「EventBridgeかMWAAか」で迷っているエンジニアへ
業務でAWSの自動化を進めたいが、EventBridgeとMWAA(Managed Workflows for Apache Airflow)のどちらを使うべきか悩んだ経験はありませんか?
「どっちでもできそうだけど違いが分からない」「スケジューラーとしてAirflowが良いと聞いたけど重たそう」など、選定における技術的な迷いは多くのエンジニアが抱える問題です。
この記事では、AWSにおける自動化ワークフローの代表的2サービスの特徴を比較し、選定判断に役立つ実務的なポイントをまとめました。
背景:AWSにおける自動化の潮流と注目サービス
- 近年、IaC(Infrastructure as Code)やDevOpsの普及により、自動化基盤の整備が必須となってきた。
- EventBridgeは軽量なイベントベースのトリガー管理に最適。
- MWAAは複雑なワークフロー制御やデータパイプライン運用に最適。
- Qiitaでも「Airflow + MWAAでのETL構築」「EventBridgeによるLambda起動」の記事は安定して読まれている。
- 実務では「疎結合 vs 統合管理」「柔軟性 vs 管理コスト」のトレードオフが頻出。
課題:EventBridgeとMWAA、なにが違って何が困る?
実際の現場では、以下のような具体的な悩みが挙がります:
- EventBridgeは手軽だが、複雑な条件分岐・リトライ制御が面倒
- MWAAは柔軟だが、環境構築・コスト・デバッグの学習コストが高い
- Lambda + StepFunctions + EventBridge の組み合わせと MWAA の役割が曖昧
- EventBridge + Lambda構成では再利用性・状態管理が課題になることも
- MWAAは起動時間や初期起動のラグでレスポンス要件を満たさない場合あり
解決策:ケース別の選び方と構成例
AWSでの自動化選定は「要件の重みづけ」が鍵です。以下に判断軸と構成パターン例を示します。
① 軽量なイベント駆動処理なら EventBridge + Lambda
# CloudWatchアラーム通知をLambdaでSlack連携
EventBridge Rule → Lambda → Slack Webhook
特徴:設定が簡単・低コスト・リアルタイム性あり
② 複雑な依存関係・分岐ロジックが必要なら MWAA
# S3にファイルアップロード後、ETL実行 → 検証 → DB反映の3ステップ
S3 Event → DAGトリガー(MWAA) → 複数タスク制御
特徴:DAGによる依存管理・リトライ・Slack通知など運用補助が充実
③ 中間パターン:Step Functions + EventBridge
EventBridge Rule → StepFunctions → 複数Lambda分岐
シンプルだが依存関係やログ管理は自前対応が必要。
ベストプラクティス:使い分けの戦略と注意点
- 処理が単純・短時間で終わる:EventBridge + Lambda
- 処理が複雑・再実行や可視化が必要:MWAA
- 状態遷移が必要:StepFunctionsを検討
- MWAAは初期起動時間(1〜2分)がネックになるので定期ジョブ向き
- ログ出力・監視連携は早期から仕組み化(例:CloudWatch Logs, Slack通知)
まとめと今後の展望
AWSにおける自動化基盤構築は、「軽さ vs 柔軟性」という選択の連続です。
EventBridgeはリアルタイム性やコスト面で優れ、MWAAは制御力と可視性で勝ります。
選定の際には「処理の複雑さ」「運用者のスキル」「将来的な拡張」を意識すると判断がブレにくくなります。
今後はAmazonが提供するAmazon States Language(ASL)の強化や、MWAAの起動高速化など、機能強化の動向にも注目です。