28
36

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

Raspberry Pi Zero WをUSB一本でiPhoneとかからいじれるようにする

Last updated at Posted at 2017-07-29

Twitterに載せたら思ったより検索&拡散されたようなので、初めてQiitaに書いてみる。
#概要

Raspberry Pi Zero W を入手するまで

長らく技適関係が完全でないとして日本で入手しづらかった、Raspberry Pi Zero W。
先週(7月17日)から順次スイッチサイエンスやKSYなどで取扱が始まっている。

自分は結局日本の代理店の解禁タイミングで確保できず、PIMORONIから購入。10日ほどで届いた。
ちゃんと技適表記も更新されていた。

Raspberry Pi Zero Wの特徴

Raspberry Pi Zero/Zero Wは他のRaspberry Piにはない特徴として、起動設定をいじることでUSBネットワークカードとして振る舞い、通信をすることができる。

iPhoneにUSBアダプタ経由でLANアダプタをつなぐと有線LAN接続できるところから
「Raspberry Pi Zero系とiPhoneをつないだら認識されるんじゃね?」
って思ってやってみたら動いた。

※注意点として、iPhoneにUSB-LANアダプタを繋いだ場合、基本的にiPhoneの全ての通信がそちらを経由するようになる。
なので、今回はZero WのWiFiで予めインターネットに繋がるようにしておき、
iPhone -> [USB] -> RPi -> [WiFi] -> インターネット
と通信できるように設定した。

今回はメインで使用してないiPhone 5sで検証。
よく考えたらミニマムにまとめたわりにiPhone1台で外で使おうとすると…

#ステップ

  • WiFiなどの初期設定を済ませる
  • USBで通信できるように設定。
  • USB側に出現するインターフェイスを固定IPにし、DHCPサーバーを動かす
  • USB側から来た通信をWiFi側に流すようルーティングする

#用意するもの

  • Raspberry Pi Zero W
  • 無印Zeroでも一応できるはずだが、iPhoneと繋いだときにインターネットに出れないのでWを推奨
  • Lightningコネクタを搭載したiPhone/iPadなど
  • iPhone 5sで動作確認
  • Apple Lightning - USB 3カメラアダプタ
  • 電源供給もできるタイプのカメラアダプタ。DTM用に持ってた。
  • 初期設定用のPC、ディスプレイetc.
  • USB電源、MicroUSBケーブルなど

設定

まずは普通にHDMIモニタとUSBキーボード等を使ってRaspberry Pi Zero W(以下RPi)の初期設定をした。
今回はRaspbian Jessie Liteを使用。

RPi自身がWiFiでインターネットに繋がるようにしておくのと、Avahiが動作するようにしておく。

起動オプション設定

続いて、RPiがUSBネットワークとして振る舞うように設定をする。

/boot/config.txtに

/boot/config.txt
dtoverlay=dwc2

/boot/cmdline.txtの末尾、rootwaitの後に

/boot/cmdline.txt
modules-load=dwc2,g_ether

を追記。

これで起動すると、USBケーブルで接続するだけでネットワークインターフェイスとして認識される。
接続の際は、電源供給用 ではなく 、USB機器接続用のMicro USBコネクタとPCを普通のMicro USBケーブルで接続する。
(Windows 10などでシリアルデバイスとして認識される時があるので、その場合はドライバをあてる)

ネットワークインターフェイスの設定

この状態でRPiを起動すると、 usb0 という名前のネットワークインターフェイスが現れる。
まずはusb0のIPアドレスを固定IPにする。

設定例:

/etc/network/interfaces
auto usb0
iface usb0 inet static
address 192.168.39.1
netmask 255.255.255.0
pre-up iptables-restore < /etc/iptables.ipv4.nat

pre-upの行については後述。

DHCPサーバーの設定

続いて、DHCPサーバーをインストールする。
今回はisc-dhcp-serverを使用。
$ sudo apt-get install isc-dhcp-server

DHCPサーバーの設定に関しては調べると出てくるのでそれを参考に…
インターフェイス usb0 に対してアドレスを振ってくれるように設定。
設定例:

/etc/dhcp/dhcpd.conf
(略)
authorative # コメントアウトを外す
(略)
subnet 192.168.39.0 netmask 255.255.255.0 {
        option routers 192.168.39.1;
        option broadcast-address 192.168.39.255;
        option subnet-mask 255.255.255.0;
        option domain-name "localdomain";
        option domain-name-servers 8.8.8.8;
        default-lease-time 600;
        max-lease-time 7200;
        range 192.168.39.10 192.168.39.20;
}
/etc/default/isc-dhcp-server
(略)
#INTERFACE=""
INTERFACE="usb0"

ルーティングの設定

このあたりは調べて出てきたサイトを参考しました。→Raspberry Piルーター化2

まずはパケットフォワーディングの設定。

/etc/sysctl.conf
(略)
net.ipv4.ip_forward=1 #コメントアウトされているので修正
(略)

続いてルーティング設定。 usb0の通信をwlan0に中継。

$ sudo iptables -t nat -A POSTROUTING -o wlan0 -j MASQUERADE
$ sudo iptables -A FORWARD -i wlan0 -o usb0 -m state --state RELATED,ESTABLISHED -j ACCEPT
$ sudo iptables -A FORWARD -i usb0 -o wlan0 -j ACCEPT

ルーティング設定内容を保存
$ sudo sh -c 'iptables-save > /etc/iptables.ipv4.nat'

ネットワーク初期化時にルーティング内容を復元するため、/etc/network/interfacesのusb0の設定の最後に

/etc/network/interfaces
pre-up iptables-restore < /etc/iptables.ipv4.nat

のような形で設定。

ここまで来たらほぼ準備完了。再起動またはシャットダウンします。

動作確認

PC

まずはWindows PCで動作確認をした。
予めPCのWiFiなど他のネットワーク接続は切っておく。

上にも書いたとおり、Raspberry Pi Zero Wの電源供給用ではなく、USB機器をつなぐ方のMicro USB端子とPCをMicro USBケーブルで接続。

USB Ethernet/RNDIS Gadget というネットワークインターフェイスが現れるので、IPアドレスがDHCPで設定した通りに割り振られ、インターネットにも繋がることを確認。

iPhone (iPad)

iPhoneにUSB Adaptorを接続、Lightningケーブルで電源を供給し、USBホスト端子にRPiを接続。
設定アプリにEthernetという項目が出現し、 RNDIS/Ethernet Gadget の設定からIPアドレスが確認できれば準備完了。

あとはSSH接続ソフト(Termius等)や設定次第ではVNCクライアントなどをiPhoneに入れておけばPCもモニタも不要でやりたい放題!
RPiのIPアドレスは固定したIPアドレス(192.168.XX.1など)またはBonjour[ホスト名].localでアクセス可能。

ちなみにiPhoneのインターネットへの通信を中継する形になるのでtcpdumpなどでiPhoneからの通信を覗いたりもできる…

28
36
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
28
36

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?