技術同人誌イベント、今回は「出す(書く)」編です
の後編です。昨年11月に同人誌を書いた際の流れをまとめてみました。
執筆した図書
前回の技術書典15では「ExcelでBIツール風 見た目で負けないインタラクティブなダッシュボードを作る」を執筆いたしました。技術書典開催時期中は物理本(紙の本)で購入することができますが、期間外は電子版で購入することができます。ワケがあってBIツールは使えないけど、BIツール使いたい!とにかくきれいにExcelを見せたい!な方にお勧めな本です。分厚めの薄い本です!
執筆までの道
「書きたい」ときが書き時
「書きたい」ときが書き時です。私の場合、かなり頑張った仕事を書籍という形にして昇華させたいという気持ちが強くありました。タイミングよく同人誌執筆の機会があり、思い切って書き始めました。ブログにするには手順も多く、長くなりそうな内容だったので、結果的に同人誌にしてちょうどよかったかなと思います。
技術書典や技書博はだいたい年2回開催されています。なので、今回チャンスを逃しても半年後にまた機会はやってきます(笑)…その次はまたその半年後…(笑)
企画書の作成
私は個人での頒布ではなく、所属するコミュニティ「ノンプログラマーのためのスキルアップ研究会」での出版だったので、企画書を書いて通す必要がありました。なんでもかんでもOK…というわけではなく、初期費用を回収できる40冊をラインに売れそうな「ニッチだけど刺さる人には刺さるけど最低限売れる」企画である必要があります。企画書では書籍の背景や、ターゲティング、アウトラインを記載し、同じようなタイトルがないか等、競合等を調査して提出しました。
企画書作成は面倒ですが、ターゲットやアウトラインを明確にしておくと、ガイドがある状態で書き始められるのでかなり書きやすくなります。
スケジューリング
企画書が通ったらイベントまでのスケジュールを逆算して執筆スケジュールを立てます。物理本(紙の本)を印刷する場合は、印刷所のスケジュールもチェックしましょう。ちなみに印刷所は早めに提出(入稿)すると、その分早割が適用されます。
ちなみに私は超ギリギリに入稿したため定価でしたが、少しでも利益を増やしたい・初期投資を抑えたい人は絶対に早めに書いたほうがいいです(おしりに火が付くのが遅かった私にはできなかったが…)
スケジュールについてはイベントの主催からアナウンスがあります。印刷所(技術書典では日光企画様が提携印刷所)のスケジュールも公式ページの右欄のイベントバナーからイベントごとの早割の割引率を確認できます。
執筆環境について
ノンプロ研では、VSCodeとGitを使ってMarkdown形式で執筆をしていました。技術書典ではRe:VIEWが主流のようです。Word使っている方もいらっしゃるし、とくにかく自分が書ければお好きな環境でよいと思います。
とにかく書く!!
締め切りに向かって書き続けます。私の場合期限ぎりぎりに書き始めたので、平日…週末…どんな隙間時間もとにかく書いていました。プライベートなのに、かなり追い込まれていたし、追い込んでいました(笑)
▼いかに短期集中で書いたかわかるGitHubの草の図
表紙の作成
執筆にめどがついてきたときに、表紙の作成をしました。サークル内の他の方は外部発注してましたが、自分の本を自分でデザインしたかったので、iPadのAffinity Designerを使って作成しました。自由にかわいくデザインできるので楽しいです。コツは小さなサムネでも、パッと内容がわかるようにすることかもです。
作成する際、日光企画様で入稿する場合は表紙用のテンプレート(PSD形式)があるのでそれを使うとよきです。ページ数によって背幅が変わります。私の同人誌は分厚めだったので背表紙に文字を入れたのですがこれがよかった!書籍みがあふれて、ビジュがよくなります(?)
サポートサイトの作成
デモデータや完成版のExcelの配布、脚注のURLへのリンク等を掲載したサポートサイトをNotionを使って作成しました。Notionは気軽にWebサイトを作成できるので本当に便利。こんなお手軽な時代になってよかった。いまでもちょこちょこアクセスがあるので、役立っているのだと思います。
校正など
Markdownで書いたものをPDFに起こして見てみると結構誤字脱字があったり、変なところで改ページがあったりするので、それを地道に直していきます。私の場合は画像も多かったため、画像の内容と説明の整合性も確認しました。ただ、納期に余裕があまりなく、誤字脱字をすべて拾いきれないままとなってしまいました。反省。
今振り返ると、自動校正ツールやAIを使って、もっと目検以外でのチェック方法を入れればよかったなと反省しております。。最近はGoogle DocumentにAI校正が入っているのですが、これが結構優秀だったりします。VSCodeだけじゃなくていろいろツール使えばよかった…。
入稿
ノンプロ研ではサークルで入稿をしてくれるので、私自身は対応していませんが、印刷所の形式に合わせてモノクロ版とカラー版で入稿する必要があります。
宣伝
とにかく赤字にはしたくない!!と思い、執筆の波が終わった後は技術書典のハッシュタグをつけてSNSで周知しました。Canva作ったプロモCMがわりとバズり、無事に赤字も回避できました👏!執筆途中から早めに投稿しておけばもうちょっと売り上げも上がったかもしれない…。早い段階だとそれほどハッシュタグ付き告知もないので、目立つことができそうです。
執筆した本は名刺代わりになる
技術系の登壇や、自己紹介で「同人誌を書きました」と言うと「エクセルで?」「同人誌?どういうこと?」と食いつかれました。社内で告知した際も、何名か実際に会場まで足を運んで購入してくださる方もいらっしゃいました…泣なんて優しいんだ。
私は自分の本をまとめ買いして、技術書典が終わった後も30冊ほど細々と手売りしていましたが、興味を持たれることが多く、すべて売り切れました。
同人誌、書きたくない?
と、いうわけで同人誌執筆の一連の流れを書いてみました。何かネタがある方は絶対に書いたほうがいいです!!技術書典の場合、必ずしも紙の本を出さなくてもオンラインだけで参加(=電子書籍だけ頒布)する方法もあります。
執筆は大変ですが、大人になってこんなに何かに追われたり打ち込むこともなかなかないので、たまにはそんな体験をしてみたい方にはお勧めです(余裕をもって書けばそんなことにはならないよ!)
いつか出したいなと思っている人は、さっそく半年後に向けてスタートを切ってみてはいかがでしょうか?