対象読者
この記事の対象読者は下記になります。
- 1on1を実施する上司(メンター)
- 1on1に呼ばれたエンジニア
- 1on1をこれから開始・検討している人
- 1on1でとりあえず悩んでいる人
- チームマネジメントでチームワークを強化したい人
目次
- 簡単な自己紹介&経歴紹介
- 1on1の目的
- 1on1の話題
- 1on1のよくある事例
- 1on1のスキルアップに必要な事
- 参考文献
簡単な自己紹介&経歴紹介
名前は大山亮と申します。とある中小企業の開発部課長をしつつ、その傍らで個人事業アキレアソフトを営んでおります。
プログラミングに興味を持ち、始めたのは高校生からです。
そのまま興味の赴くままに情報系の大学を入学・卒業し、IT業界に新卒で入ってそのまま10年と少し経った所となります。
ざっくりとしたキャリアとしては上から順に
- テスター
- フロントエンドエンジニア
- バックエンドエンジニア
- アプリエンジニア
- フルスタックエンジニア
- プロジェクトマネージャー
- エンジニアリングマネージャー
みたいにジェネラリスト寄りのステップアップを順当に歩んできた感じになります。
なので、エンジニアの立ち位置としても、マネージャーの立ち位置としても双方の観点で理解が深められるように本記事をまとめていき、
この記事を見た人の一助になれれば幸いです。
1on1の目的
早速ですが、1on1を実施中の方、又はこれから実施しようと考えている方、参加している方、
全員を対象に伺いますが、1on1の目的を聞かれて即答できますか?
もしかしたら、中にはすぐ回答できる方もいるかと思いますが、
改めて各々の立ち位置を踏まえながら記載の内容を見ながら振り返っていただければと思います。
上司・マネージャーの場合
上司・マネージャーの場合、複数の立ち位置が存在します。
会社としてミッションを帯びている部分、組織・チームを牽引する者として改善を進めていきたい部分、
自分自身にとって何らかの利益の部分、大きく分けるとこの3点になるかと思います。
※他にも何か立ち位置があればコメントいただければ嬉しいです。
エンジニアの場合
エンジニアとしては、自分自身にとっての何らかの利益の部分、又はチームにとっての利益の部分の
2点に分けられると考えています。
※こちらも他に何かあればコメントいただければと思います。
上記の立ち位置を踏まえて
これらザックリを掘り下げるとどうなるかというと、
会社としてのミッションを帯びている部分
- 離職率を低下させる
- 士気を向上させて生産性の向上に繋げる
- 査定の参考にする
- 社員情報を収拾する
- 社員情報を収拾した上で、組織について何らかの検討をする
- その他色々
組織・チームを牽引する物として改善を進めていきたい部分
- メンバーの考えや状況を知る
- PJを進める上での問題点の検知
- チームビルディング施策のための情報収拾
- メンバーとのコミュニケーションを円滑にして生産性を上げる
- 立ち位置によっては会社としてのミッションを帯びている部分と共通する部分
- その他色々
自分自身にとって何らかの利益の部分(上司・マネージャー、エンジニア共通)
- 自分自身の振り返り
- 主に仕事での困っている事に対するアプローチ手段の検討
- 今後のキャリアについて検討
- 相談しやすい環境作り
- 自分以外の観点からの技術的な情報の収拾
- 置かれている状況から得られる経験の蓄積
- その他色々
チームにとっての利益の部分
- チーム改善の議論
- チーム全体としての困りごとの共有から解決手段検討
- メンバー間でのトラブルの調停・調整
- その他色々
まとめ
上記で挙げたように立ち位置によって目的は色々と考えられます。
それは複数であっても良いものなのです。
ただ最も重要になるのが、これらの目的を認識し、互いに動機付けができて1on1に参加できる状況となります。
そして、いずれの目的にしても互いに歩み寄りながら、1on1の環境を作っていく必要があります。
上司が必死になって一方的に話したり、話を強要するということは逆効果になり得る事がわかります。
まずは双方の目的を認識した上で達成できるよう、落ち着いた1on1の場を作る事を心がけましょう。
1on1の話題
1on1とは相手との関係性によって話題が変わってきます。
難度が低い順からSTEP1とし、それに合わせたメリット・デメリット・運用方法をまとめていきます。
事前準備
メンターは1on1を実施するにあたって、必ず一人一人に対して1on1のシートを作成してください。
書く内容としては、相手がどんな人なのか、以前どのような話をしたのか、次に話す話題は何か、
どういう事を考えているのか、どういう将来性を検討しているのか等、
色々と観点はありますが、話題の内容に合わせて記録を取るようにしましょう。
特に多くの人と話す立ち位置の方は、話した内容が記憶違いになるリスクは高く、
1on1シートを使って効率的に話を進めると良いです。
STEP1
- 雑談
- メリット
- 手軽に始められる
- コミュニケーションを取りやすい印象が持てる
- デメリット
- 話題のチョイスは個々人かつその時の状況に依存するため、再現性はあまりない
- 雑談に偏ると1on1で定義した目的を達成することは難しい
- モチベーションについての影響はほぼない
- 運用方法
- 自分の中の雑談のルールを決める
- 最初の5minのみ
- MAXで15minとする
- 他の話題で詰まった場合に、関連の雑談に持ち込んで気軽に話せるように調整する
- 自分の中の雑談のルールを決める
- メリット
- 互いの目的の認識合わせ
- メリット
- お互いの狙いが明文化できる
- 共通の目的に従ってメンバーと1on1をできるため、1on1に対するモチベーションにプラス
- 目的次第では広い話題、広い視点を持ってアプローチをできるため、双方に取って利益のある学習に繋げられる
- デメリット
- 人によっては目的を押し付けられると感じる可能性がある
- 考えるのが苦手な場合、目的を定義できない場合がある
- 運用方法
- なるべく1on1を始めたての頃にやっておくと有効
- 途中で目的が変わることを許容する
- デメリットの部分が強く出ないように、なるべく相手に考えてもらう
- 方向性を示したい場合
- サンプルとしてメンター側が先に目的を言う
- メンティーの目的のサンプルをいくつか提案し、考慮のとっかかりを作る
- メリット
- 業務の報告
- メリット
- 直近の業務で起きてることを把握できる
- 困っていることのサポートができる可能性があり、信頼性に繋がる可能性がある
- 知見のある技術周りだと話を広げられる
- デメリット
- 問題ありませんという報告は許容しない
- 概要を聞き出し、進捗状況を明瞭にする
- 困っていることに正しいアプローチができなかった場合、信頼性はむしろ低下する
- 1on1の主目的に据えた場合、話題がすぐに尽きる
- 問題ありませんという報告は許容しない
- 運用方法
- ある程度報告者に委ねて、思考の整理を手伝う
- 問題点がある場合、正しい手段でアプローチを行う
- 予めメンターができること、できないことを明確にしておき、期待値調整を行う
- メリット
- 今後のスキルマップ
- メリット
- 業務と将来のスキルマップの組み合わせで把握した場合、本人にとって望ましいタスクをアサインできる
- メンターが支援することで業務への貢献が期待できる
- メンティーとの信頼関係に直接影響を与える箇所になる
- 個々人に沿った提案が必要なため、幅広い知識を得る機会に繋がる
- メンティーのレベルや性質によってはデメリットにもなり得る
- デメリット
- 聞くだけで支援をしない場合は、逆効果になり得る
- 相談しても意味がない人物と認定されるため
- 長い目で見る必要があるテーマのため、それ相応のコストが必要
- 業務とのアンマッチが発生してる場合、調整が困難
- 聞くだけで支援をしない場合は、逆効果になり得る
- 運用方法
- 自分のスキルマップに自信がある方にはお勧めの話題
- メンティーの性質を見極めた上で話題の出し分けを行う
- 上昇志向のあるメンティーにはコーチングの技術と兼ね合わるとやりやすい
- 自分がどういう技術を学びどう効果があるのか考えてもらい、高いモチベーションを保ってもらう
- スキルマップや目標を達成した際には正しく評価する
- メリット
STEP2
-
傾聴
STEP1を繰り返すことで、お互いの理解が深まっていきます。
次に必要になるのが、信頼関係となります。
1on1のみで信頼関係を構築するのは至難の業ですが、傾聴をすることである程度の信頼関係の構築の足がかりになります。
(私にとっては特に)難しい技術だと思いますので、STEP2はこの傾聴についてのみ言及していきます -
傾聴とは?
漢字読み取れるのは傾き聴くとなりますが、その漢字通りで、相手の言葉に対して否定せず心から真正面に相手の話を聴く技術となります。
人間誰しも自分の考え方が正しいと思いたいという部分があるため、そこと噛み合わない場合、どうしても話がぶつかってしまう事がありますし、
言葉に出さずとも心の中で色々と考えが出てきて、素直に聴き続ける事は慣れないとかなり難しいです。 -
傾聴によるメリット
- 相手の本質的な問題や感情に気付くことができる。
- 信頼関係の構築が進む。
- 対話の質が向上し、より深いコミュニケーションが可能になる。
- 傾聴のコツ
- 自分の考えを切り離し、無条件で相手の話を受け入れる姿勢を保つ。
- 相手が完全に話し終えるまで待つ、中断しない。
- 適切なフィードバックや共感の言葉で、相手の話を理解していることを示す。
- わからない点、認識が一致しない点は理解できるよう聞き直す。
STEP3
1on1の進め方の次のステップでは、互いの目的や期待を明確にしながら、実際の業務やキャリアに関する具体的な話題や課題に深く触れていくことが重要になります。これにより、双方の理解がさらに深まり、具体的なアクションや取り組みが生まれやすくなります。
1on1のよくある事例
- シーン1
- ダメな事例:「困っていることはありますか?」「相談したいことはありますか?」
- 良い事例:「最近思うことはありますか?」
- 解説
こちらのダメな事例ですが、実は相手に寄り添えていないです。
一見「よし、悩み事を聞くぞ!」と勇んで傾聴の姿勢に見えます。
が、
- 過去の振り返り
- 振り返りから悩み・相談の精査
- 言語化
の3ステップを相手に暗黙的に要求しています。
1on1のスキルアップに必要な事
- 双方の期待値を明確にする
- コミュニケーションスキルの向上(傾聴力、フィードバック能力など)
- 定期的な自己反省と振り返りを行うことで、1on1の質を継続的に向上させる
- 相手の話している領域/分野への理解
参考文献
1on1ミーティングで悩んだ時に読む本
わかりやすくまとまっているため、お勧めです。