ロジカル・シンキングとは
ロジカル・シンキングとは、日本語にすると論理的思考という意味になります。論理的思考と言われても、ピンとこないかも知れません。まず、論理と思考と分けて考えてみます。論理とは「思考の形式・法則。また、思考の法則的なつながり。」という意味です。思考とは「思いを巡らすこと。考え。」です。つまり、ロジカル・シンキングとは「根拠から結論へと筋道を立てて考え、何らかの意味合いを得る思考」ということがいえます。ロジカル・シンキングは、ツール、テクニックのようなものです。ロジカル・シンキングが使えるようになると、次のメリットを享受することができます。
- 問題解決ができるようになる
- コミュニケーションを上手に取れるようになる
問題解決の流れ
基本的に、問題解決は次の流れで行われます。
問題解決の流れ
- 問題の特定 (要素分析)
- 原因の分析 (ロジックツリー)
- 解決策の立案 (ロジックツリー)
- 解決策の実行
問題解決には様々なツールがあり、コンサルティングの現場でよく使われています。コンサルタントと言えば、頭が良くて優秀な人物というイメージがあるかと思います。しかし、問題解決のツールは、コンサルタントしか使いこなせない、難解なものではありません。誰もが、日常で普通に行っている思考パターンでもあります。それを具現化させて、分かり易く表現しただけにすぎません。難しいことでも、特別なことでもありません。改めて認識してみると「なるほど」と思えることが沢山あります。頭の中だけで巡らせた無言の思考を、紙に書いてみると、より鮮明に認識できるようになります。そして、コミュニケーションが上手く取れるようになると、相手に対する提案を具体化させることができ、話に説得力がつくようになってきます。
ロジカル・シンキングの重要性
ロジカル・シンキングは、最近になって出てきツールではありません。古典的な手法かも分かりませんが、かといってレガシーというわけではありません。ロジカル・シンキングの重要性は、これからも一層、増してくると言われています。なぜかと言えば、時代の移り変わりに対応するためには、人とのコミュニケーションも変化せざるを得なくなるからです。今までのコミュニケーションは、限られた情報の中で、単純な問題を、ハイコンテクストで行われてきたと言われています。そして、これからの時代は、情報過多の中で、複雑な問題を、ローコンテクストで行わなくてはいけないと言われています。このような時代の中で、ロジカル・シンキングの必要性は更に増してくるということです。限られたドメインの中だけで、内輪の人間の中だけでしかコミュニケーションを取らないといった環境は、次第になくなってくるということです。さまざまな年代の人達と、さまざまな職種の人達とコミュニケーションを取らざるを得ない社会に、これからは突入していくということです。そのための武器になるのが、ロジカル・シンキングということになります。
論理展開
論理展開には演繹法と帰納法とがあります。演繹法とは、大前提を持ち出すことで、前提から結論を導く論理の展開の仕方のことをいいます。三段論法というのがわりますが、これには演繹法が隠れています。そして、帰納法とは、複数の事象の中から共通項を見つけ出して、その共通項を結論をすることをいいます。理系の人であれば、高校の数学で数学的帰納法という証明の仕方を勉強した記憶があるかと思います。数学的帰納法とは、先ず、n=1(初期値)が正しい事を証明して、更に、n+1も正しい事が証明されれば、nも正しいという事が結論づけられるといった証明方法のことです。この証明にも帰納法の考え方が応用されています。ただし、数学的帰納法には、nの数列が連続であるということが前提になります。連続になっていなければ、帰納法による証明はできないということにます。折角の思考ツールも使い方を誤れば、正しく機能しないということになります。
列挙
1つの問題点に対する原因を列挙するときに、漏れ、ダブりがないように、全体を列挙する必要があります。列挙した要素の中に、漏れ、ダブりがない状態になっていることをMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)ミーシェと呼びます。列挙した後、本当にMECEになっているか、念入りにチェックする必要があります。定性的な内容である程、MECEにすることは難しいと言われています。そんなときは「大きな漏れがなければよしとする」という考えを持つことが大事です。列挙に漏れがないか、あまり神経質になりすぎることは逆に良くありません。また、列挙が細かくなりすぎるときは「その他」として一括りにしてしまうことも1つの方法です。
掘り下げ
一つの要素から因果のつながりがあるより深い要素を上げていくことです。1つの問題点に対し、なぜ、なぜと考えながら。掘り下げていくことで、根本的な要因を突き詰めていくことができます。