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Scrum Fest Sapporo Day 1 参加レポート「Kazumasa Ebata - 基調講演」

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Scrum Fest Sapporo Day 1 「Kazumasa Ebata - 基調講演」

2020/11/06に開催されたScrum Fest Sapporoの発表です。
https://confengine.com/scrum-fest-sapporo-2020/proposal/15008

チーム参加してきました

aslead Agile のチーム「オキザリス」にて参加してきました。
チーム7人中、6人で参加して、その場で実況しつつ、記事も作っています。

みんなで作る基調講演

プレセッションで興味があることを聞いてきて、その内容で基調講演を行っています。
Miro, zoom等々で興味があることを募集しつつ、進めていきます。

1人しか担えないスクラムの役割がある、どう選ぶか

お客様がやるのか適正がある人がやるのか。
確率論として一体どう選んでいくのがいいのか。
秘書問題という数学的問題に関連させて、この問題を解いていきます。

キーワード:37%

秘書問題

- 秘書を1人雇いたいとする。
- {\displaystyle n} 人が応募してきている。{\displaystyle n} という人数は既知である。
- 応募者には順位が付けられ、複数の応募者が同じ順位になることはない(1位からn位まで重複無く順位付けできる)。
- 無作為な順序で1人ずつ面接を行う。次に誰を面接するかは常に同じ確率である。
- 毎回の面接後、その応募者を採用するか否かを即座に決定する。
- その応募者を採用するか否かは、それまで面接した応募者の相対的順位にのみ基づいて決定する。
- 不採用にした応募者を後から採用することはできない。
- このような状況で、最良の応募者を選択することが問題の目的である。

100人いたら、36人は有無を言わせず不合格にする。37番目以降は36番目以前のもっともいい人と比較し、いい人が出てきた時点で採用する。37%という数字を活用したことがある人は、ほとんどいない。

方法論がうまくなるってことはない。そこで能力を発揮できる人が成果を出していく、というのが基本。
作業手順や物事の進め方が多少変わっただけ。多少変わっただけで成功と捉えていいのか?

スクラムを導入しようとする人に起こりがちな問題

慣れてる方法論でやり方にこなれてきたとき、そこでいきなりスクラムを導入して、0からやらなきゃいけないのかという人達もいる。
スクラムを導入する側をSグループ、導入される側をAグループとすると、SグループはAグループに「スクラム導入するといいよ」と言っていく。

Aグループには「方法論がやりたい人なんだな」と映る。このとき、Sグループは根拠を示せないことが多い。
そのやり方がいいって言っている人たちには、学術的な根拠を示せない。経験則からしか言えない。

それでも、ちょっとした問題や目の前の問題に対応する経験ができると、「これはよかったんじゃないか」って見えるようになってしまう。
そこで、自己能力を成長させていっている人はいない。

導入していきますって言った人たちがどうなるかというと、途中で息切れてしまう。
方法論を導入するところまでになってしまい、ビジネス的な成功まで行くことはない。
やり方が悪い、周りの環境が悪い、といった結論になってしまう。

スクラムで残念だと思うこと

自己研鑽をどれくらいしているのか、というのが問題。
やり方論に行ったときに、自分の能力をどのように伸ばしていっているのか?
POがどのように能力を伸ばしていっているのか?
スクラムをやることが大事になってしまっていて、効果を出すためにどんな人選をしているのか?
多分、なんとなくやってみる、になっている。
それはスクラムマスターという名前がついているだけで、役割はやっていない。
スクラムで考えていることって、本質的な問題として行っているのは、「役割」「責任」を分けているのは、「役割」を先に名乗って、あとから能力が付いてきますとか、役割に価値があります、みたいに錯覚するのは、「役職」がつくと強くなった気がする既得権益の考え方と一緒。

スクラムで「仮説検証しましょう」と言っているのに、自分の能力や人選に仮説検証をしているのか?
様々な解かれている学術的な問題を応用して、スクラム以外のエッセンスをどれだけいれて、もっとよくしようと取り組んでいるのか?
スクラムであまりそういう話を聞くこともなければ、一生懸命スクラムのことを頑張ってやろうとしている。
「それって何をよくしたくてやっているんですか?」

組閣・人選に対して学習している人がいない。
チームビルディングや心理的安全性に対して、柔らかい物腰で…みたいな話をしてもうまくいくのか?
組織的な歪みが起こっているのに、上記のやり方でうまくいくか?

ドイツ・EUの人たちと議論することが多い。
彼らは数学的・組織論的な観点で話すことがある、なぜか日本では少ない。
正しい感覚と不適切な感覚。
ロジックを適切に説明しないのに感覚で話をする。ロジックジャンプ。
説明もできないのにスクラムいいですよねーみたいな。それでは誰も信じられない。

うまくPOを選ぶには?

会社の中で37%って何人くらいだろう。
100人で考えたとき、36番目まではどういった理由で落とされるのだろうか。
この方法論であれば37番目に面接するのがよいということになる。
秘書問題では1番目に名乗りを上げると落とされてしまう。
どのタイミングでどの能力を評価するかが重要。
プロダクトバックログはPOが責任を持つ。ということはPOはプロダクトバックログの管理に精通していないといけない。
実際にプロダクトバックログについて説明を求めると経験に頼っていることが多く、論理的に説明できることが少ない。

「なぜその順番でプロダクトバックログが並んでるんですか?」
「なんとなく」

秘書問題であっても単純に理解するのではなく、別の側面からも理解する必要がある。
POの人選は非常に重要。
「何か学術的なベースなどがあってそれで選定することなんてあるんですかね?」ということを会話したいと思ってトピック持ってきました。

プロダクトオーナーの選定基準は簡単なものではなく、
代り映えしない考え方の中で、他社とどう差別化するのか。同じようなスクラムをやっているだけでは差別化できない。

方法を感覚的に選択するのではなく、学術的に根拠を示したうえで選択する必要がある。

学術的根拠に基づいた人が日本にはいないので、日本に優秀なPOは少ないと思っている。
感覚的に問題に対応してる。

Problemだと言い始めて、感覚的に出し始める。そして別のメソッドが出てくる。またTryしてみたら、うまくいくかわからないけど、感覚的に表層上の問題が解決できた。スクラムできてよかったね、となる。
解きたい問題は表層的な問題なのか。

根拠はなく優先順位を決めるな。POが決める優先順位が大事、根拠があれば誤っていても再発防止が可能。
論拠に基づいて成功確率を高めるゲームだとすると、感覚に任せていては成功しない。

都合が悪くなると感覚的になる。残念な話。

みなさんのなかに届くものがあればいいなと思う。

スクラムと日本

スクラムをする機会、学習する機会はどんどん増えてきている。
論理や根拠がなく、適当に進めている人が多い中で、今後上手くスクラムまたは他の方法論を活用していくために、というところで日本は停滞しているんじゃないか。
勉強することがいっぱいある。
なんで三つの役割に分けるのか?組織論を勉強しているのか?
ウェットの問題にはどれくらい学問があって、どういうものを使えばいいのか?また感覚論になるのか、みたいな。
やり続ければ感覚が研ぎ澄まされていくけれど、それは個人的なスキル。組織に対して太刀打ちできない。
もっと有効に使える環境にしていったり、工夫できるようになっていくといいなぁと思っている。

基準について

スクラムをやっていて、「成功」の定義とはなにか?
クライテリアを作らずにスクラムをやっている人がいるのではないか?
そもそも集団という前提に立っていないと、「あなたはいい」「あなたはだめ」みたいな本末転倒になるため、基準に悩む

私のクラスでは以下のような話をすることもある。

「昼食の時間は何時作ったらいいですか?」

それを論理だてて説明できる人が少ない。
昨今ではテレワークが推進されてきて、自分達ってどういう風に働き方の基準を決めているのか?
何分オンタイムで、どういうサイクルタイムにして。
デイリースクラムの時間も決まっていないのがスクラム。
1日の中で昼ごはんはいつ食べたらいいのか?
おなかすいたら食べる、というのは本能としてはいいかもしれないけれど、効果的なのか?
「慣習的に12時では?うちの会社ではそういうルールなんです」と言われても、そこに効果があるのかは説明できない。

基準の作り方

スクラムは基準を設けろ、と言われる。良しあしの判断基準や、優先順位を決めましょう、とか。
一つ一つの基準に明確ではない人もいる。
効果がなければ、別の考え方に基づいて基準を作ればいいが、論理がない・感覚で適当にこれをやりましょう、というのはいいことなのか?

論理がないと、立ち戻れない。良しあしを測れない。
集団的に進める際に判断基準がないと、よいか悪いかの水掛け論になる。
基準を後から定めるときに、後出しじゃんけんでいくらでも言えてしまう。
今回のスプリントでは私たちはどう働いていくのか?未来予測は?
未来予測の方法論を学習しているのに、働き方に対しての未来予測はないし、基準はない。
チームには「阿吽の呼吸が必要」と言われる。
そんなものって出来るんですかね?必要なんですかね?
人間の能力を超えてくることを求められてしまう。

断言できることは、例えばスプリントバックログを作るときは、見積もらずに30分と決めればよい、30分にどのぐらいの作業が入るかを考えればよい。毎回、数字当てゲームをする、ベロシティを用いて観測する、毎回ベロシティ通りに進むはずがない。苦手や得意不得意がチームとしてあるはず。数字として持っておくものは何か。

未来を予測するときの情報と過去を分析するときの情報は同じではない。過去の話を用いて、未来の話を予測することはできない。
スクラムやっている人たちはそういうことを平気でいう。予測の精度が高いとスクラムの人たちはいう。競馬場で予測している人とスクラムでストーリポイント付けている人はあまり変わらない。
過去分析するときと未来予測をするときは頭の使い方が違うはず。

未来予測と仮説検証

レトロスペクティブは過去の事実に基づく。次のスプリントでやることを考えるとき、過去分析を利用しているのか?
未来予測のときに、人間は楽観的になるもの。なぜなら過去分析は100%に近いが、未来に対しては1つ1つの事象を作ることはできず、確率の問題になる。プロダクトバックログに対してVolatilityを考えている人がどのぐらいいるのか?

スクラムはある地点から未来を予測して、それを実行できるように協力して実行していくゲーム。

仮説・検証において、「仮説」は空想でそれを検証するのはおかしい。

そもそも未来にこんなものを作ったほうがいいんじゃないかって言っている時点で、空論にしかならない。
仮説建てをする中の流派で、確立されている物はない。

スクラムの場合は基本的には辛くなっていく。
ロジハラをしないようにする、心理的に言えるようにする、とか言われるけれど、未来予測の基準もないし、どのようにやっていくのかというタイミング問題もあるし。
論理もなければ基準もない。やみくもにスクラムをやっていると、急に自己成長とか言われる

仮説検証はできなくても適当に回数を繰り返すことはできる。状況を適切に分析しないと。
色んなものに関して基準を設けるときに、過去を分析する基準と、未来を作る基準は一緒にしちゃいけない。
秘書問題もそう。
あくまでこの問題は未来のことを考えている。
ただ、スクラムやっている人達は、未来のことよりも過去のことを重視しがち。

そもそも未来に対して動こうということをしているのに、「やっていったら分かりますよ」というのは未来予測の力を高めていかなくていいのか??
計画力を高めるためにどういうスキルを高めるといいんですか?どれくらいの人数が必要なんですか?
そういうことを考えだすと、適当にやっている人ばかり。

色んな業界の人と話していて、「スクラムっていうものがあるんでしょう?」と言われるようになって。
組閣的にスクラム的にインサイド・アウトサイドステークホルダーを決めて、未来予測に必要な要素・能力を可視化していって、それを磨いていく。
予測に対しての乖離が大きかったとしても、それを減らすことはできる。
未来に対しての約束も守れるようになるし、余力を伸ばすことができるようになる。
そうしたときに、「まずやってみて、ダメだったら考えましょう」
ビジネスではそれはやらないで欲しい。プライベートだったらいいけれど。
ビジネスでやるなら狙いをもってやる。

単純にビジネスモデルが優れているかどうかも大事だが、働いている人たちの能力も重要。
スクラムやったってビジネスは成功しない。
だって、能力がないから。
必要な能力の洗い出し、定則。能力に対してどう評価していくのか。ウェットな評価になる。
定量的に評価すると、上に行けば行くほど最終的に「XX」の能力があればよいなどアバウトになる。
どう成長していったらよいのかという問題に対して、しっかりキャリアパスを定めている企業は少ない。
が、基準は作っていかないといけない。

スクラムのトレーナー

実行能力と未来予測が乖離しているにもかかわらず、実行能力が高いと未来予測の精度が高いといわれる。そんなことはない。
スクラムチームの質の悪いところは外的要因を受けながら予測をしていく、最終的にはギブアップしていくところ。
仮説力がどんどん弱くなっていって鍛える気もなくなる。分析能力だけ高くなる。そして消極的になり暴論へ。
そして、先人たちの言うことを考えずに信じるようになる
これは世界的な問題でありPST、CSTの会合でも話が出ている。

アジア圏ではトレーナが増えてきた。が、zどうすればトレーナになれるのかは謎。絶壁感がある。
トレーナになるのは大変。英語も必要。
何か提案するのであれば学習し、根拠がないといけない。その説明ができないのであればビジネスではなくプライベートでやればよい。

提案していく方々に言いたいこと

先行して学習してきたからこそ基準に対して挑むべき。根拠など足りないと感じるのであれば自己研鑽を。
学術的根拠などがないのであれば提案する前に自分は大丈夫なのか、と問いかけること。

自分が伝える立場になったときにどれだけの理論・根拠などが備わっているのか。を求める。
なんでそれが必要、根拠はありますか?という問いかけに答えてほしい。

あいまいなものをなくそう

論拠に対して理解、が必要。能力も一つではない。
ボラティリティ、未来予測にどのように臨んでいくのか。
プロジェクトは未来予測して進めていく。
「スクラムの特色は?」と思うことでスタート地点に立てる。

組織論の問題があったとして、論理的に答えられないこともある。
心理的な面でもわからないことがあっても、説明する際は、学問などを使用して説明するようにしている。
心理的なんとかっていう曖昧なものは好きじゃない。

自分も最近になって色々学んでいるが、先人にはいいところも悪いところもある。
その先人を客観的に評価する力も必要。

世界から見たら日本はまだまだで、日本国内ではどんぐりの背比べ。その分まだまだ伸びしろがある。

質問タイム

なぜスクラムを始めたの?

たまたまであったから

高校時代やっていた事業は今になってどう思う?

今だったらできること、できないことがある
若さは一種の武器
戦略なしに銀行突はやめましょう

変化について恋人みたいですね

基準を定めていないのはカオス
基準がないのに変化・適応するのは変化とは言わない
変化するということは差分があるはず。差分が測れないのであればそれは変化したとは言えない。

いつの時点での効率化していくかを考えることが大切

感想

(チーム全員の感想をまとめています)

  • 日本人は感覚的に物事を進める習性があり、学術的根拠に基づいていません。その結果「正しい答え」という幻を見続けることで満足しがちだと思いました。
  • 実際自分も感覚的に行動している節が多々あるため、根拠に基づいた行動をすることで、最適解に少しでも近づけるようになりたいと思います。
  • 海外と比べてという話があったので、海外でアジャイル開発を経験するとすごく衝撃を受けるんだろうなと思いました。
  • 生活のいろいろなことに対して、なんとなくではなく根拠や基準を明確にすると難しいけど、面白いだろうなと思いました。
  • 認定スクラムマスター研修を思い出しました。物事の理由や背景を掘り下げていく。そこはスクラムであれ、他の仕事であれ、とても重要ですね。
  • 未来予測していくための方法論が自分の中にほとんどない、ということに気づきました。もっと勉強をしないと、自己研鑽をしないと、と思い知らされました。
  • ビジネスとして動くときは、どこにどうやって、どんな理由でアプローチしていくのか、ということを考えてはいたものの、もしかしたらまだ甘いのかもしれない。考えすぎて動けなくなるのもダメだけど、もう少し考えを深めていってもいいのかもな、と思った。
  • 厳しい言葉だなと思いつつ、これまで真剣にスクラムのことを考えてきた方なんだなと思いました。
  • 「スクラムは経験主義だから感覚で、、、」と、スクラムの理論を部分的に切り出していいように解釈して実行するのではなく、結果を客観的に評価できるようにきちんと理論や根拠を念頭においた上で向き合うことが重要だと理解しました。(実践するのはかなり難しそう。。。)
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