短絡容量について
短絡容量とは[1]
電力系統で短絡故障が発生すると、各電源から短絡地点に向かって短絡電流が流れる。短絡電流の大きさは短絡発生の瞬間から時間の経過とともに減衰するが、その大きさや分布は系統構成のあり方や故障点の位置または故障の種類等によって複雑に変化する。短絡容量は短絡電流に線間電圧を乗じたもので、次式で与えられる。
$$ W_S = \sqrt{3} I_S V$$
ただし、$W_S$は3相短絡容量[MVA]、$I_S$は短絡電流[kA]、$V$は線間電圧[kV]を表す。
再エネ導入による”短絡容量の低下”問題
電力システムへの再エネ電源の大量導入により、電力システムの慣性・同期化力が低下する問題は有名である。一方で、昨今は短絡容量の低下も問題として提言されている。
その理由は下記である[2]。
系統の事故時、再エネ電源の大量導入された電力システムでは、電圧維持能力(短絡容量)が減少し、事故時の故障電流(無効電力)が減少すると、これまで事故点判別のために用いていた故障電流検出が機能せず、安全に事故設備のみを系統から切り離すことができなくなり、保安上の問題が生じる可能性がある。
”短絡容量の低下”問題の対策としては、下記があげられる[2]。
・同期発電機の維持
・同期調相機設置
・事故検出整定値の見直し
・新しい事故検出方法の開発