先週はセンサーの設置方法をご紹介しました。
今回はこれらのセンサーデータを読み解きながら、Zabbixでデータを分析する際のコツをご紹介いたします。
周期性を見つける
まずは、単純なグラフをみてみます。
このグラフでは2週間分のデータをを表示しています。日の出からお昼まで温度が上がり、それから次の日の出まで温度が下がるという周期性が見つかるとおもいます。
周期性を見つける時の有効な機能
ズーム機能
Zabbixではスライドバーにあるズームリンクをクリックすることで、簡単に1日は1週間、1ヶ月などの期間を指定することができるので、日単位や週単位、月単位の周期性を見つける時に役立ちます。
ワーキングタイム
ワーキングタイムを指定することで、グラフ背景の明期、暗期がかわります。
時間的周期性を見つける際にこの背景の色が変わることは大きな助けとなります。
周期性の外れ値を判断する
周期性を見ていく中で、その周期性が崩れた部分があれば、その部分の意味を解釈します。
今回のデータでは11月30日 12月1日の気温上昇が他の日に比べて上がっていない事に気付くとおもいます。
このことからおそらくこの日は曇りだったと考えられます。
日中の曇りは判断しやすいのですがこの時期は夜間の曇りも温度から判断することが可能です。
11月28日や12月9日の夜間の温度を見ると他の日に比べて温度低下の傾きが小さいことがわかります。
冬は「放射冷却」の影響で温度が下がりますが、曇っていれば温度低下が穏やかになるので、判断することができます。
別機器の同じメトリクスを重ねる
温度だけでも天候がわかる事がご覧頂けたと思います。
ただし、気温は日当たりだけでは無く、気団によっても変わります。
そこで、そのようなご判断を避けるために日向と日陰の温度を重ねて見てみましょう。
先ほどの周期性を見るだけでは、暖かい空気が外部から流れ込んだ時などに判断を誤る可能性があります。
日向と日陰の気温を重ねて表示することで、
重なっている場合は差が無いため日照以外の要員での温度変動、
重なりが無い場合は日照による温度変動と言うことが判断できます。
こうすることで、温度だけでその日晴れていたのか、曇っていたのか判断ができるようになりました。
Zabbix IoT で天気がわかるようになりましたね。
この技術は天気にしか使えない分けではありません。
周期性の発見・周期性の判断はCPUやネットワークトラフィックでも重要なテクニックです。
#関連性を見つける
今度は気圧のグラフを見てみましょう。
今年は10月22~23日にかけて台風21号が直撃しました。
気圧変動で見ると台風なみに大きな嵐があったこともわかります。
台風21号が通過したときの気圧を見てみましょう
4時から5時にかけて通過していったことがわかります。
しかし、通過時刻を特定しようと、気圧グラフの行が範囲を絞ると、傾きがぼやけてしまいました。
長い期間で見れば大きく変化するものの、短時間では大きく変化しないため、気圧だけで判断をするのは難しいのです。
そこで、ここに気温のグラフを重ねて見ましょう
非常に特徴的なグラフが出てきました。
台風は通過前と通過後で一気に風向きが変わるため吹き込む空気の温度が一気にかわります。
このため、台風のがいつ通過したのかを判断することができます。
#まとめ
天候測定と言えば日照計や風向風速計などが必要という思い込みがありますが、
気圧センサーと気温センサーを組み合わせるだけでも、台風の通過や晴雨状況を判断することが可能です。
限られた値で状況を判断する能力はIoTの実装では重要になってくるでしょう。
ただし、その時には気象学などの知識が若干必要になります。
また、今回のように複数のデータを組み合わせて時間スケールを変えながら見ていくことは
システム監視でも重要です。
例えばCPUとネットワーク、CPUとメモリ、ストレージとネットワークなど
少ないメトリクスでも知識があればシステムの状態やプログラム特性を判断することもできるようになります。
Zabbix のような可視化の仕組みと測定対象に対する知識によって
その値の意味を読み取れるようになります。
データの意味を読み解く練習にZabbix IoTで自分の判断と実際の天候を比較してみてはいかがでしょうか。