この記事は 株式会社カオナビ Advent Calendar 2024 シリーズ2の12日目の記事です。
はじめに
みなさん、こんにちは!カオナビでPHPを書いているプッシュです。
この記事では職能越境の考え方を軸に、チームの可能性と課題を新たな視点から見つめ直すことで、より柔軟で効果的な働き方の選択肢が広がり、チーム全体のパフォーマンス向上につながればと思います。
職能越境とは
職能越境とは、従来の専門分野の枠を超えて、他の領域のスキルや知識を身につけ、柔軟に役割を担うことを指します。例えば、バックエンドエンジニアがフロントエンド開発のスキルを習得したり、プログラマーがUXデザインを学んだりすることが挙げられます。
これにより、チームの柔軟性が向上し、プロジェクトの効率化や個人のキャリア発展につながります。
当社の開発文化
私たちの会社では、職能越境が自身の市場価値を高める機会として認識されており、社内でも期待されている取り組みです。また、開発手法に関しては、チームが成果を出せれば比較的自由度が高く、具体的な進め方はチーム内での調整に委ねられています。
このような環境の中、私たちのチームはより効率的なプロダクト開発を目指して職能越境に挑戦しようとしています。
職能越境のメリットとデメリット
メリット
- 柔軟な対応力と問題解決能力の向上
- チーム全体での知識共有とメンバーのスキルアップ
- 属人化の解消
デメリット
- 責任の所在が不明確になるリスク
- 学習コストの発生
- 短期的な成果の低下の可能性
現在のチーム状況
きっかけ
職能越境への挑戦のきっかけは、チーム内でのタスク量の偏りと、開発からリリースまでの時間が長いという課題からでした。特に、フロントエンドのタスクが多い一方でバックエンドエンジニアの手が空く状況が頻繁に発生しています。また、プロダクトをユーザーに少しでも早く届けるために、チーム全体での解決が必要だという認識が芽生え始めています。
しかし、この職能越境への移行は簡単には進んでいません。主な障壁として、専門分野外の技術に不慣れなため、すぐには貢献が難しい状況です。さらに、フロントエンドエンジニアは日々の業務で手一杯であり、新しいスキルを共有する時間的余裕がないことも課題となっています。
具体的な取り組み
現在、私たちのチームでは職能越境を促進するため、二つの主要な取り組みを行っています。
まず、小規模なタスクへのチャレンジです。変更差分が小さいものや対応箇所が明確なタスクから着手することで、メンバーが徐々に新しい領域に慣れていけるよう工夫しています。
次に、テストの実施を全員で分担しています。職種に関係なく、手の空いているメンバーがテストを行うことで、開発サイクルを加速させようとしています。
他にも当社では、職能越境を促進するための取り組みを実施しています。
フロントエンドエンジニアが他チームでバックエンド開発に携わることで、個人のスキルアップとチーム間の知識交換を実現しています。また、QCエンジニアがIntegration Testの実装に挑戦し、ペアやモブプログラミングを通じてサポートを受けながら、テスト設計の重要性や自動化の可能性を探っています。
さらに、社内ISUCONの定期開催により、エンジニアが安全な環境で幅広い技術領域に触れる機会を提供しています。これらの取り組みにより、個々の専門性を高めつつ、チーム全体の視野を広げ、より柔軟で効率的な開発体制の構築を目指しています。
個人的な思い
こういったメリット、デメリットはありつつも、メンバーが専門分野の垣根を越えて協力し、状況に応じて柔軟に役割を担うことができるため、職能越境をしていきたいなと考えています。小規模なタスクから着実に取り組み始め、チーム全体のスキル向上と相互理解を深めながら、職能越境の実践を通じて新たな可能性を切り開いていきたいです。また、この挑戦を通じて、より強固で柔軟なチーム作りを実現し、より早く良いプロダクトをユーザーに届けて行きたいと思います。
まとめ
職能越境はチームの柔軟性と効率性を高める可能性を秘めた取り組みです。しかし、その実践には慎重さと忍耐が必要です。メリットとデメリットを十分に理解し、チームの状況に合わせて段階的に進めることが重要です。小さな一歩から始め、継続的に学習を行うことで、より強固で適応力のあるチーム作りにつながるでしょう。職能越境は目的ではなく、よりよいプロダクト開発とチーム成長のための手段であることを忘れずに、挑戦を続けていこうと思います。