はじめに
どのようにすれば分かりやすい文章を書くことができるでしょうか。闇雲に文章を書いても、分かりやすい文章になるものではありません。そんなときに、分かりやすい文章を書くための、文章構成の「型」があるので、それを活用すると、分かりやすい文章を書くことができます。そんな文章構成の有名な「型」2つを紹介します。
SDS法
SDS法とは、Summary(要約)、Detail(詳細)、Summary(まとめ)の3部構成で文章を書く型です。比較的短い文章を構成するときに使います。ニュース番組でニュースを報道するとき、このSDS法が使われています。プロの現場でも普通に使われている型です。事実を短く伝えるときによく使われます。
3部構成の最初の要約では、話のポイントや説明する内容について、全体像をざっくり説明します。新聞の見出しやリード文と同じような役割を持ちます。新聞を読むとき、最初に見出しとリード文を読むことで、何について書かれた記事なのかが、大体分かるようになっています。新聞を読むとき、全てのページを隅から隅まで隈なく読む人は、あまりいないかと思います。見出しとリード文だけを読んで、興味ないなと思ったらスルーして、もっと詳しく読みたいと思ったら、その記事だけ詳しく読み出のではないかと思います。因みに、自分は、いつもこのような読み方をします。1日分の新聞を読むのに、15分以上かけることはありません。最初に話の要約を伝えることで、これから説明する内容の予習をしてもらい、本文の理解度を上げてもらうといった効果もあります。
ここが話の本題となります。説明したい内容を具体的に書きます。
落語でいうところのオチにあたります。勿論、本当にオチを言うわけではありません。最後に、話の内容をまとめることで、説明文全体に締まりをつけることができます。また、説明した内容の復習の意味合いもあります。復習することによって、よりはっきり、相手に印象づけることができ、相手の理解度を上げることができます。同じことを繰り返すと、くどくなるのではと、思われるかも分かりませんが、基本的に端的にサラっと行われるため、くどくなることはありません。くどくなっていれば、本来、詳細で書く内容を、まとめに書いてしまっている可能性があります。
PREP法
PREP法とは、Point(結論)、Reason(理由)、Example(事例)、Point(結論)の4部構成で文章を書く型です。SDS法が事実を伝えるときに使われる型であるのに対し、PREP法は物事を説明するときに使われます。PREP法はSDS法よりも、長い文章を書くときに使われます。主に、プレゼンや、セミナーなどでよく利用されます。分かりやすい文章が書けているなと思うとき、PREP法を使おうと特に意識していなくても、文章を分析してみると、PREP法が隠れていることが多いはずです。
結論は最初に言ってしまいます。分かりやすい説明をするときに、結論を、勿体ぶって最後まで隠しておくことはしません。推理小説を読むとき、犯人が最初に分かってしまったら面白くないでしょう。分かりやすい説明をするときは、読み手に推理させるようなことはしてはいけません。
結論に対する理由を述べます。結論だけを言っても説得力はありません。さきに結論だけを言った後、聞き手は「なぜ、そのような結論が出るのだ?」「そういう結論に至った理由はなぜ?」という疑問を抱いています。聞き手を納得させるために、結論に対する理由を述べて、相手を納得させる必要があります。
実例・事例・具体例を述べます。結論に対する理由を述べた後は、聞き手は「なるほどね~」と思っているところだと思います。しかし、理由の1つや2つを聞いただけでは、「でも本当かな?」と完全には腑に落ちていないものです。「この薬は効きます。自分が飲んで効いたからです。」と言われても、「確かに、あなたには効いたかも知れないが、あなたが効いたからといって、万人に効くのか、自分にも効くものなのか、までは分からない。」といったところだと思います。しかし、「あの人にも効いた、この人にも効いた。」といった事例がたくさんあればある程、信用度は高まってくるはずです。つまり、結論、理由を言った後に、事例を説明することで、読み手に対し、話の信ぴょう性を高めることができます。
最後にもう一度結論を述べて、話を締めくくります。効果としては、SDS法のSummary(まとめ)と同じになります。
PREP法の例文
文章が分かりやすいということは、論理的であるとも言えるし、理路整然としていると言うこともできます。論理的な文章を書くには、接続詞の使い方が重要になってきます。PREP法の4構成を接続詞で繋げるとこのようになります。「結論をいうと、〇〇である。なぜなら、〇〇といた理由があるだからだ。たとえば、〇〇といった事例がある。だから/つまり、〇〇なのである。」
参考までに、PREP法の例文を紹介します。
論理トレーニングで大事なことは、さまざまな接続表現に注意することである。なぜなら、論理とは言葉と言葉の関係に他ならない。それを明示するのが接続表現だからである。たとえば、「しかし」という接続詞は多くの場合「転換」を示しており、「しかし」の前後で主張の方向が変化している可能性が高い。だから、論議の方向を見失わないためには、「しかし」という接続詞に注意することが必要となる。
上記例文の引用元:論理トレーニング101題
https://honto.jp/netstore/pd-book_02022200.html