背景
前回の記事ではとりあえず RaspberryPiZeroW + High-Precision AD HAT で地震(まだ地動ノイズしかデータが無い)を観測できるところまで到達しました。
問題になっていたのは電源ノイズと思われる40Hz付近のピークと10秒程度の間隔で入る矩形ノイズです。
実験
疑わしきは電源からのノイズ混入ですので、商用電源からの隔離を試してみます。
元々使用している一般的なELECOMのUSB充電器とAUKEYのモバイルバッテリ(PB-N83; 18W/10000mAh)で比較してみました。
結果
地動ノイズ(交通量)が少ない時間帯
- ELECOMの充電器での観測記録:
- モバイルバッテリによる観測記録:
モバイルバッテリーでの値はスイッチング電源に比べて、60Hzのピーク(40Hzに折り返し)および10Hz以下の低周波数帯のノイズともに1桁かそれ以上小さくなりました。ここまでくると、設置環境が良ければ震度0台の地震もなんとか扱えるかもしれません。一方で、矩形ノイズはモバイルバッテリでも混入しています。RPi-ZeroW由来のノイズなのか、AD HAT自身のノイズなのかは分かりません。
地動ノイズ(交通量)が多い時間帯
- ELECOMの充電器での観測記録:
パワースペクトルで見ると、60Hzのピークは $ 10^8 $ [Cnt2/Hz]
- モバイルバッテリによる観測記録:
パワースペクトルで見ると、60Hzのピークは $ 10^7 $ [Cnt2/Hz]
こちらも同様に、全体的に1桁ほどノイズが抑えられているようです。
結論
ノイズレベルの低さはモバイルバッテリーの圧勝でした。静かな環境に持って行けば微小地震観測もできそうなレベルになりました。
一方で懸念していた60Hzも矩形ノイズも完全には除去できていません。バッテリ給電ではどちらも抑えられたことから、矩形ノイズについても電源由来っぽい感じはします。データの扱いとしては矩形ノイズの方が厄介なので、原因を突き止めたいです。
現在はAD HATへの給電はRPi経由であるため、次の手はGPIO経由での給電、その次はRPiとAD HATの電源を切り離すことでしょう。こちらはAD HAT側の改造が必要になるため、しばらく様子見です。