はじめに
先日、AI-102(Azure AI Engineer Associate)を受験し無事合格することができました。
本記事では、私の経験を基にAI-102の試験申し込み方法や学習方法、また試験内容について出来る限り詳細にお伝えできればと思います。
なお、今回の記事が初投稿となりますのでご指摘等いただければ幸いです。
試験について
AzureではAI-102の他にもう一つAI-900という資格が存在します。
以下に各試験の概要を合わせて記載しています。
項目 | AI-102 | AI-900 |
---|---|---|
試験名 | Microsoft Certified: Azure AI Engineer Associate | Microsoft Certified: Azure AI Fundamentals |
レベル | アソシエイト(中級) | ファンダメンタル(初級) |
対象者 | AIエンジニア、データサイエンティスト、開発者 | AIに関する基礎知識を持ちたい人、入門者 |
試験内容 | AzureのAIソリューションの設計、実装、監視 | AIの基本概念、AzureのAIサービス |
前提条件 | 基本的なAzureの知識とAIの経験 ※1 PythonまたはC#での開発経験 ※2 |
特に無し |
認定取得の目的 | AIソリューションの設計と実装スキルの証明 | AIの基本知識とAzure AIサービスの理解 |
試験時間 | 2時間 (実際の試験時間は1時間40分) | 45分 |
合格点 | 700点/1000点 | 700点/1000点 |
出題数 | 約50問 | 約50問 |
※1:権限やネットワーク周りの設定についても出題されるので、Azure自体の知識も必要になってきます。
※2:Python, C#の経験がない方でも、コードを読んでなんとなく理解できるレベルであれば問題ないかと思います。(私はどちらも未経験でした。)
出題形式
試験は2つのパートに分かれており、選択問題とケーススタディが用意されています。
私が受けた時は選択問題が50問、ケーススタディが5問という配分でした。
(ケーススタディがない場合もあるようです。)
選択問題は複数回答や並び替えなどがあり、
ケーススタディでは二択問題と選択問題があります。
出題概要
以下、公式ドキュメントより引用
上図からも分かる通り、AIと聞いて一般的にイメージする LLM(大規模言語モデル)などの生成AIの分野は割合が低くなっています。
対象サービス
試験で出題される主なサービスは以下のとおりです。
(Bot Serviceやストレージアカウントなど、下記のサービスと連携して使用するサービスも知っておいた方が良いでしょう。)
- Azure AI サービス
- Azure AI Vision
- Azure AI Video Indexer
-
Azure AI Language
- Text Analytics, QnA Maker, LUISを統合
- Azure AI Speech(AI 音声)
- Azure AI Search(旧 Cognitive Search)
- Azure OpenAI
- Azure AI Document Intelligence(旧 Form Recognizer)
受験までの流れ
以降は私の経験を交えて、試験の申し込みから受験までの流れを各ステップごとに解説してきます。
- 試験申し込み
-
学習方法
2-1.【公式】模擬試験 1回目
2-2.【公式】トレーニング
2-3.【公式】模擬試験 2回目
2-4.【Udemy】動画学習
2-5.【公式】模擬試験 3回目
2-6.【Udemy】問題集 - 受験
1. 試験申し込み
経緯は省きますが、受験を決めてから最初に行ったのは試験申し込みです。
私の場合、年中受けられる試験はどうしても先延ばしにしてしまうので、先に期限を設定しました。
学習期間について
本試験を受験された方の記事などを拝見しましたが、皆さんの学習時間はおおよそ30~50時間ほどでした。
私は毎日1~2時間ほどの時間を取れそうだったので、1ヶ月後に受験日を設定しました。
学習にかかった費用
項目 | 金額 |
---|---|
受験料※ | 20,300円 |
Udemy(動画学習) | 1,400円 |
Udemy(問題集) | 1,600円 |
合計 | 23,300円 |
※ 2024年5月頃に無料でバウチャーを取得できるSkills Challengeというものが公式で開催されていましたが、私は間に合いませんでした、、
後述しますが、Microsoft公式のドキュメントだけでは不十分と感じたのでUdemyも利用しています。
2. 学習方法
2-1. 【公式】模擬試験 1回目
まずは試験の全体像を掴むために公式の模擬試験を受けました。
こちらは全50問で構成されており、各問題を解答するごとに解説が確認できるので良い教材になると思います。
ただし、あくまで練習問題のため実際の試験よりレベルは低くなっています。
1回目のスコア:8/50点
2-2.【公式】トレーニング
模擬試験にて出題形式等が確認できたので、ここから2週間ほどは公式のトレーニングコース(Designing and Implementing a Microsoft Azure AI Solution)を使って各サービスの知識をつけていきました。
このコースは6つのトレーニングで構成されています。
各トレーニングではサービスの説明だけではなく、Azure上での演習や、模擬試験に似た形式での知識チェックが用意されています。
※ 演習を実施するには以下の準備が必要になります。
私は途中からラボが起動せず演習を受けられなくなりました。
代わりに演習の手順と、該当箇所のドキュメントを読んで学習しました。
公式ドキュメントを読む際のテクニック
テクニックというには大袈裟ですが私がドキュメントを読む際によくやっていたことを残しておきます。
トレーニングなどからリンクを辿って公式ドキュメントに遷移すると英語や韓国語になっていることがあると思います。
ページ自体を翻訳でも良いのですが、URLの一部を編集することで簡単に日本語版へ切り替えることができます。
例を以下に記載しておきます。
変更前:https://learn.microsoft.com/en-us/azure/ai-services/openai/
変更後:https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/ai-services/openai/
2-3.【公式】模擬試験 2回目
トレーニングを一通り終えたので改めて模擬試験を受けました。
今回はトレーニング実施済み + 2回目 ということもあり全く分からないというのはありませんでした。
2回目のスコア:43/50点
2-4.【Udemy】動画学習
2回目の模擬試験である程度の点数を取れたので、ここからは自身の苦手分野を重点的に学習する方向に切り替えました。
利用したのは以下のコースです。
(AI-102のコース自体少ないのであまり選択肢はありません、、)
音声は英語ですが、字幕で日本語が選択できます。
(特に翻訳が気になるといったことはありませんでした。)
速度は1.25倍速で視聴するのがおすすめです。
反省点としては、内容が基礎に近かったのでトレーニングの前に受けた方が有効だったのかなというところですね。
2-5.【公式】模擬試験 3回目
3回目の模擬試験は出題の内容もある程度把握できている状態でしたので、知識の再確認として受けました。
3回目のスコア:50/50点
2-6.【Udemy】問題集
この時点で試験日まで1週間ほど残っていました。
ここまで公式の模擬試験以外の問題を解いていないので正直不安がありました。
調べてみると問題集はUdemyとWhizlabsくらいしか無さそうです。(2025年2月時点)
私はUdemyの以下の問題集を利用しました。
こちらの問題集は日本語対応しておらず、英語のみ利用可能です。
私が確認した限り日本語対応と記載されている問題集は、翻訳が適切でなかったり、AI-102と表記されていても出題範囲と異なったりとあまり良い問題集は無かった印象です。
問題集の使い方について
Udemyの問題集では試験モード、演習モードの2種類から選択できます。
- 試験モード
- 時間制限があり、全て解答するまで結果は確認できません
- 実際の試験を想定して問題を解くことができます
- 演習モード
- 時間制限がなく、各問題ごとに解答と解説が確認できます
- 理解を深めながら問題を解くことができます
問題集が日本語に対応していないため、演習モードで着実に問題を解くことをお勧めします。
私は4つある問題集をそれぞれ2回ずつ解きました。
結果は以下の通りです。
問題集 | 回数 | 正解率 |
---|---|---|
問題集A | 1回目 | 64% |
2回目 | 92% | |
問題集B | 1回目 | 52% |
2回目 | 100% | |
問題集C | 1回目 | 72% |
2回目 | 100% | |
問題集D | 1回目 | 50% |
2回目 | 100% |
並べ替え問題やソースコードに関する出題があり、実試験にかなり近い内容でした。
1,2問程度でしたが、実試験でも同じ問題が出題されました。
3. 受験
受付
試験当日ですが、私はテストセンターでの受験を選択しました。
テストセンターで受験される場合、本人確認書類が必要となりますので注意してください。
別の資格の受験時もテストセンターで受けましたが、Microsoftの試験は他よりも厳しいようで入室前の手荷物チェックが念入りに行われました。
試験時のアドバイス
最後に私が受験して感じた注意点やおすすめの解き方について記載しておきます。
-
事前に言語を確認しておく
最初に試験で使用する言語をPython, C#のいずれかから選択するところから始まります。
ここで選択した言語を後から変更することはできませんので事前に選択する言語を決めておくと良いでしょう。 -
Microsoft Learnを使い過ぎない
本試験ではMicrosoft Learnを使用できます。
ただし全ての問題で使用していると必ず時間が足りなくなりますので、使う場合は時間を区切った方が良さそうです。 -
問題文の英語翻訳を利用する
試験の申込時に日本語を選択すると、当日の問題文は全て日本語になっていますが、試験中は自由に英語へ切り替えることができます。
公式のドキュメントや練習評価とは異なり基本的に正しい日本語になっているのですが、たまに読み取りづらい文章がありますのでそういった場合に役立ちます。 -
時間配分に注意する
これは「1. Microsoft Learnを使い過ぎない」とも被りますが、各問の問題文が長いので時間の余裕はあまりありません。
また前述の出題形式にて記載しましたが、本試験は2つのパートに分かれています。
それぞれのパートが独立しているため、1つ目のパートの見直しが完了するまで次のパートに進むことができません。
そのため次のパートに割く時間を考慮しながら見直しをする必要があることに注意してください。
試験の結果は終了直後に発表されます。
出題分野ごとの点数も出ますので、自身の苦手分野を確認し、今後の業務や学習に役立てると良いでしょう。
まとめ
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
本記事では、私の経験をもとに試験内容の概要や勉強方法についてできる限り詳しく説明しました。
少しでも皆様の参考になれば幸いです。