発端
某サロンに流れた昔話
Oracle
ある日、某サロンにてOpenOffice.orgがApache OpenOfficeとなった経緯が話題になった。
OpenOfficeは紆余曲折を経てSun Microsystemsが所有していたが、OracleがSunを買収したためOracleが権利を有することになった。OpenOffice開発メンバーはLibre Office立ち上げてOracleに商標の寄贈をお願いしたが拒否された。Oracle OpenOfficeとしてはversion3.3だけリリースできたものの、主要開発者不在で開発チームは抜け殻となり、持て余したOracleがApache墓場に捨てた。捨てるくらいなら商標を寄贈していれば良かったのに。強欲は身を滅ぼす。
CIツールとして有名なJenkinsの前身Hudsonも 同様に捨てられ、Eclipse Foundation預かりとなった。やはりこちらもSunの元でOSSとして開発され、Oracleに買収されたがため商標で揉め、Oracleは権利主張した挙句に開発者が離れると持て余し、結局捨てるのである。MySQLもMariaDBにより抜け殻となり、そのうち捨てられるんじゃないだろうか。
ここで、Jenkins開発者の川口氏がrebuild.fmに出ていたという話になった。リビルドエフエム…
rebuild.fm
リビルドエフエムというのは、ジャバをディスる事に命をかけてるイキリルビィストのpodcastである。散々「ジャバはない」「今から新規でジャバとかあり得ない」「なんでジャバ技術者ってあんなにコードかけないの」と言っていたくせに、ネットで「お前らライブドアの時パールでなんでもやろうとしてたじゃん」って突っ込まれると「パールを批判される事があるけど、まあ、言語じゃないよね」
はあ????どの口が言うんだ!?
散々ジャバをディスってたのはどこのどいつだよ。無知のイキリほど聴いてて気分の悪いものはないので、それ以来二度と聴いてないしrebuild.fm
っていう文字列を観るだけでもムカついてくる。放送当時、関数型の勉強していて、小飼弾さんがperlでモナドしてるブログを偶然見つけて「すげー、小飼さんが書いたらperlもこんなキレイなんだ!」と思っていて、確かに言語じゃなくて悪いのは人。最悪なのはさんざん言語をディスってたくせに突っ込まれると謝罪もせず上から目線で「じゃないよねー」とかいう人間。
確かに「Javaができる人」という条件で人材を募集すると、とんでもなく使えない奴が来る事がある。それは単にJavaの人気が高くシェアを取った結果、素人が勉強しておいて損のない言語としての地位を確立したからに過ぎない。Javaの前はPHPだったし、その前はVBがそういう言語だった。人売りピンはね業者が、知能が低いのにプログラマになりたいワナビー達にVBを教えて、そういうやつらにどれだけ苦労させられたことか。
ライブドア昔話
なんでもperl
過去の部下に、ライブドアに面接に行ったら「俺たちはパールでFX(外国為替証拠金取引)のシステムを作るから手伝ってくれ」って言われたので、こっちから断ったってやつが居た。おそらく2005年くらいだと思うが、perlは当時でも既に業務に使う言語として選択するなんて考えられなかった。特に日本は「とほ○の☓☓入門」みたいなサイトで酷いコードがサンプルとして配布されていて1、それでperlを覚えたやつが糞コードを量産していたので、数行のスクリプト以外でperlなんて検討したこともなかった2。
ハンマーを持つ人にはすべてが釘に見える
なんでもperlでやるようなやつは、他にまともなツールを評価したことすらないに過ぎない。そういう視野狭窄のやつらが、クックパッドに行ってRubyに触れたら急にイキリだしたのがリビルドエフエムとかやってる連中なので、あれを有難がってるやつは正気に戻ったほうが良い。
ライブドア証券 (日本グローバル証券、かざか証券)
飛ぶ鳥を落とす勢いだったライブドアは、金融業界に参入するのに既存の証券会社を買収した。東証や大証の会員になるには何千万円も必要なので、すでに会員権をもっている証券会社を買収するのは妥当な戦略である。
筆者がいた会社は金融系システムを作っており、打ち合わせに六本木ヒルズに呼び出された事があった。出てきた取締役はライブドア本体から送り込まれた人物でまだ若かったのだが、会議中ずーーーーーーーーーーーーーーーっっとガラケーをいじっていた。「なにを気にしているんだろう?」と思っていたが、会議終了後にすぐ判明した。彼がこう言ったのだ。「話は変わるんですけど、ポンド円が暴落してて大変なんすよ」 つまり彼は会議中ずっとGBP/JPYチャートを見ていたんだね。
新規金融システム
ライブドア(以下LD社)が独自システムを作ることになり、開発チームは大連で作業することとなった。バックシステムは筆者がいた会社のグループ会社(以下TW社)が受け持つこととなり、うちの会社からは折衝役1名(以下Mさん)だけが参加して俺はほぼノータッチだった。
当時のLD社は、契約書は遅くていろいろ動いているうちに方針が変わってやっていた事が無意味になったり、前出のように「常識を知らない」担当者が割と偉い役職で出てくるので評判が悪く、業界の鼻つまみものだった。特にTW社はLD社の事が大嫌いだったらしく、Mさんは折衝にそうとう苦労されてたようだ。
ハードウェア(以下H/W)見積もり
俺が一点だけ関わったことがある。ライブドアが出した機能要求は2万人同時接続だったかな?それを捌けるH/Wを購入しないといけないのだが、バックシステムの会社がSun Forte C/C++信者でSun一色だった。H/W一式の値段は8億超え。これを前出のMさんに「psychoさんこれ安くしたいんだけどどうにかならない?」って相談されたのだ。TW社と話してみたがForte依存だからSunからの移行は難しいとの事だった。ただDBサーバーはOracleで、DBサーバー上に他にプロセスは載っていないという。そこでDBサーバーをLinuxにすることを打診したが、TW社としては「出来ると思うけど、Linuxで動かした実績が無いので動くかどうか保証できない」との事だった。そこでインフラ担当のKに依頼して、TW社のシステムをLinux上のOracleで動作検証と性能評価を頼んだ。
DBサーバーはスケールアウトが難しくスケールアップ3するしかない。このDBサーバーが最大のネックになっていた。Linuxで性能評価したところ、TW社が提示した2万人同時接続のSunのH/Wと同等の性能が、数千万円で出せる事が判明した。他にも2ラック使うテープドライブ+テープチェンジャーとか、安いものに置換できそうなものはあったがDBサーバーだけで数億圧縮できた。まあこれだけ貢献しても筆者やインフラ担当に対しては特にメリットはなかったが。
ホリエモン逮捕後
ライブドアはボロボロになっていき、このプロジェクトも解散することになった。LD社側から、前出のH/Wを処分したいから見積もりをしてくれという依頼が来た。これもMさんから筆者に相談が来た。当時はコンピュータのottoがまだ秋葉に店舗を構えていた頃で、Sunのサーバーなら買取の値段がついた。筆者はトータルで「最低でも2000万にはなる」と踏んだので、2000万で買い取るとLD社に伝えたところ、弊社が買取処分を担当することになった。
あとから聞いた話では、筆者が居た会社以外にも5社ほど相見積したようだが、他所はすべて処分費用を取る見積もりだったらしく、お金を出して買い取るといったのはうちだけだったようだ。量が量なので一旦データセンターに置くことになったのだが、データセンターに専用ルームを借りるだけで100万かかった。こんなに大量のSunマシンがあっても捌きようがないのでは?と思ったが、海外に輸出するらしくSunはいくらあっても困らないとの事で、結局5000万以上になった。これももちろん筆者には具体的なメリットはなかった。
まとめ
ライブドアの評判は悪かったが、この件に関してはホリエモンが悪いのではない。会社が若いのに大きくなりすぎて、会社の規模に応じた人材がいなかっただけ。誰も悪気はなかった、と信じたい。
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サイト自体は日本のネットリテラシー向上に非常に貢献した良サイトである ↩
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当時の近づきたくない言語第一位はVB、perlはそもそも視界に入ってない ↩
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Webサーバーのように台数増やしてスループット上げるのがスケールアウト。CPUやメモリを増やしてサーバーの性能アップさせるのがスケールアウト。2019年現在のSunならCPU64基1024コア2048スレッド、メモリ64TBまでならスケールアップできる。HDDはRAID5/6/10で256台とか512台とかに分散書き込みをすることでスループットを稼げる。 ↩