この本を読んだ経緯
現在自社開発に取り組んでいて、その際にどうすれば利益につながるシステムを作れるか、
全く知識がなかったのでマネタイズについて学んでみようと思い、この本を手に取りました。
今回の記事を読んで興味を持っていただけた方はぜひこちらの本を手に取ってみてください!
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アプリマーケティングの教科書
著者:坂本達夫さん、内山隆さん
本の概要
Chapter1:スマートフォンアプリを作る意義
アプリビジネスの高まりについて
- モバイル端末の利用時間が増加したことで、webブラウザからアプリ版への移行の動きが起こったことを紹介。
- アプリ版にするメリット、デメリットは何なのか、ブラウザ版の利点は何なのかに触れ、本当にアプリ版に移行する必要があるか考えることの必要性も説いている
Chapter2:マーケティングはデータ活用の時代へ
マーケティングの役割と、マーケターに求められる役割
- 消費者の観察眼やクリエイティブの素養以外に、収集したデータの分析などを通じて、経営や開発に携わることが求められる
プロモーションする際に必要な視点と方法についての紹介
- マーケティングをする際は、実際に顧客に利用してもらうまでの顧客の視点を持ち、どこに落とし穴があるのか把握するようにすることが求められている
- 目的に合わせたプロモーション方法を選択することが必要で、どのような選択肢があるのかを紹介
- ブランディング広告とパフォーマンス広告の違い
- リスティング広告とディスプレイ広告の特徴
- マーケティング予算の配分について
Chapter3:デジタル広告を正しく理解する
デジタル広告の歴史
- 媒体が持つ広告枠に対して、それらの取引の手間を解消したり、効果測定をできるようにしたりするアドテクノロジーが登場する
アドネットワークとアドエクスチェンジの違い
- アドネットワーク・・・複数媒体の広告枠を取りまとめて仲介企業が管理するネットワークと相対で取引する。課金形態や入稿フォーマットはそれぞれ異なる
- アドエクスチェンジ・・・複数広告主が、参加する複数のアドネットワークと、広告表示を一回ごとにオークションして取引する。市場の役割を果たす。アドエクスチェンジの登場により、取引の効率化ニーズが高まった結果、リアルタイムビッティングなどの技術の進化にもつながった
アプリ広告の歴史
- リワード(ブースト)広告を使ったマーケティングについて
- 広告経由のアプリインストールなどに対して、ユーザーが報酬を得られるようにすることでインストール率を上げ、ランキングを上昇させることを目的としたマーケティング
- この手法はインストール率を上げることはできますが、最終的なユーザーの定着には結びつきにくく、アプリストアからも問題視され、結果的に使われることはほぼ皆無になった
- 国産アドネットワークとグローバルプレイヤー
- 国内では2011年にKDDIグループのmedibaがnobot社というITベンチャー企業を買収したことで、日本国内においてもスマートフォン広告市場に号砲が鳴らされ、市場が急速に拡大されることになった
- しかし、市場の成熟とともに開発力(資本力)、データ量で圧倒できるグローバル企業が競争力を高め、国内企業に比べ強い力を持つようになった
Chapter4:マーケティングメトリックスを理解する
どうすればプロモーションが成功していると言えるのか
- 予算を青天井で宣伝するのは一見効率が悪そうに見えるが、それにより顧客を早く獲得し、宣伝費以上の収益を得られるならば、プロモーションが成功していると言える
- 逆に、効率を重視して少額の資本投資にとどめて宣伝する場合、他社にその分シェアを奪われるならば、機会損失を生んでいて、プロモーションが失敗しているとも言える
課題を解決するには、遅行指標ではなく、先行指標を的確に捉え、その改善を経て遅行指標の改善につなげることが大切
アプリマーケティングの効果計測の方法
- 投下した広告予算の効果を計測する(獲得単価の計算)
- 獲得した顧客からの生涯価値を計測する(LTV)
- 「収入」と「支出」のバランスを検証する(ROAS、ユニットエコノミクス)
Chapter5:マーケティング実践編 -ユーザー獲得-
アプリ広告におけるメディアプランニング
- どれだけインストールされたかを基準にする考え方
- ユーザー行動を基準にする考え方
- インストールされるだけだと、収益に繋がるとは限らないため
広告出稿先の選出方法
- どのプラットフォームが質の高いユーザーを獲得できるか
- 複数プラットフォームに出稿する場合、初期段階では巨大プラットフォーマーから順に予算を振り分けると大きな失敗はしにくい
- 予算を同じ媒体に投下しすぎると、獲得効率は落ち、インストール単価は上がってしまう
- しかし、広告運用の自動化が進むにつれ、機械学習が取り入れられた結果、ある程度データがないとその機械学習がうまく働かないという背景があるため、最低金額には気をつけるようにする
Chapter6:マーケティング実践編 -マネタイズ-
無料アプリと有料アプリ
- 無料アプリ・・・触ってみないと価値が分かりにくいアプリはこっちが無難
- 有料アプリ・・・生産性を上げたり、買い切りで楽しむゲームでよくとられる形態。便益がはっきりしている
無料アプリの収益モデル
- アプリ内課金
- 消耗型・・・一度使うとなくなり、再購入が可能な課金形態
- 非消耗型・・・一度使うことで、効果が永続的な課金形態
- サブスクリプション
- あらかじめ決められた期間かユーザーがキャンセルするまで定期的に課金される形態
- 広告
- アプリ内に埋め込んだ広告をユーザー画面に掲載することで広告主から広告料を得る形態
- 種類
- バナー広告
- インタースティシャル広告
- ネイティブ広告
- オファーウォール
- 動画リワード広告
- 種類
- アプリ内に埋め込んだ広告をユーザー画面に掲載することで広告主から広告料を得る形態
- サービス収益
- アプリによって実現させたサービスによって収益を得る形態
→これらを組み合わせることでリスク分散と売上機会の最大化を見込む
アプリプラットフォームにおける手数料
- アプル内課金のシェアはAppleとGoogleが圧倒的なので、その2社のガイドラインは最低限理解しておき、常に更新情報を追うようにしておく
Chapter7:マーケティング実践編 -計測と運用-
運用型の広告形態をとる場合は、広告を配信した後に、成果計測、検証、改善を循環して行うことが大切で、成果計測では、アプリに流入してきたユーザーの経路を特定し、分析することが重要
Chapter8:詐欺、不正広告を生み出す「アドフラウド」の仕組みと対策
アドフラウドとは何なのか、どんな問題があるのかの紹介
- アドフラウドとは、デジタル広告における詐欺や不正広告のことで、広告主が不正に広告費を搾取される仕組みを指している
- 具体的にはデジタル広告におけるインプレッションやクリックを不正に発生させる詐欺はアドフラウドにあたる
- 問題点
- 不正業者にお金を騙し取られる
- 正しいマーケティングの意思決定が阻害される
- アドフラウドの種類と対策
色々対策はあるが、一番は広告主がマーケティングやアドフラウドに関する知識を身に付け、マーケティングの運用を他の人に任せきりにしないことが重要である。
誰かにマーケティングをやってもらうにしても、自分でも確認して判断できるようにしておくことが求められる。
Chapter9:プロモーション・マネタイズのその先へ
プロモーションの設計と実践を改善することも大切だけど、それよりもユーザーが求めているアプリを作ったり、欲しいと思う機能を実装したりすることが大事。
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ユーザーにインストールしてもらった上で、ユーザーが使い続けたいと思うような機能、品質、使い勝手に近づける工夫が必要
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この点についてマーケターには、インストールしてくれたユーザーの状況を注意深く観察し、それをチームにフィードバックすることが求められる
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手法としては以下のようなものが例として挙げられる
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ユーザーテスト
- ユーザーにタスクを提示してアプリ設計における仮説を検証したり、ユーザーにとって使いにくい、離脱しやすいポイントを見つける調査
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チュートリアル設計
- アプリを始めて使うユーザーに対して、アプリの使い方やユーザーにとってのメリットを説明し、実感してもらう
- 本書ではチュートリアルの役割について、
- Teach(教える)、Comfort(心地よくさせる)、Excite(興奮させる)、Respect(気遣う)の4点が紹介されている
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この本をお薦めしたい人
- 広告を使ったアプリマーケティングについて知識を深めたい人
- 新規事業に携わっているアプリケーションのエンジニア
- これからアプリケーションのマーケティングに取り組む予定のあるマーケター
感想
マネタイズ以前に自分の経済に関する知識が不足していて、少し難しいところがあるなと読んでみて感じた(特にマーケティングの実践編)ので、これを機に経済に関する基礎的な知識もインプットしていこうと思いました。
また、実際に製品を開発する際、どうしたら利益につながる商品を開発できるのかということについても調べていこうと思います。
特に、良いチュートリアルの作り方の調査と、チュートリアルがなくても分かりやすいようにシステムの導線を改善していきたいと感じました。
これは、chapter9で書かれている「アプリをユーザーが使い続けてくれないと意味がない」という話題のところで、どんなにインストールしてもらっても、その後のチュートリアルが分かりにくければ離脱率が上がってしまうかもしれないという話があり、今制作しているシステムも、チュートリアルがないと分かりにくい、もしくはあってもわかりにくい部分が多いと感じたからです。