- 連続時間での積分
抵抗 R とコンデンサ C の積分回路を考えると、
Vout(t) = - (1/RC) ∫ Vin(t) dt ……(R1)
が成り立つ。
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- 離散時間化(サンプリング)
時間を刻み幅 T で区切ってサンプリングすると、積分は次のように近似できる。
Vout(t) ≈ - (T/RC) [ Vin(t) + Vin(t−T) + Vin(t−2T) + ... ] ……(R2)
ここで Vin(t−nT) は過去の入力サンプル値を表す。
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- z変換での表現
z変換を導入すると、遅延演算子 z⁻¹ によって過去のサンプルを表現できる。
Vin(t−nT) ≈ z⁻ⁿ Vin(z)
これを使って式 (R2) を変形すると、
Vout(z) = - (T/RC) · Σ z⁻ⁿ Vin(z) ……(R3)
無限等比級数を使えば、
Vout(z) = - (T/RC) · 1/(1−z⁻¹) · Vin(z) ……(R4)
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- 離散時間伝達関数
したがって、離散時間での伝達関数は
H(z) = Vout(z)/Vin(z) = - (T/RC) · 1/(1−z⁻¹) ……(R5)
となる。これが区分求積法による積分回路の離散化結果。
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- ラプラス変換との対応
連続時間ではラプラス変換を使うと
Vout(s) = - (1/sRC) · Vin(s) ……(R6)
となる。式 (R6) と (R5) を対応させると、
s ≈ (1−z⁻¹)/T ……(R7)
が得られる。これは「s と z の対応式」であり、サンプリング周期 T が十分小さいときに成り立つ。
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- 周波数領域での近似
z = exp(jωT) を代入すると、
(1−z⁻¹)/T = (1−exp(−jωT))/T ≈ jω − (ω²T)/2 + …
サンプリング周期 T が小さいほど、連続系の jω に近づく。正しく処理するためには
T << 信号周期
すなわち「信号の周期の 1/10 以下」にサンプリング周期を取る必要がある。
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