。例えば、以下のような用途で使われています。

• 動画や音声のストリーミング
• オンラインゲーム
• DNS (Domain Name System)
• VoIP (Voice over IP)

UDPの主な特徴

• コネクションレス型: 通信を始める前に接続を確立する手続きがありません。
• 信頼性が低い: データの到達保証や順番の保証、再送制御などがありません。
• 高速: 事前準備や確認などの処理がないため、TCPよりも高速にデータを送信できます。
• オーバーヘッドが小さい: ヘッダ情報などがTCPに比べて小さいため、ネットワークの負荷が低くなります。

TCPとUDPの比較

特徴	TCP	UDP
接続	コネクション型 (接続確立が必要)	コネクションレス型 (接続不要)
信頼性	高い (到達保証、順番保証、再送制御あり)	低い (到達保証、順番保証、再送制御なし)
速度	比較的遅い	速い
オーバーヘッド	大きい	小さい
主な用途	Webブラウジング、メール、ファイル転送	ストリーミング、オンラインゲーム、DNS

どちらのプロトコルを使うかは、アプリケーションの要件によって決まります。信頼性が重要な場合はTCP、速度やリアルタイム性が重要な場合はUDPが選択されることが多いです。