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縁起でもないけどCOVID-19と他の死因について調べてみた

Last updated at Posted at 2020-08-01

国内でのCOVID-19の死亡リスクが、他の死因と比べてどの程度のリスクなのかを調べてるうちに、いろいろ余計なことまで調べしまいました。
せっかく調べたので、記録しておきます。

(2020/08/02追記)
この投稿をまとめ中で改めてCOVID-19の怖さを感じています。ヨーロッパの15%の死亡率(対感染者)ってほんと?と思いますし、米国の死亡数/10万人を州ごとにみると、178人(New Jersey)、 168人(New York)と信じられないような数字です。

COVID-19を色々な数字と比較して怖くないという主張を目にしますが、一部の統計情報を切り出して議論しているように感じていました。今回の投稿は、議論のベースとなるデータを調べて全体像を見ること、検証可能なデータソースを記録することを主な目的としています。

比較した統計情報は、2017年の年間の情報。COVID-19のデータは2020/07/31時点のデータ(4~5か月)なので、期間が違い、また特性も違うので、あまり科学的な比較データとは言えません。
加えて、COVID-19の怖さは、指数的な特性にあります。この分析は、線形というか、比例に基づいた分析なので、COVID-19の本質的な怖さを見えにくくしているかもしれません。
死亡率が低いとしても、感染が広がることで医療機関がひっ迫すると、COVID-19だけではなく、他の病気や不慮の事故の治療や対応にも多き影響します。

そもそも素人ということもありますが、COVID-19はとても理解が難しいと感じています。一方で、素人でもデータが容易に手に入る世の中であることにも驚きます。日々の報道に驚くことも多いのですが、できるだけ元データにあたって、理解に努めていきたいと考えています。

COVID-19の死亡リスクはどの程度か

日本のCOVID-19による死亡者数(1,006名 2020/07/31現在)を、他の死因を比較してみました。
約半年間のデータであることを割り引いて考える必要はありますが、現段階では、他の死因と比較して、さほど死亡リスクが高い状況ではないようです。
若干詭弁になりますが、家(庭)のリスクの方が高いという見方もできるので、在宅勤務だから安心かというと、必ずしもそうではないようです。もっとも、家(庭)での死亡者は70歳以上が60%を占めているので、あまり良い指標ではないかもしれません。

死因(2017) 総数 割合
総数 1,340,397 100.00%
呼吸器系疾患 189,601 14.10%
老衰 101,396 7.60%
肺炎 96,841 7.20%
不慮の事故 40,329 3.00%
自殺 20,465 1.50%
感染症 18,658 1.40%
慢性閉塞性肺疾患 18,523 1.40%
家(庭) 14,671 1.10%
交通事故 5,004 0.40%
インフルエンザ 2,569 0.20%
COVID-19(07/31) 1,006 0.10%

WHO: situation report-193 31 July 2020
e-Stat: 2017年 手術有りの死亡数,性・年齢(5歳階級)・死因(死因簡単分類)別
e-Stat:2017年人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 保管統計表(報告書非掲載表) 死因
e-Stat:2017年 人口動態調査 / 人口動態統計 確定数 死亡

他国と比較してみる

現段階では、日本におけるCOVID-19の死亡リスクは、それほど高くないことがわかりました。しかし、これから感染が拡大していったらどうなるか、他国をベンチマークに試算してみます。
他国の10万人当たりの死亡数は、このような状況です。
image.png

感染が蔓延した国と同じような割合で死亡数が出た場合、日本でどの程度の死亡数がでるかを試算してみます。
人口当たりの死亡数が一番多かったベルギー(これも意外)と同程度の状況になると、約10万人が死亡する計算になります。肺炎よりも多いレベルです。米国と同程度とする6万人弱が死亡する計算となり、肺炎の半分強に相当します。もっとも、米国はまだ終息の気配が見えないので、さらに死亡数が増えていくものと想定されます。

2020/07/31現在 死亡数/10万人 日本の想定死亡数
01:Belgium 85 107,088
02:United Kingdom 68 85,586
03:Spain 61 76,756
04:Italy 58 73,312
05:Peru 58 72,007
06:Sweden 57 71,591
07:Chile 49 61,241
08:US 47 57,763
09:France 46 58,430
10:Brazil 44 53,506
11:Mexico 37 44,789
12:Netherlands 36 45,406
13:Ireland 36 45,077
14:Panama 33 40,181
15:Ecuador 32 40,215
16:Bolivia 26 30,353
17:Armenia 25 30,787
18:Canada 24 29,872
19:North Macedonia 23 28,829
20:Switzerland 23 28,853

改めて他国の状況を見てみる

上記分析をしている中で、死者数/感染者数がどのくらいかを調べてみたくなりました。調べてみて驚いたのは、英国、ベルギー、イタリア、フランスは 13~15%の死亡率(対感染者数)と、非常に高い数字なんですね。医療崩壊が起きていたのは間違いないでしょう。
一方で、米国を見ると3.4%で、意外に低い数字です。これは、もう少し調べてみなければなりません。

人口 感染者数(10万人あたり) 死亡数(10万人あたり) 死亡率(感染者) 感染率(人口) 死亡率(人口)
United Kingdom 67,886,004 449.0 68.1 15.2% 0.4% 0.068%
Belgium 11,589,616 593.2 84.9 14.3% 0.6% 0.085%
Italy 60,461,828 409.4 58.1 14.2% 0.4% 0.058%
France 65,273,512 345.0 46.4 13.4% 0.3% 0.046%
Netherlands 17,134,873 318.6 36.0 11.3% 0.3% 0.036%
Mexico 127,792,286 332.3 36.5 11.0% 0.3% 0.037%
Spain 46,754,783 617.1 60.8 9.9% 0.6% 0.061%
Canada 37,855,702 312.5 23.7 7.6% 0.3% 0.024%
Sweden 10,099,270 796.3 56.9 7.1% 0.8% 0.057%
Ireland 4,937,796 527.9 35.7 6.8% 0.5% 0.036%
Ecuador 17,643,060 483.8 32.3 6.7% 0.5% 0.032%
Switzerland 8,654,618 407.1 22.9 5.6% 0.4% 0.023%
Peru 32,971,846 1235.9 57.7 4.7% 1.2% 0.058%
North Macedonia 2,083,380 516.2 23.3 4.5% 0.5% 0.023%
Bolivia 11,673,029 657.8 25.5 3.9% 0.7% 0.026%
Brazil 212,559,409 1252.6 43.5 3.5% 1.3% 0.044%
US 329,466,283 1384.7 46.5 3.4% 1.4% 0.047%
Chile 19,116,209 1860.6 49.5 2.7% 1.9% 0.049%
Panama 4,314,768 1512.4 32.9 2.2% 1.5% 0.033%
Armenia 2,963,234 1300.9 24.9 1.9% 1.3% 0.025%
Japan 126,476,458 28.6 0.8 2.8% 0.3% 0.001%

米国を州ごとでみてみる

米国における10万人あたりの死亡数を州ごとに見てみました。
10万人当たりの死亡数がとても高い州があります。New York, New Jersey, Connecticut,Massachusettsでは、100名を超えています。人口が多い州が含まれているので、これらの州のイメージが強烈なのかもしれません。Rhode Island,Louisiana, District of Columbia(Washington, D.C.),Michigan,Illinois,Delawareが、60名/10万人を越えていました。
死亡数/感染者数を見てみると、ヨーロッパの感染が多かった国よりも低い水準になるようです。病院に冷蔵トラックが止まっているビデオなど、米国、特にニューヨークには強烈な印象がありますが、今回調べた範囲では、死亡率(人口比)では米国の一部の州がとてもひどい状態だったようですが、死亡率(感染者数)についてはヨーロッパの方が大変な状況だったようです。

image.png

Cases Deaths 死亡率(感染者) 感染率(人口) 死亡率(人口)
Connecticut 3,565,287 1397.1 124.3 8.9% 1.4% 0.124%
New Jersey 8,882,190 2045.2 178.1 8.7% 2.0% 0.178%
New York 19,453,561 2133.4 168.0 7.9% 2.1% 0.168%
Massachusetts 6,892,503 1706.4 124.9 7.3% 1.7% 0.125%
Michigan 9,986,857 906.9 64.6 7.1% 0.9% 0.065%
Rhode Island 1,059,361 1795.6 95.1 5.3% 1.8% 0.095%
District of Columbia 705,749 1708.4 82.7 4.8% 1.7% 0.083%
Illinois 12,671,821 1421.4 60.7 4.3% 1.4% 0.061%
Delaware 973,764 1518.6 60.1 4.0% 1.5% 0.060%
Louisiana 4,648,794 2501.3 84.9 3.4% 2.5% 0.085%

参考:厚生労働省 データ

(この投稿の最後に表形式のデータを載せてあります。)

image.png

検索キー:死因 ICD 5歳階級

死因簡単分類 総数 割合
00000_総数 1,340,397 100.0%
01000_感染症及び寄生虫症 24,759 1.8%
01100_腸管感染症 2,358 0.2%
01200_結核 2,306 0.2%
01300_敗血症 10,213 0.8%
01400_ウイルス性肝炎 3,743 0.3%
01500_ヒト免疫不全ウイルス[HIV]病 38 0.0%
01600_その他の感染症及び寄生虫症 6,101 0.5%
02000_新生物<腫瘍> 386,354 28.8%
02100_悪性新生物<腫瘍> 373,334 27.9%
02110_気管,気管支及び肺の悪性新生物<腫瘍> 74,120 5.5%
02120_その他のリンパ組織,造血組織及び関連組織の悪性新生物<腫瘍> 4,492 0.3%
02200_その他の新生物<腫瘍> 13,020 1.0%
03000_血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 4,370 0.3%
03100_貧血 2,153 0.2%
03200_その他の血液及び造血器の疾患並びに免疫機構の障害 2,217 0.2%
04000_内分泌,栄養及び代謝疾患 22,384 1.7%
04100_糖尿病 13,969 1.0%
04200_その他の内分泌,栄養及び代謝疾患 8,415 0.6%
05000_精神及び行動の障害 21,483 1.6%
05100_血管性及び詳細不明の認知症 19,546 1.5%
05200_その他の精神及び行動の障害 1,937 0.1%
06000_神経系の疾患 45,024 3.4%
06100_髄膜炎 311 0.0%
06200_脊髄性筋萎縮症及び関連症候群 2,543 0.2%
06300_パーキンソン病 10,123 0.8%
06400_アルツハイマー病 17,238 1.3%
06500_その他の神経系の疾患 14,809 1.1%
07000_眼及び付属器の疾患 7 0.0%
08000_耳及び乳様突起の疾患 20 0.0%
09000_循環器系の疾患 350,966 26.2%
09100_高血圧性疾患 9,567 0.7%
09200_心疾患(高血圧性を除く) 204,837 15.3%
09300_脳血管疾患 109,880 8.2%
09400_大動脈瘤及び解離 19,126 1.4%
09500_その他の循環器系の疾患 7,556 0.6%
10000_呼吸器系の疾患 189,601 14.1%
10100_インフルエンザ 2,569 0.2%
10200_肺炎 96,841 7.2%
10300_急性気管支炎 419 0.0%
10400_慢性閉塞性肺疾患 18,523 1.4%
10500_喘息 1,794 0.1%
10600_その他の呼吸器系の疾患 69,455 5.2%
11000_消化器系の疾患 51,269 3.8%
11100_胃潰瘍及び十二指腸潰瘍 2,513 0.2%
11200_ヘルニア及び腸閉塞 7,087 0.5%
11300_肝疾患 17,018 1.3%
11400_その他の消化器系の疾患 24,651 1.8%
12000_皮膚及び皮下組織の疾患 2,440 0.2%
13000_筋骨格系及び結合組織の疾患 8,337 0.6%
14000_腎尿路生殖器系の疾患 37,997 2.8%
14100_糸球体疾患及び腎尿細管間質性疾患 4,613 0.3%
14200_腎不全 25,134 1.9%
14300_その他の腎尿路生殖器系の疾患 8,250 0.6%
15000_妊娠,分娩及び産じょく 36 0.0%
16000_周産期に発生した病態 486 0.0%
16100_妊娠期間及び胎児発育に関連する障害 59 0.0%
16200_出産外傷 5 0.0%
16300_周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害 244 0.0%
16400_周産期に特異的な感染症 46 0.0%
16500_胎児及び新生児の出血性障害及び血液障害 64 0.0%
16600_その他の周産期に発生した病態 68 0.0%
17000_先天奇形,変形及び染色体異常 2,128 0.2%
17100_神経系の先天奇形 98 0.0%
17200_循環器系の先天奇形 881 0.1%
17300_消化器系の先天奇形 105 0.0%
17400_その他の先天奇形及び変形 572 0.0%
17500_染色体異常,他に分類されないもの 472 0.0%
18000_症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 124,159 9.3%
18100_老衰 101,396 7.6%
18200_乳幼児突然死症候群 77 0.0%
18300_その他の症状,徴候及び異常臨床所見・異常検査所見で他に分類されないもの 22,686 1.7%
20000_傷病及び死亡の外因 68,577 5.1%
20100_不慮の事故 40,329 3.0%
20200_自殺 20,465 1.5%
20300_他殺 288 0.0%
20400_その他の外因 7,495 0.6%
22000_特殊目的用コード -  
22100_重症急性呼吸器症候群〔SARS〕 -  
22200_その他の特殊目的用コード -  

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