はじめに
昨年末のアドベントカレンダーに寄稿した(大げさ)地震計をたまたま連続稼働している最中に能登半島地震が発生しました。
前記事にあるように商用電源ではまだデータ品質に大きな問題がありますが、それでも確認できる振幅の地震動だったようです。
取得波形
気象庁発表の地震発生時刻から約1分後の波形とスペクトルです。P波の立ち上がりやS波の到達などは不明瞭です。後続の表面波については恐らく振幅の最大値を記録している時間帯ではないかと思います。また、表面波の終息がいつなのかも不明瞭です。
IRISの Station Monitor から高知の観測点で得られた波形と比較してみます。自宅観測点という性質上正確な位置は言えませんが、西日本同士での比較です。また、どちらも速度計です。
波形の時間経過のパターンは概ね似ていると言えるでしょう。しかし、この波形だけではいつもの交通系ノイズと明確には区別できません。
交通系ノイズとの比較
こちらが常時観測されている交通系ノイズの波形とスペクトルです。地震波形と異なるのは、10Hz以下の周期です。上の地震波形では10Hz以下のスペクトルが交通系ノイズに比べて大きく立ち上がって4Hz付近にピークが見られるのに対し、交通系ノイズでは15Hz付近のピークしか認められません。
使用しているセンサーが15Hz付近に固有周期があるため長周期は苦手だと思いますが、それでも10Hz以下の周波数が卓越していることから普段の地動ノイズとは明らかに異なることが分かります。
おわりに
今回は地震の規模が大きく、発生時刻から波形を探すことができました。周波数特性からも明瞭な地震波形であることが分かりました。
バッテリーではノイズを抑えることができているので、商用電源を用いた連続観測でもP波の立ち上がりが見えるようにしたいところです。