こんにちは!
『健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。』を掲げる、TENTIAL社CFOの酒井です。
Looker導入から1年経ったので、この場を借りて振り返りをしたいと思います。
Lookerをこれから導入する企業にはもちろんのこと、財務担当の視点からの振り返りもありますので、活用領域をこれから経営(企画)にも広げていきたい会社さんにとって有用な記事になると良いなと思っています。
TL;DR
- 「Google for Startups クラウド プログラム」でLookerを1年前に導入した。プロフェショナルサービス(有償CS)盛り盛りで入れたけど1年目は完全無料で済んだ💰
- スプシダッシュボードがLooker化して、コミュニケーション/メンテコストが著しく下がった
- 今後、スケールさせる体制を模索中
Looker導入の背景
分析環境に関する課題感
当社は2018年創業のスタートアップで、検討当時はどスタートアップであり、分析基盤にお金をかけられる状態ではありませんでした。
従って、導入検討をしていた2020年頃はなんとかBigQueryのDWHがELT層~データマート層まで立ち上がった程度で、BI層はスプレッドシートやデータスタジオ(現Looker Studio)など、チーム・個人が思い思いに制作をしていました。
このことから、売上等各種定義を始めとする分析上の知的アセットが分散していたほか、ダッシュボードの陳腐化・瓦解が半年未満の短いライフサイクルで発生してしまっていました。
これらをデータガバナンス、SSOTといったキーワードで解決することが当社が中長期でデータ分析を強みに成長するにあたり課題であることは明白でした。
導入の背中を押したもの
実は、Lookerの導入は前職で一度経験をしていました。
そのときに「データガバナンスの観点ではベストツールであるが、少なくとも年間数百万は見込む必要があり、加えて立ち上げに労力が掛かる」という印象を抱いており、どスタートアップであり、主務がデータエンジニアでない私としては、導入が難しいと当時は考えていました。
その折、たまたまGoogle社のご担当にGoogle for Startups クラウド プログラムを紹介いただき、これが2020年にGCPファミリー入りをしたLookerにも 、しかも有償CSであるプロフェッショナルサービスにも適用される ことを知りました。(※)
このプログラムは 10 万米ドル クレジットを1年間付与してもらえるというもので、Lookerの購入には十分ですし、また立ち上げの労力もプロフェッショナルサービスでカバーできます。
スタートアップで分析環境を構築する際は、必ず自社が適用可能か確認して、ロードマップに織り込んでおくことをおすすめします。
※2023-03-27現在は、より広いスタートアップが対象になったこともあってか、有償CSの利用はクレジットではできなくなっています。
Looker導入状況
ダッシュボード
量は10個強と少ないですが、事業にエッセンシャルなダッシュボードは構築済です。
例えば以下のような分析ダッシュボードが既に作成されています。
これらをスケジュールでSlack配信することで、アカウント数をケチりながら、広く分析結果を社内に届けることが出来ています。
運用体制
立ち上げ
プロフェッショナルサービスのご担当を頂いたYさんによる講義『Developer Bootcamp』を頂いて、社内でLookMLをいじることの出来るメンバーを5名ほど、エンジニアや社内の分析官から、立ち上げることができました。
初期的に必要なLookMLコード群は、この5名の他、Yさんにも難しいところはご協力いただいて実装しました。
特にユニットエコノミクス関連のコードは、リレーションもロジックも複雑で難易度が高かったため、Yさんなしでは構築が難しかったと感じています。ただし、当然丸投げしてうまくいくものでもありませんので、私としてSpreadsheetとコネクテッドシートを活用しながら予めプロトタイプをしておきました。
現在
立ち上げで難しいコードは書ききったので、LookML開発は比較的一服しています。
エンジニアの一部と、分析基盤担当者(私です)がたまに触る程度です。
一方で、ダッシュボードの構築や改善については、『Developer Bootcamp』参加メンバー中心に自律的に行ってくれており、しっかりとLookerが「中央」としてガバナンスを利かせながら、「地方」に自治権を持たせることに成功していると考えています。
今後の課題
当社にはまだ分析専任組織がないため、Looker管理の責任があいまいです。
CTOのチームと、CFOのわたしが「よしなに」それぞれの守備範囲でメンテナンスをしています。
まだまだやり足りない箇所はありますので、しっかりと分析組織を作って、より強固にデータガバナンスを利かせながら、高速な開発の出来る分析環境を整えて行く必要があると考えています。
導入の振り返り(ちょっとだけ経営の視点から)
良くなったこと
1. ダッシュボードの即時性・頑健性が上がったことで、信頼性が増した
私はLookerStudioを使うくらいなら、スプシ+コネクテッドシートでダッシュボードを構築するほうが、柔軟で良いとの考えを持っています。
一方で、これはなんやかんやで定期的に様子を見てあげないと、どこかで更新が止まってしまうことも多く、
こういったことの積み重ねがダッシュボードの信頼性を損ね、せっかくあるダッシュボードを誰も見てくれないという悲しい現象を生んでいました。
これがLookerになり、即時性や頑健性が上がり、信頼性の高い、使われるダッシュボードになってくれました。
2. ダッシュボードを見る層が広がった
Lookerの便利機能の一つに、Slack等へのスケジュール配信があります。
これにより、Lookerの権限を持っていない人でも、LookerダッシュボードのPDF出力結果が毎日届けられ、気軽にワンクリックで直近のKPI状況を確認できるようになりました。
これはLookerのViewerアカウントを持たない人にも配信できますので、会社規模が拡大していってもLookerコストの伸びを抑制できる点が、大変ありがたいです。
3. 外部への説明コストが低下した
私はCFOという職業柄、投資家や銀行など、外部のステークホルダーにKPIを提出して説明する機会が多いです。
通常はこういったデータ出しを、都度、経営企画等の社内メンバーに出してもらって提出するのですが、Lookerでダッシュボード化してしまえば、日頃見ているデータをそのまま提出すれば良く、複雑な分析を求められても既存の分析アセットを少しいじれば、だいたい対応できます。
経営企画の観点からも、早い・安い・上手いデータを通じたコミュニケーションが実現し、CFOの時間的リソースをより付加価値業務に割り振ることができました。
変わらなかったこと
1. データ基盤(DWH以前の層)
Lookerの特徴の一つに、LookMLで定義した内容をDWH層に戻すことがあります。
これは大変良い機能である一方、個人的にはBI層がDWH層と密結合になりますので、Lookerの責務はBIと定義し、当社の場合は回避しています。
2. 基本的な予実のあり方
予実とは、「予算と実績」の略称で見通しの作成を含むこともあります。
これらの時系列な予測タスク・シミュレーションについて、頑健性の観点でLookerで出来ることは無いかと模索したのですが、Looker等BIを活用するよりも、やはりSpreadsheetで構築することが柔軟かつ簡単です。
とはいえ、予実ダッシュボードなど最終的なView層についてはLookerで一部ダッシュボードを構築しています。
さいごに
Lookerさん最高です。引き続き、よろしくお願いします。
本記事で気になる点や、導入に当たり相談したいことなどあればお気軽に以下などにお問い合わせください。
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また、こういったTechieな経営企画をTENTIALでは募集しています。
(ちょっと募集要項からは伝わりにくいですが、)データオタクや、エンジニアリング経験のある経営企画の方など、大大大歓迎です。
ぜひ、お気軽に応募ください!
https://herp.careers/v1/tential/i1E7Hs0b12Ua