はじめに
技術文書を書く際の、分かりやすい文章を書くためのポイントをまとめてみました。この内容は、3級テクニカルライター試験の対策にもなります。
ポイント
「このソフトウェアは、絵を描くためのアプリケーションソフトです。」
この文はソフトウェアと、アプリケーションソフトという、同じ意味の単語を重複して使っているため、冗長になっています。このように書き換えるとすっきりした表現になります。⇒ (正)「このソフトウェアは、絵を描くためのものです。」
「写真を印刷するときは、専用紙に印刷します。 」
この文も一文の中に印刷という単語が重複して登場しているため、冗長な文となっています。このように書き換えるとすっきりするでしょう。⇒ (正)「写真を印刷するときは、専用紙を使います。」
「不測の事態を予測して行動する。」
さて、この文は何がよろしくないのでしょうか。そもそも、予測できないからこそ、不測の事態であるはずです。文の中に矛盾した表現が含まれていることになります。この文は次のように表現するべきです。⇒ (正)「不測の事態に備えて行動する。」
「サイズ指定する。」
さて、この文は何がよろしくないのでしょうか。サイズは名詞だが、指定は「指定する」の動詞です。名詞を動詞を組み合わせて1つの名詞を作っています。これを合成語といいます。書き手は合成語を作るべきではありません。合成語は作らずにこのように書くべきです。⇒ (正)「サイズを指定する。」
「マウスを使用するという方法もあります。」
方法という表現を使うと、文が冗長になりがちです。次のような表現に書きかえるとすっきりします。⇒ (正)「マウスも使用できます。」
業界内だけで当たり前のように使っている表現は、業界に携わっていない人からすれば、何のことだか分からないこともあります。極端な例ではありますが、放送業界で使われている「しーめー食いに行く」(飯を食いに行く)といった単語を逆読みする読み方も、一般的には通用しないため、文章にそのまま記述してしまうわけにはいきません。
「これは新社会人にフォーカスした製品です。」
この表現は次のように書き換えた方がいいです。⇒ (正)「これは新社会人に狙いを絞った製品です。」
「Windows10に対応しています。」
この表現は次のように書き換えた方がいいです。⇒ (正)「Windows10上で動作します。」
否定文には、1つの文で全体否定と部分否定の2種類に解釈できる文が存在します。曖昧な表現ができてしまう日本語の欠点というべきだろうか。
「新製品のサンプルは、全部配布しないでください。」
さて、あなたはこの文を読んでどう解釈だただろうか。「ああ、つまり、1枚も配布したら駄目なのね」(全体否定だと捉えた人の解釈)。「殆ど配布してしまって、2~3枚程度、残しておけばいいのね」(部分否定だと捉えた人の解釈)
ルビンの壺という心理学で扱われる絵があります。1度くらいはどこかで見たことがあるでしょう。ルビンの壺の絵を見て、最初に壺が見えた人もいれば、人の横顔が最初に見えた人もいるでしょう。このように、1文の文であっても、読み手によって解釈の仕方が2通りに分かれてしまうケースがあります。「両方の意味に取れるけど、どっち?」となる人もいるでしょう。そのような文は、フォーマルな文書で使うべきではありません。書き手の意図がしっかりと読み手に伝わるように、このように書き換えましょう。
全体否定の場合⇒ (正)「新製品のサンプルは、まったく、配布しないでください。」
部分否定の場合⇒ (正)「新製品のサンプルは、一度に全部を配布しないでください。」
「テストの問題は、全部できなかった。」
これも2つの意味に解釈ができる文です。
全体否定であるならば、次のように書き換えるべきです。⇒ (正)「テストの問題は、全部ができなかった。」
部分否定であるならば、次のように書き換えるべきです。⇒ (正)「テストの問題は、全部できなかったわけではない。」
「間隔を数ミリ空けてください。」
この文には曖昧な表現が使われています。この文を読んで、「数ミリってどの程度?」と、つっこみを入れたくなるかと思います。
このような文は次のように書き換えると、分かりやすくなります。⇒ (正)「間隔を3~5ミリ空けてください。」
「しばらく、そのままにしておいてください。」
この文を読んで、「しばらくって、どの程?」となってしまいます。
この文は、次のように書き換えると、分かりやすくなります。⇒ (正)「約5分間、そのままにしておいてください。」
「まず、はじめに電源をいれます。」
「まず」と「はじめに」と同じ表現が重複して使われています。このようは書き方は冗長な文であるため、次のように書く必要があります。
⇒ (正)「まず、電源をいれます。」
⇒ (正)「はじめに電源をいれます。」
「〇〇が、必ず必要です。」
この文も冗長な文になっています。このように書き換えるべきです。
⇒ (正)「〇〇が、必要です。」