動かして試す、git resetの動き

環境

Ubuntu 20.4
Git 2.25

はじめに

git resetの３つのオプションの違いについて書いてみました。

• --soft
• --mixed
• --hard

--mixed

ステージングエリアだけをクリアし、ワーキングディレクトリはクリアしません。git addした後、「このまま、commitしないで、やっぱり取り止めよう」となった場合に使います。

--hard

ワーキングディレクトリが、過去のコミット履歴の状態に戻ります。ステージングエリアに上がっているファイルがあればクリアされます。

--soft

コミットの取り消しだけが行なわれます。ステージングエリアとワーキングディレクトリの内容は、クリアされず現状のまま残ります。

--mixedの動き

test1.txtとtest2.txtの２つのファイルを修正した後、ステージングエリアに上げます。

$git add .
$git status
Changes to be committed:
  (use "git restore --staged <file>..." to unstage)
        new file:   test1.txt
        new file:   test2.txt

２つファイル共、ステージングエリアから降ろされました。ステージングエリアから降りても、ワーキングディレクトリがクリアされることはありません。現状のワーキングディレクトリの内容でそのまま残ります。

$git reset --mixed
$git status
Untracked files:
  (use "git add <file>..." to include in what will be committed)
        test1.txt
        test2.txt

複数のファイルがステージングエリアに上がっている場合、ファイルを指定してステージングエリアから降ろすことができます。test1.txtとtest2.txtがステージングエリアに上がっていて、test1.txtだけを、ステージングエリアから降ろしました。test2.txtだけが、ステージングエリアに残っている状態です。

$git add .
$git reset test1.txt
$git status
Changes to be committed:
  (use "git restore --staged <file>..." to unstage)
        new file:   test2.txt

Untracked files:
  (use "git add <file>..." to include in what will be committed)
        test1.txt

test2.txtもステージングエリアから降ろすと、ステージングエリアに上がっているファイルはゼロになりました。

$git reset test2.txt
$git status
Untracked files:
  (use "git add <file>..." to include in what will be committed)
        test1.txt
        test2.txt

次の２つのコマンドの動きは同じです。--mixedは省略することができます。

$git reset
$git reset --mixed

次の３つのコマンドの動きはすべて同じです。

$git reset
$git reset .
$git reset ./

--hardの動き

コミットをした後、ファイルを修正して、次のコマンドを実行すると、直前にコミットをした状態に戻ります。つまり、ワーキングディレクトリの内容がクリアされます。git addでステージングエリアに上げている状態であれば、ステージングエリアの内容もクリアされます。

$git add .
$git reset --hard
$git status
nothing to commit, working tree clean

HEADより一つ下の履歴に戻す場合です。下記の２つのコマンドは同じです。HEAD^の代わりに、履歴IDを指定して、複数の履歴を横断して、過去の履歴に戻すことができます。

$git reset --hard HEAD^
$git reset --hard 4c0a5a0

HEADは省略して書くことができます。つぎの２つのコマンドは同じです。

$git reset --hard
$git reset --hard HEAD

コミットされたファイルが複数存在する場合、特定のファイルを指定して、コミットを取り消すといったことはできません。次のコマンドは全てエラーになります。test1.txtとtest2.txtの２つのファイルがコミットされている状態で、test1.txtだけを復活させて、test2.txtはコミットされた状態のままにしておくといったことはできません。

$git reset --hard .           # エラー
$git reset --hard ./          # エラー
$git reset --hard test1.txt   # エラー

--softの動き

test1.txt、test2.txtの２つのファイルを修正して、ステージングエリアにあげます。

$git add .
$git status
Changes to be committed:
  (use "git restore --staged <file>..." to unstage)
        modified:   test1.txt
        modified:   test2.txt

次のコマンドで、HEADよりも１個前の履歴を復活させました。しかし、ワーキングディレクトリが復元されることはありません。現状のワーキングディレクトリの内容のままです。ステージングエリアに上がっている２つのファイルも、引き続き、ステージングエリアに上がっている状態のままです。

$git set --soft HEAD^
$git status
Changes to be committed:
  (use "git restore --staged <file>..." to unstage)
        modified:   test1.txt
        modified:   test2.txt

履歴IDを直接指定して、復元させることもできます。

$git reset --soft HEAD^
$git reset --soft caddd1

HEADよりも３個過去の履歴に戻す場合です。２つのコマンドはどちらも同じです。

$git reset --soft HEAD^^^
$git reset --soft HEAD~3