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VSCode で最高の LaTeX 環境を作る

Last updated at Posted at 2019-12-15

はじめに

レポートや論文の作成には $\LaTeX$ は欠かせないですよね。卒業論文や修士論文を書き始める方も多い時期だと思うので、今回は LaTeXVisual Studio Code を使い、レポートや論文を快適に書ける環境を構築していきたいと思います。

必要なツールのインストール

ここはあまり詳しい解説は行いません。
LaTeXVisual Studio Code がインストール済みの人はこの節は読み飛ばしてください。

  • LaTeX

    • TeX Live がおすすめです。
    • TeX Wiki に詳細な説明があります。
    • コマンドラインで platexlatexmk が実行できれば成功です。
    • Windows
      • 公式install-tl-windows.exe をクリックしてダウンロード、GUIのインストーラーに従ってください。
    • Mac

      brew install mactex-no-gui --cask
      
    • Linux (Ubuntu)

      sudo apt install texlive-full
      

  • Visual Studio Code

    • Windows
      • 公式からインストーラーをダウンロード、GUIのインストーラーに従ってください。
    • Mac

      brew install visual-studio-code --cask
      
    • Linux (Ubuntu)

      sudo snap install code --classic
      

latexmkの設定

まずは latexmk の設定です。

What is latexmk ?

LaTeX のソースを PDF にビルドする方法で

platex を複数回 → dvipdfmx

という手順がオーソドックスですよね。

でも、

  • 毎回コマンドを打つのが面倒
  • ファイルが変わったら自動でPDFを更新して欲しい

と思うことがありませんか?
これをやってくれるツールが latexmk です。
基本的な使い方は latexmk report.tex です。
ただし、エラー時のインタラクティブな修正をしたくない方は(大抵の人が当てはまると思いますが...)、下記の .latexmkrc の設定後、 latexmk -silent report.tex で実行してください。

.latexmkrc の編集

latexmk ではビルド方法などの設定を ~/.latexmkrc (Windows では %USERPROFILE%\.latexmkrc )に書くのが標準的です。

以下は私の ~/.latexmkrc の内容です。

~/.latexmkrc
#!/usr/bin/env perl

# LaTeX
$latex = 'platex -synctex=1 -halt-on-error -file-line-error %O %S';
$max_repeat = 5;

# BibTeX
$bibtex = 'pbibtex %O %S';
$biber = 'biber --bblencoding=utf8 -u -U --output_safechars %O %S';

# index
$makeindex = 'mendex %O -o %D %S';

# DVI / PDF
$dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$pdf_mode = 3;

# preview
$pvc_view_file_via_temporary = 0;
if ($^O eq 'linux') {
    $dvi_previewer = "xdg-open %S";
    $pdf_previewer = "xdg-open %S";
} elsif ($^O eq 'darwin') {
    $dvi_previewer = "open %S";
    $pdf_previewer = "open %S";
} else {
    $dvi_previewer = "start %S";
    $pdf_previewer = "start %S";
}

# clean up
$clean_full_ext = "%R.synctex.gz"

特に変わった設定はしていませんが、コマンドラインから latexmk を実行する場合でも、いい感じに動くように以下のように設定しています。

  • LaTeX のソースから PDF への変換で platexdvipdfmx を利用
  • platex でのエラーをわかりやすく
  • 対応しているエディタでは PDF プレビューから対応する LaTeX ソース箇所にジャンプ可能
  • 簡単に PDF のプレビューを行える
    • latexmk -pv report.tex のようにすることで、ビルド後に PDF を表示
    • latexmk -pvc report.tex のようにすることで、ソースを保存するごとに自動で PDF を更新

Visual Studio Code の設定

ここからは Visual Studio Code の設定をしていきます。

拡張機能 LaTeX Workshop のインストール

LaTeX Workshop は VSCode で TeX ソースを書くに必須と言っても過言ではない拡張機能です。シンタックスハイライトや補完、PDFのプレビューなど様々な機能を提供してくれます。

VSCode 左側の拡張機能パネルを開いて latex と入力し、 一番上の LaTeX Workshop をインストールしてください。

latex_workshop.jpg

settings.json の編集

VSCode では設定を settings.json に書きます。VSCode 内の左下の歯車マークから 設定 を選択し、タブ右上のファイルマークを押すと JSON が開きます。

select_settings.jpg

settings_ui.jpg

以下は私の settings.json です。

settings.json
{
    // ---------- Language ----------

    "[tex]": {
        // スニペット補完中にも補完を使えるようにする
        "editor.suggest.snippetsPreventQuickSuggestions": false,
        // インデント幅を2にする
        "editor.tabSize": 2
    },

    "[latex]": {
        // スニペット補完中にも補完を使えるようにする
        "editor.suggest.snippetsPreventQuickSuggestions": false,
        // インデント幅を2にする
        "editor.tabSize": 2
    },

    "[bibtex]": {
        // インデント幅を2にする
        "editor.tabSize": 2
    },


    // ---------- LaTeX Workshop ----------

    // 使用パッケージのコマンドや環境の補完を有効にする
    "latex-workshop.intellisense.package.enabled": true,

    // 生成ファイルを削除するときに対象とするファイル
    // デフォルト値に "*.synctex.gz" を追加
    "latex-workshop.latex.clean.fileTypes": [
        "*.aux",
        "*.bbl",
        "*.blg",
        "*.idx",
        "*.ind",
        "*.lof",
        "*.lot",
        "*.out",
        "*.toc",
        "*.acn",
        "*.acr",
        "*.alg",
        "*.glg",
        "*.glo",
        "*.gls",
        "*.ist",
        "*.fls",
        "*.log",
        "*.fdb_latexmk",
        "*.snm",
        "*.nav",
        "*.dvi",
        "*.synctex.gz"
    ],

    // 生成ファイルを "out" ディレクトリに吐き出す
    "latex-workshop.latex.outDir": "out",

    // ビルドのレシピ
    "latex-workshop.latex.recipes": [
        {
            "name": "latexmk",
            "tools": [
                "latexmk"
            ]
        },
    ],

    // ビルドのレシピに使われるパーツ
    "latex-workshop.latex.tools": [
        {
            "name": "latexmk",
            "command": "latexmk",
            "args": [
                "-silent",
                "-outdir=%OUTDIR%",
                "%DOC%"
            ],
        },
    ],
}
  • "editor.suggest.snippetsPreventQuickSuggestions": false"editor.tabSize": 2 は言語ごとの設定にしています。もし、全ての言語に適用したい場合は、"[tex]": {} などでラップせず、グローバルに直接書いてください。

スニペットを登録

拡張機能を入れただけでも多くのスニペット(よく出てくるパターンのテンプレート)が提供されますが、独自でスニペットも定義してみましょう。

VSCode 内の左下の歯車マークから ユーザースニペット を選択し、 latex を選択すると latex.json が生成されます。

select_snippet.jpg

select_snippet_latex.jpg

ここでは授業レポートを想定したユーザースニペットを定義してみます。

latex.json
{
    "report": {
        "prefix": "report",
        "body": [
            "\\documentclass[${1:a4paper,11pt}]{${2:jsarticle}}",
            "",
            "",
            "% 数式",
            "\\usepackage{amsmath,amsfonts}",
            "\\usepackage{bm}",
            "% 画像",
            "\\usepackage[dvipdfmx]{graphicx}",
            "${3}",
            "",
            "\\begin{document}",
            "",
            "\\title{${4}}",
            "\\author{${5}}",
            "\\date{${6:\\today}}",
            "\\maketitle",
            "",
            "",
            "$0",
            "",
            "",
            "\\end{document}"
        ],
        "description": "授業レポート用テンプレート"
    }
}
  • 最初の "report" キーは分かりやすい一意の文字列なら何でも構いません。
  • "prefix" の値はスニペットを呼び出すときの名前です。
  • "body" の値はスニペットの内容です。リストの各要素はそれぞれ1行に展開されます。また、 $1 (初期値付きは ${1:foo} ) のようにすることで入力箇所を作成でき、 Tab キーを押すごとに $1 から数字の順に移動します。ただし、 $0 は少し特殊で最終的な移動先を表します。
  • "description" は選択時に表示される説明です。

実際に使ってみよう

設定は以上です。
ここからは実際に LaTeX ソースを書きながら幾つか機能を見ていきましょう。

ユーザースニペット

さきほど設定した report スニペットを呼び出してみましょう。単に report と打って出てきた候補を選択すればスニペットが展開されます。また、Tab キーで次の入力箇所に移動できます。

一瞬でレポートの雛形が出来上がりましたね。

snippet.gif

ビルドとプレビュー

ctrl + alt + b ( Mac では command(⌘) + option(⌥) + b ) で TeX ソースのビルドが出来ます。一度ビルドすると保存するたびに自動でビルドしてくれます。また、 ctrl + alt + vcommand(⌘) + option(⌥) + v ) で横にプレビューが開きます。

これらはコマンドパレットや TeX パネルの中からも実行できます。

build_and_preview.gif

PDF から TeX ソースにジャンプ

PDF ビューワー上での ctrl + クリックcommand(⌘) + クリック ) で対応する TeX ソース箇所にジャンプできます。

jump.gif

まだまだ機能はたくさん

LaTeX Workshop は他にもたくさん機能を持っています。例えば、

  • ctrl + alt + ccommand(⌘) + option(⌥) + c )で生成ファイル( .aux など)を削除
  • 多種多様なスニペット
    • \foo\begin{foo} 〜 \end{foo} といった環境の展開
    • @a\alpha@b\beta といったギリシャ文字の展開
    • MRM\mathrm{}MBF\mathbf といった数学用フォントの展開
  • 多機能なサイドバー
    • ナビゲーション
    • スニペットパネル

などがあります。

ここで紹介した機能はほんの一部なので、時間があるときにでも wiki を見てみるといいと思います。
ぜひ、自分にあった設定を見つけてください。

おわりに

長くなりましたが、かなり快適にレポートや論文を執筆できるようになったかと思います。
もし間違っているところや疑問点がありましたら、コメントでお願いします。
それでは、よい $\LaTeX$ ライフを!

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