はじめに
こんにちは、AIエンジニアを目指しているmitaです!
- 未経験を3年以上経験者と経歴詐称して案件にねじ込む
- Udemy個人用アカウントを社員全員で共有して使用する
- 高年収で採用したあと様々な理由をつけて降給させる
- 任意参加の飲み会を断ると会社への出頭命令が出され罰金を請求される
- マネージャーに課される仕事は部下のミスを監視し記録を取ること
- 評価方法がどれだけ成果を残したかという加点方式ではなく、どれだけミスをしたかの減点方式
- 会社への提案は「生意気」「会社を舐めている証拠」
- 会社HP・口コミサイトのネガティブ評価を削除しポジティブ評価を追加する
...これがSES企業の闇です。
未経験からエンジニアになれる夢の扉──その向こうに待っていたのは、闇だった。
そして私は、クビになった...
...なーーーんて人をこの世から1人でも減らし、SES企業の恩恵を享受できる人が1人でも増えることを目指してこの記事を作成しました。
闇が強ければ光もまた強くなるはずです。
SES企業のメリットデメリットをきちんと把握し、ご自身の成長やキャリアビジョン実現にSES企業が適しているのかのご判断に本記事を活用していただければ幸いです!
本記事の結論
SESの闇は「業界全体の闇」と「企業固有の闇」があるため、業界特有の闇が許容できるか判断し企業固有の闇が少ない企業を選ぼう!3つに注意!!
- 給与:「還元率80%」と高還元率を謳っている求人は魅力的!だが、本当に手取りに影響があるか計算式を確認しよう!!
- 案件:営業はあなたの希望より売り上げ第一!根回しや自己研鑽を重ねて自分でキャリアを切り開こう!!
- 商流:SES闇問題の本質は多重下請け構造!商流が浅い元請けSESを狙おう!!
自己紹介
私は営業からエンジニアに転向しています。
経歴の流れはこんな感じ。
大手ERPパッケージ新規営業1年 → ベンチャーSES企業でJavaエンジニア1年 → 中堅SES企業で
AIエンジニアはじめたて
2社目のベンチャーSES企業でクビになり、経歴不安定で就職先にも困り、150社以上お見送りされ人生に絶望していましたが、
色々あってもともとやりたかったAIエンジニアとしてキャリアを再スタートさせています。
SES企業の闇
SES企業は闇が深いです。だからこそ「やばい」という印象が先行して実態が見えづらくなっていると感じます。
本記事では私の実体験から、「SES業界全体の闇」 と 「企業固有の闇」 に分けて紹介します。
「SES業界全体の闇」とは、SESというビジネスモデルそのものが生み出す歪みが生み出す闇のことです。
世間で言われている多重下請け構造などが該当すると考えています。
私がお伝えしたい「企業固有の闇」は、多重下請け構造の影響を受けて醸成された企業独自の悪習のことです。
お金がないととんでもないことを平気でする企業が少なからず存在するうえに入社前ではわかりづらいというたちが悪い闇なので、頭の片隅に置いておき、就活時に怪しいと思える企業が増えてくれると嬉しいです。
SES業界全体の闇
SES業界全体の闇は大きく4つです。
1. 多重下請け構造から生まれる「上位との力関係」と「中抜き問題」
2. 経験を得るための案件に入れない矛盾
3. 単価・還元率の不透明さ
4. 営業とエンジニア間で発生する摩擦
それぞれ詳しく解説していきます。
1. 多重下請け構造から生まれる「上位との力関係」と「中抜き問題」
SES業界は多重下請け構造です。
元請け内に適する人材がいないため2次請けに依頼するも、その会社にも良い人材がいないから3次請けに依頼、そこにもいないから4次請けに...という構造になっています。
しかも下請けに出すたびに元請けが出した依頼料から3~10万程度中抜きされていくため、下請けであるほど会社にお金が入らず利益を出すことに苦労します。
エンジニアとしてはキャリアビジョンにつながる案件に入り、経験とスキルを積んで、難易度が高くやりがいのある業務で高単価案件に進みたいという思いがあります。
本来企業側もエンジニアの意向に沿った案件にアサインしたほうが長期的な利益にはつながります。
しかしそれらを実現するには短期的な赤字を賄えるだけの余裕資金が必要です。
SESは人を派遣してその代価としてお金をいただくシステムなので、派遣できない期間はそのまま赤字となってしまいます。
待機中の給与、育成にかかる費用、待機を管理する人材確保費用、エンジニアの案件選り好みによる待機の延長...etc
多重下請け構造によって利益が出にくい構造であるSESでは、エンジニアのためを思って倒産したら元も子もないので、経営に必要なお金を稼ぐために、
望まない案件に派遣する → スキルないから低単価 → 利益うすい → 退場したら再度即派遣...
という短期的視点に偏った打ち手を繰り返してしまうのです。
また、下請け企業は上位企業から「お仕事をいただいている立場」なので必然的に弱くなり、単価交渉や案件継続のお願いが通りづらく、利益確保がより難しくなっているのが現状です。
2. 経験を得るための案件に入れない矛盾
SESを利用する企業の多くは大企業です。
人材も資金も豊富に確保しています。
そんな彼らがなぜSESで人材を補強する必要があるのでしょうか?
それはひとえに安く済むからです。
一時的なプロジェクトで必要になるスキルを持つ人材を長期確保するよりスポットで外注したほうがコストカットに繋がります。
利益を生み出すことが企業の目的なので、非常に合理的な判断が下されているのです。
そうなると企業が求める人材は 「高いスキルを持っていて現場経験が豊富なエンジニア」 となります。
一方SES企業に入社される方は、 「スキルや経験が少ないため、入社ハードルの低いSESに入社してエンジニアとして経験を積もうと考えている方」 が多いです。
ここで需要と供給に大きな乖離が生まれます。
結果として起こる現象が、 「案件に入るために必要な経験を得られる案件に入れない」 というものです。
これによって、スキルが身に付きにくいヘルプデスク案件やテスター案件を4年5年と長期で続けてしまい、転職しようにもスキルがないためできずその会社に居続けることを余儀なくされる方が生まれてしまっているのです。
3. 単価・還元率の不透明さ
近年エンジニアに単価を公開する「新SES」という単語が出てきましたが、いまだ単価を公開しないSES企業は多く存在します。
その結果、従業員を低賃金で雇い利益を確保するSES企業が少なくありません。
SES業界全体で中抜きが問題視されていますが、企業内においても社員に対する搾取が行われているのです。
参考として私が所属した企業は、2社目は従業員数60名、3,4次請けがメインのベンチャーSES企業であり、3社目は従業員数700名、元請け、2次請けがメインの中堅SES企業となっています。
幸いにも単価は公開されており、相場感としては、
- 3,4次請け:Javaエンジニア・詳細設計書修正からUTまでの下流工程担当で40~50万円程度
- 元請け、2次請け:MLエンジニア・顧客折衝からPoC、本番環境移行まで担当して80~100万円程度
が現実的かなという印象です。
SESエンジニアの平均年収は20代で250~400万円程度、ボーナスなしで考えても月収21~33万円程度です。
会社は従業員の給与を払いますが、それにプラスして社会保険料の一部を負担しています。
ですので、3,4次請けの企業の場合、従業員の単価が40万円で給与が33万円となると手元に残る利益は2~3万円 しかなく、エンジニアが10~15時間程度残業しただけで赤字になります。
そのような実態があるからこそ、単価を隠し、従業員には安い給与を与え、少しでも利益を確保する動きが生まれてしまうのです。
4. 営業とエンジニア間で発生する摩擦
SES企業には外部から案件を獲得し、自社エンジニアをアサインするために動く営業が必要です。
我々エンジニアは営業の方のおかげで営業活動が不要で、契約などの面倒な手続きなく案件に参画できています。
しかし営業とエンジニアでは 「企業の利益を生み出す」「キャリアビジョンを実現する」といった目的の一致があるにもかかわらず、エンジニアを派遣してお金をいただくという構造により摩擦を生みます。
エンジニアが企業への貢献やキャリアビジョンを実現するためには「現場で成果を上げる」 ことが求められるのに対して、
営業では「売り上げを立てる」 ことが求められます。
SES企業では 売り上げを立てる = エンジニアを現場にアサインすることなので、どんな手段を使っても目標達成のためにエンジニアを現場に入れる必要があります。
エンジニアからすれば1,2カ月待って理想の案件に入りたいと考えますが、
経営目線だと、エンジニア個人のキャリアよりも会社全体の利益が優先する必要があるため、営業に対する圧力も自然と増していきます。
結果として、「エンジニアの意向は二の次!今すぐ入れられる案件に入れてしまおう!!」 という心理が働いてしまうのです。
これはどの企業でも生まれる摩擦ではありますが、お金がないという切実な状況に置かれているSES企業では顕著に表れてしまう現象となっています。
企業固有の闇
企業固有の闇は大きく4つです。
実体験と友人の話をもとに記載しています。これ以外にも闇は存在することをご留意ください。
1. 経営方針・文化の問題
2. 不適切なコスト削減
3. 単価・還元率の“数字のマジック”
4. 無理な経歴詐称の強制
1. 経営方針・文化の問題
SES企業の文化は経営陣の考え方に強く依存します。
特にベンチャーSESでは、経営者の価値観=会社の価値観となるケースが多く、これが時に歪んだ文化を生みます。
- 「現場の成果より会社への忠誠」を重視し、トップダウン型監視マネジメントが蔓延る
- 気に入らない社員のミスを監視し、誇張表現をして降給や懲戒解雇の理由にする
- 上層部開催の飲み会に参加しないと会社呼び出し & 罰金
このような企業の特徴として、当然離職率も高くなるため、社員を育成するという考えそのものがなく、社内の規則に従っているかを監視するだけのマネジメントが行われることが多いです。
現場で成果を出しても、社内政治や根回しを怠れば評価されない──そんな文化が根付くと、現場評価でキャリアを築けるSESの光が失われ、単なる「社内派閥ゲーム」に変わります。
2. 不適切なコスト削減
経営資源の乏しいベンチャーSESで特に顕著です。
コスト削減は企業の存続に必要ですが、それが倫理ラインを越えた節約に変わると闇になります。
- Udemyや有料ツールの個人アカウントを全社員で共有
- 資格試験支援はあるが、どの試験をいつ受けるのかの事前申請が必要で、申請時にスキル不足や現場業務との乖離を理由に資格取得自体を却下される
- 待機期間の給与を最低賃金レベルまで下げる契約
「お金がないから仕方ない」で片付けられるこれらの行動は、エンジニアを守るべき土台を削って利益を確保するという悪循環に繋がります。
3. 単価・還元率の“数字のマジック”
SES企業の求人でよく見る「還元率80%」「高還元!」という言葉。
しかし実際に給与明細を見て「数字のマジック」に気づく人は少なくありません。
- 還元率が「額面・手取り」ではなく 「会社負担税を含めた従業員に使用する費用」 に対する数字
- 税金・社会保険料・固定費を引いた後の実質還元率は50%以下
- ボーナスや待機期間は計算から除外されている
数字だけ見ると魅力的でも、計算式を公開していないSES企業では実態は不透明です。
「単価公開型SES(新SES)」が増えてきたのは、この闇を是正する動きの一つと言えます。
4. 無理な経歴詐称の強制
SESでは「案件に入れなければ赤字」という構造があるため、未経験者を案件にねじ込むために経歴を盛ることがあります。
ただしこれが「生存戦略」を超えて「強制」になると闇に変わります。
- 経験ゼロの言語を「3年経験あり」に書き換え
- 資格取得前に「保持」と履歴書に記載させる
- 面談前に用意されたシナリオを暗記させられ、それ通りに面談しているか監視するため録画・録音する
現場で結果を出せればキャリアになる一方で、本人のスキルと案件要求の乖離が大きすぎると炎上リスクが高まり、結局エンジニア本人が潰れるという最悪の結果を生みます。
また、企業としてはこのような実態を表に出すわけにはいかず、トラブルがあった場合はエンジニア本人の責任とされることに注意が必要です。
SES企業の光
今までSES企業の闇を紹介してきました。お察しの通りSES企業の大半はおすすめし難いのが現状です。
案件の不安定さ、給与の安さ・上がりにくさ、社内文化への不安、制度の曖昧さ...
などなど、ネガティブ要素はいくらでも出てきます。
ですが、それでもエンジニアを志す人材の受け皿となり、成長機会を提供しているのも事実です。
ここではSES企業だからこそ身につく経験やメリットなど、光の側面を3つ紹介します。
1. 「仕事を楽しむ」ために必要な行動を自然ととれるようになる
2. 技術スタックを固定せず転向しやすい
3. エンジニアとしてもビジネスマンとしても1人称でなんでも実行できるようになる
1. 「仕事を楽しむ」ために必要な行動を自然ととれるようになる
多くの社会人は、働かなくていいのであれば働きたくないなとふんわり思われているのではないでしょうか。
とはいえお金がなければ生活ができないため、大半の人は60歳前後まで仕事をされると思います。
であれば、嫌々やるよりやりがいをもって業務に取り組んだほうが合理的と私は考えていて、
そのために一番重要な要素が 「自主性」 なのではと感じています。
SES企業ではキャリアを積むためには強制的に、その自主性を培える環境が整っています。
SESは常に新しい現場、新しい人間関係、新しい技術に適応することを求められます。
配属されてしまった現場で成果を出し、自分がやりたいことをやるためにはどうすればいいのかを考えながら日々の業務に従事することになります。
結果として、資格取得やポートフォリオ作成などの自己研鑽や、お客様・営業・経営陣とのコミュニケーションを重ねて自分の意向を伝え続けるコミュニケーション能力、それらをどのように実行したらもっとも確率高く案件に入れるかを考え実行する戦略立案・実行能力など、
「環境を自分で整え、仕事を楽しめる状態にする」行動力が自然に身に付きます。
これらは劣悪な環境であるSESにいるからこそ鍛えられるスキルであり、どんな企業・どんな環境に行っても 「自分で仕事を楽しめる土台」 になります。
2. 技術スタックを固定せず転向しやすい
SESの特徴は、案件ごとに使用する技術を変えられることです。
流行や最新技術をすぐにキャリアに反映させられるのはSES企業のメリットではないでしょうか。
私の例ですと、JavaエンジニアからPythonエンジニア、MLエンジニアと技術スタックを変更しています。
また、フロントエンジニアの友人は、Service Nowの案件に入りながら、転職市場でも高評価を得られるポートフォリオを作成、「案件に入れないなら転職します」という強い武器を作り出して希望の案件に参画しています。
Javaの案件からPython、オンプレからクラウド、AWSからGCP…といった 技術的転向や業務領域拡大 を現場レベルで経験できるのは大きな光です。
もちろん闇の部分で紹介した「案件に入るために必要な経験を積める案件に入れない」という状況も起きますが、入社するSES企業を選ぶことによってその確率を抑えることが可能です(後述)。
また、お客様も人がいないから案件として市場に流していますので、募集要件にドンズバでなくても、 類似の経験があれば未経験領域に案件参画が決まることも少なくありません。
これは不安定なSESならではのメリットです。
3. エンジニアとしてもビジネスマンとしても1人称でなんでもできるようになる
SESでは「現場で価値を出す」ことが評価の全てです。
そのため、単なる技術力だけではなくビジネスマンとしての行動力・判断力が必要になります。
- 顧客との折衝、仕様調整などのコミュニケーションスキル
- 短期的な成果と長期的なキャリアのバランスを考える力
- 自分の単価・価値を数字で説明する営業的視点
結果として、SESを経験したエンジニアは 「1人称で価値を出せる人材」 に育ちやすく、ゆくゆくはフリーランスや外資系企業に転向し、裁量が大きく給与の良い環境を選べるようになります。
不安定で不確実なSES企業だからこそ、「自分ならどんな環境でも大丈夫」という絶対的な自信もはぐくまれていくこともメリットの一つです。
SES企業の選び方
SES企業は数が多いため、差別化のために独自の制度をアピールして就活生を確保しようとします。
結果として求人では耳障りのいいものが多く、誠実な企業なのか悪徳企業なのか見分けがつきにくいです。
ですので、SES企業を検討する際、下記のような点に要注意です。
-
面接が1回のみ
面接が1回のみということはその面接官にほとんどの人事決定権があるということです。
そのような組織は極度に人手が足りていないか、トップダウンマネジメントが厳しくひかれている可能性が高いです。 -
高還元率!最低保証額あり!とあったら適用条件の有無をチェック
「研修期間は適用外」「待機中は6割支給」「命令に従わない場合は適用外」など、いちゃもん条件を付けている場合があります。
入社後に色々言われて条件適用外や降給になる可能性があります。 -
商流が深い
3,4次請けのSESは利益率が低く離職率も高いです。
特別強い思い入れのある企業以外は避けるのが無難です。 -
希望言語の案件比率が低い
企業ごとに得意な言語が異なります。Javaはどの企業でも多いですが、それ以外の言語を使用する場合は確認を取りましょう。
以上のことから狙い目のSES企業は 、
「商流が浅く、給与テーブルと昇格条件が明確で、希望言語の使用比率が高く、単価が公開されている企業」 となります。
そのようなSESは人気も高く、競争率も高いですが、すべてが自分のためになりますので頑張って探していきましょう。
まとめ
SES企業は構造的問題点が多く、望んだキャリアを歩めないことも多いです。
しかし、望まない案件で得た経験が無駄になることはなく、キャリアを築くためにもがいた経験は将来必ず報われる瞬間が訪れます。
環境を変えることは難しいですが、環境を選ぶことと自分が変わることはできます。
制御可能な部分を見つけ、そこに全力を注いでいきましょう。
長々と色々書きましたが、私が言いたいことは1つです。
ポートフォリオを作って受託開発か自社開発している企業に入ろう!!!
以上です。一緒に頑張っていきましょう。