記事の内容は私個人の見解であり,所属する学科組織またはサークルを代表するものではありません.
はじめに
アドベントカレンダー14日目です.
12月もほぼ半分が過ぎ、今年は残りあと少しですね. 日が登る時間が遅くなり,筆者1は朝のコーヒー無しでは活動を始めらないです…☕️(笑)
ということで,今回はコーヒーリング効果についてサクッと読める記事を書いて見ました.
(元々は物理と哲学の交流について書く予定でしたが、いざ書いてみると上手く言語化できず…←書きかけなので、完成版を今後公開できればと思っています!)
コーヒーリング効果ってなぁに?
コーヒーを飲み終わった後に、コップの底にわずかにコーヒーが残りますよね. コーヒーの水滴が乾燥すると、コーヒーの色が縁の部分は濃く、中心部では薄くなってしまいます.
コーヒーに限らず、他の液体でもこの現象は見られます.(例えば紅茶や醤油など)
このような現象は一般的に 「コーヒーリング効果」 と呼ばれ、実は科学的にも研究されている面白い現象なんです!
この効果が初めて論文として報告されたのは1997年2ですが、今でも研究されていて、様々なところで応用されています.
原理
液滴が乾燥するとき、その形をよく観察すると、実は周縁部が動いていないことがわかります.
液滴の外周部(コンタクトライン)は、基材の表面凹凸による摩擦のため、乾燥によって収縮しようとしても動くことができません(ピン留め効果).
乾燥の際、蒸発率は通常、液滴の周縁部付近が最も高いようです.その結果、生じる濃度差や表面張力によって中心から周縁部に向かう液の流れ3が発生します.
この流れに乗って、液体中の微粒子は周縁部に輸送されて、リング状、一部欠けると三日月状のシミを形成するわけです.
コーヒーリング効果とプリンターの意外な関係
カラープリンターを一般家庭に普及させたのが、カラーインクの微小液滴を紙に吹き付けて印刷するインジェット方式でしたが、開発初期の頃、塗りムラができ綺麗に印刷できない問題がありました.
原因究明のために研究が進み、コロイド粒子を含む液滴が物体の表面で乾燥するとその内部で様々な流れが生まれることがわかりました.
代表的なのが液滴の縁へ向かう 「拡散流」 と、それに逆らう、液体の表面張力が生む 「マランゴニ対流」 と呼ばれる流れです.4
コーヒーのように界面活性物質を含む液体は表面張力が弱く、マランゴニ対流も弱くなるため、コロイド粒子が拡散流に乗り、縁に集まってリングが形成されます.
この話は #原理 の節でしましたね.
プリンターインクも色素を溶かすのに界面活性剤を用いるため、同じ現象が起きていたことがわかり色々な工夫がなされた結果、印刷技術の向上につながりました.
終わりに
一見,こんなの何の役につねん?と思われるような現象も、研究が進むと色々なところで応用されていてとても面白いですよね!
今回紹介したコーヒーリング効果はブラックコーヒーに見られる現象ですが、砂糖入りのコーヒーを飲まれる読者もいらっしゃると思います. 実は砂糖が入っていると、コーヒーリング効果は起こらないことがわかっています.
この仕組みもまた面白いので、今後記事にできたらな、と思っています!
それでは、今回はこんなところで!
アドベントカレンダー残り11日間、お楽しみに!🎄