線形微分方程式を解いてみよう
自己紹介
なんかわちゃわちゃしてる高専生です。アニメと本が好きな平凡な高専生なので仲良くしてください。最近は限界開発鯖に生息しています。
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序論
今回は線形微分方程式を解いてみます。
名前だけ聞くと難しいかもしれませんが、微積の基本操作が分かっていれば難しくありません。段階を踏んでしっかり計算をすれば、怖いモノなしです。頑張りましょう。一応、微分・積分を知っている状態の人を対象に、厳密な部分の証明や性質は省略していきます。間違いがあれば教えてください。
微分方程式
微分方程式とは
微分(例:$\frac{dy}{dx}$)の式が含まれている方程式のことです。身近な方程式で出すとすると、
$\displaystyle \frac{d^2x}{dt^2} = \frac{F}{m}$
ですね。これはさらにかみ砕くと、F=ma
ということです。運動方程式のことです。加速度は変位の2階微分したものなので、それと時間という変数の関係式を変位と時間の関係を加速度という時間で微分されたものを介して表現しているわけです。これを解く、ここでは変位を求めるために方程式を積分してx
をもとめることにより変位と時間の関係を導きます。
基本方針
微分方程式を解くためのおおまかな方針があります。単純な微分方程式、ここでは1階微分方程式を扱いますが、1階はこの方針に従えばたいてい解けると思います筆者の妄言の恐れあり
- 変数分離形にする。
- 積分記号を付ける。
- 任意定数を定める。
……それだけだって、ですか?そうです。微分方程式は決して難しくありません!!
直接変えることのできない形はあります。(例: 同次形)が、それも微分積分でやったように合成関数という最強の武器を使って変数分離できる式にすればいいわけです。
では早速簡単な微分方程式を解いてみましょう。はじまりの町の森にわくスライムレベルだと思って頑張りましょう。(参考までにいうと今回の目標の線形微分方程式を解くのは同じ例えではロックゴーレムくらいでしょうか、ポケモンなら4番目のジムくらいでしょう。多分。)
$\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{y}{x}$
さぁ、第1ステップです。変数分離形にしてみましょう。
え?変数分離形って何って?読んで字のごとく、変数を分離した形にすることです。今回は、yはyで固めて、xはxで固めましょう。Vim派とEmacs派をごちゃまぜにしたら面倒です。そんな感じです。
ここで、$\frac{dy}{dx}$はひと塊だと思う人がいると思います。しかし、ここでは詳しい説明を省きますが。分数式と同じ扱いができます。 なので、両辺に$\frac{dx}{y}$をかけます。すると、
$\displaystyle \frac{dy}{y} = \frac{dx}{x}$
ここで1点注意 : 必ず$dy$、$dx$は分子に持ってきましょう。変数分離で解くためにはこうしなければいけません。
さて、変数分離した状態で次の性質(公式)を使います。
$\displaystyle 変数分離形微分方程式の一般解は、次のように表せる。\ \int\frac{1}{g(y)}dy = \int f(x)dx + C (Cは任意定数)$
つまり積分記号つけて定数付けちゃえば残りの2ステップを終わらせられるという魅力的な変形です。素晴らしいですね!!これでこの問題も倒せます!!
よって、
$\displaystyle \int \frac{1}{y} dy = \int \frac{1}{x} dx \\ \log |y| = \pm \log x + C (Cは任意定数) \\ y = Ax (A := e^C)$
これでお終いです。長いと思った人はたぶん微積の経験値がたまっていません。しっかり経験値をためてから再挑戦してみてください。微分方程式は逃げないので自分のペースで頑張りましょう!!
演習問題をいかに置いておきます。微分方程式の練習になりそうな問題をある程度ひねってみたので、頑張って挑戦してみましょう!!
演習問題
$以下の微分方程式を解け。 \\ (1) ydx + xdy = 0 \\ (2)y' = y\sin x \\ (3)(x-4)ydx + (y^2 - 4)xdy = 0$
本題の前に
さて、これから線形微分方程式の解法を導出しますが、略記のために今回はxの関数を単純に大文字のみで表現します。$P(x)$ -> $P$ のように表現します。
本題
さぁ、線形微分方程式を解いていきます。(正確には公式を導きます。)
今回扱う1階の線形微分方程式というのは、まず線形が主となる変数(ここでは$y$)とその導関数の1次式になっているという認識で思ってください。つまり、
$\displaystyle \frac{dy}{dx} + Py = Q…(1)$
のような形の方程式を解いていきます。これからどんどんたのしくなりますよ~~!!
まず二つも$x$の関数があると面倒です。例題にそんなのないので困りますよね。なので$Q$を1回0にしちゃって(0になるような$x$という前提で)方程式を解きましょう~~~
- Pだけしかxの関数がない式で一回解いてみる。
$\displaystyle \frac{dy}{dx} + Py = 0…(2)$
まずは普通に変数分離形にしましょう。現在多項式の形をとっているので、このまま整理しても構いませんが、ここでは移行して変数分離形にしていきます。
$\displaystyle \frac{dy}{y} = -Pdx \\ \log |y| = -\int Pdx + C (Cは任意定数) \\ y = e^{-\int Pdx}A (\pm e^C := A)…(3)$
これで$y$の値が一時的に定まりました。しかしこれはまだ途中の段階です。なぜなら、Qを0に固定して考えているので、今度こそ$Q$がどんな関数をとってもいいように$y$の値を定めなければいけません。さぁ、どうしましょう。 ……おや?こんなところに任意定数があるじゃないですか!!!いや~これがあるおかげで$Q$が何になっても$y$の値を変えられるので安心です。でも、$A$のままだとよくわからないし、それだと$Q$がなくてもいい感じになりませんか?なのですっきりするために$A$も決めちゃいましょう!!$Q$は$x$の関数なので、$Q$が定まる時$A$も定まるならば、$A$は$x$の関数だとよさそうって感じになります。なります。(大事なことなので2回言いました。)
ここで$A := U(x)$とします。(以下Uと表記)
そして$y = Ue^{-\int Pdx}...(3)'$となるので、これを$Q$のある式に(つまり(1))
- (3)を(2)に代入
$\displaystyle \frac{dy}{dx} + PUe^{-\int Pdx} = Q$
あれ、$\frac{dy}{dx}$もyについての式なので代入しないといけません。しかし導関数なので、一工夫しましょう。$x$の関数の積として$y$は導かれています。はい積の微分です。
- 積の微分
$\displaystyle \frac{dy}{dx} = \frac{dU}{dx}e^{-\int Pdx} +U\frac{d}{dx}e^{-\int Pdx} \\ = \frac{dU}{dx}e^{-\int Pdx} - PUe^{-\int Pdx}...(5)$
- (4)に(5)を代入して
$\displaystyle \frac{dU}{dx}e^{-\int Pdx} - PUe^{-\int Pdx} + PUe^{-\int Pdx} = Q \\ \frac{dU}{dx}e^{-\int Pdx} = Q \\ \frac{dU}{dx} = Qe^{\int Pdx} \\ U = \int Qe^{\int Pdx} + B (Bは任意定数)...(6)$
これで$Q$が$x$の関数を取る時にも$A$が定まるような式を出せました。
ここまでちょっと長いですがまだ倒しきっていません。油断せずとどめを刺しに行きましょう。
まず、原点に立ち戻って、微分方程式は何を求める方程式かということを考えましょう。
そうです。元の関数、$y$を求めることです。そして、$A$を関数として定めた$U$があります。これを組み合わせて、Mission Completeです。最後の仕上げ、頑張りましょう!!
- (3)'に(6)を代入する
$\displaystyle y = e^{-\int Pdx}(\int Qe^{\int Pdx}dx + B) (Bは任意定数)$
終わりに
お疲れさまでした~~~!!!私も書いてて非常に疲れましたが、皆さんと一緒に導けることができてうれしいです。ちなみに数学用語では(2)のことを補助方程式といいます。
また、私が何気なく使った定数を関数に見立てて特殊解から一般解を求める手法を定数変化法と言います。
今後は微分方程式の応用例なども紹介したいんですが、その前に色々紹介しなきゃいけない事項があるのでそちらに寄り道をしていくことになります。ちょっと険しい道のりにはなりますが、一緒に乗り切りましょう!!
また、知識が豊富な方は、ぜひまさかり(揚げ足取り)をどんどん投げてください!!僕もできた人間ではないのでミス、表記ゆれ、文法誤用等、発生してしまいます!!指摘、どしどしまってます!!!
次回予告のようなもの
次回、三角関数を代数関数にお化粧をしちゃいます!!