はじめに
この記事は 1on1 Advent Calendar 2019 の6日目の記事です。
1on1は色々なやり方があり、今回のアドベントカレンダーでも様々な手法が紹介されていてとても参考になります。この記事では少し視点を変えて、1on1の本編ではなく実施する前と実施した後にスポットを当てて、私が取り組んでいる事例を紹介します。
なお、前提として私が普段行っている1on1の状況を整理しておきます。
- 1on1の形式:マネジャー(私)の担当部署における、上司と部下で行う1on1
- 対象者の属性:新人から同世代のベテランまでのエンジニア
- 対象人数:9人
- 実施頻度:月に1回(ただし、別途目標管理面談を実施しており、上司と部下の面談機会は2週間に1回)
- 1人の実施時間:30分
普段毎日接しているとはいえ1対1で接する貴重な機会であり、1on1は次回以降にも継続します。そのため、1on1の本編はもちろん、実施するまでの準備や実施した後のアクションも重要だと考えています。
Before
1on1を実施する当日や前日に30分〜1時間ほど時間を取って準備します。
前回何を話したかを確認する
前回の1on1の記録(後述)を確認しておきます。もちろん、前回の話題を次も取り上げるかどうかは状況次第ですが、もし前回の1on1で重要なアクションを決めていたなら、上司としてそのアクションの状況を確認すべきです。普段の業務で既に状況を把握していたとしても、1on1で決めたことを改めて1on1で振り返る習慣ができれば、信頼関係と1on1の継続的価値が高まると思います。
何を話すかテーマをピックアップする
前回の1on1から直近までに起きた様々なことを思い出しながら話題となりそうな、例えば次のようなテーマをピックアップします。
- 個人目標の内容と取り組み状況
- 直近の業務の状況
- 普段の生活、健康状態など
- 上司としてフィードバックしておくこと
相手の言っていることに対して「えっと、どの件だっけ?」と言っていたらあっという間に貴重な時間は過ぎてしまうので、多忙なときでも必ず事前に思い出す時間を確保して重要なトピックスをピックアップします。
話すことを絞る/優先度順に並べる
1回で話せる時間は限られていますし、相手が話したい別のテーマもあるかもしれません。そのため、前述の前回話したこととピックアップしたテーマを整理し、話題の優先順位を決めます。話したいことがたくさんあったとしても、なるべく決めた時間で終わるようにしています。毎回同じ時間で終わることによって、その時間内に集中して話をするリズムが生まれます。
また、たくさん話したからと言って相手が全部受け入れられるとは限りません。1回にたくさんの種類のことを話題にすると、1つずつの記憶は薄まってしまいます。どうしても伝えたい重要なことがあるなら、なおさらそれを最優先にして絞り込みます。
なお、どうしても時間が足りないと感じた時は、そのテーマは本当に1on1で話すべきことかを考えてみても良いかもしれません。例えば、業務の問題点や勤務態度などは、1on1ではなくきちんと時間を取って上司として指導すべきことかもしれません。
進め方や話し方の確認
他の投稿者も紹介されていますが、あらかじめ1on1の進め方をテンプレ化している場合、事前にそれをおさらいしておきます。
私は『 ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法 』に紹介されている流れをベースに、毎回の1on1で振り返った後の改善点などを注意事項としてメモしています(後述)。特に、前回の1on1で改善すべきと感じたポイントは必ずおさらいしておきます。
After
1on1を実施した当日、遅くともその週のうちに話したことをまとめて、ふりかえりを行います。1on1自体が続けて何人も実施するものではないと思いますが、実施後にまとめる時間のことも考えて、多くても午前中2人、午後2人ぐらいのペースで数日に分けて実施しています。それとは別に、10分ほどふりかえりの時間も取っています。
話したことをまとめる
1on1の実施中は話をすることに集中しほとんどメモを取らないようにしているため、終わったあとで話したことを箇条書きで記録します。終わった直後にキーワードレベルでサッとメモしておき、その日のうちに箇条書きにまとめ直します。プライベートな話題などもあって基本的には口外しない前提なので、自分があとでわかれば良いレベルのメモです。
決めたことを本人と共有する
話したことのうち、今後の業務の取り組みなどについて2人で決めたことは、チャットで本人へ共有しています。話したことを行動に移してほしいという期待と、内容の認識合わせ、そして前述したように次回の1on1で改めて話題にする場合もあるための共有でもあります。
ふりかえり
1on1の内容とは別に自分自身の1on1の進め方や話し方についてふりかえりを行っています。以下のような簡易的なふりかえりシートを作って1on1中に起きたことに対する気づきなどを洗い出し、それに対する改善アクションを考えます。
ポイントとしては1on1は上司と部下の1対1の対話なので、「気づき」の部分はあくまで相手ベースで起きたこと、気づいたことを書くことです。例えば、「メモを取らず相手を見て話すべきと気づいた」ではなく、相手に視点を置いて「メモを取っている間に○○さんの集中が切れてしまったように見えた」という気づきを書き出して、改善アクションとして「メモを取らずに相手に集中して話す」というアクションを決めます。
例)1on1ふりかえりシート
日付 | 気づき | クライアント(相手) | 改善アクション |
---|---|---|---|
xx/xx | メモを取っている間に○○さんの集中が切れてしまったように見えた。 | ○○さん | メモを取らずに相手に集中して話す。 |
おわりに
1on1のBeforeとAfterについて紹介しましたが、もちろん本編と切り離して考えるものではないので、本編次第で変わる部分もあります。きっちり準備しても、ざっくばらんに世間話をすることもありますし、特にふりかえることが無い場合もあります。あくまで一例として参考になれば幸いです。