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マイコン地震計まとめ

Last updated at Posted at 2022-12-15

はじめに

勢いでアドベントカレンダーの16日目にも投稿してみます。

自分でRaspberrryPi(Pico)を使った地震計を作ってみて、他にはどんな製作例があるのか気になったので調べてみました。

※本記事のリンクは2022年12月現在のものです。

製作例

ここからは、種類別に製作例を見ていきます。マイコンはRaspberryPiとArduino系を中心に検索しました。Picoは他のPi系列とは別物ですが、まあRPiの一種としてカウントしています。

本記事は一応「マイコン地震計まとめ」なので、

  1. どこかにマイコンを使っている → 必須
  2. アンプ回路、A/D回路、収録機能を自作している → 優先
  3. センサのみの自作 → 割愛

としました。

ところで調べる中で少し気になったのが、「地震計」といって一般的にイメージされるのが「計測震度計」であること。震度計も広義では地震計に含まれますが、狭義の「地震計」は地動を正確に記録する装置です。違いは下記の勝島製作所の記事が分かりやすいです。

地震計と震度計の違いとは? | 勝島製作所

本記事では、上の説明によるところの「観測用地震計」と「震度計」を区別します。こういった電子工作を期に言葉もより身近になって欲しいと思います。一方、建物の振動計測と自然地震観測では本来は目的や対象の周波数が異なったりしますが、今回は明確に区別しません。

地震計(観測用)

従来型(サイズモ系?)センサ

コイルと振動子で構成された一般的な地震計をセンサとして利用した例。国内ではあまり多くは見受けられません。センサの入手が手軽ではない事が原因だと思われます。というか普通の人は本物の地震計は買わない。

Raspberry Pi

これはRaspberryPi地震計の界隈ではスターのような存在。センサもよく使われる4.5Hzの速度計であり、「地震計」と呼べるものです。この製品が別格なのは、購入したボランティアによるグローバルな観測網も予め設計していた点でしょう。また、実際にセンサネットワークのデータを使ったScience論文も出ています。

海外ではセンサを自作する人が結構いるので面白い。

Arduino

国内でもセンサをコイル巻きから自作して観測している方がいます。かなり商用の地震計に近い形になっていてすごい。教育分野の業務での製作例なので、ホビー勢はなかなか敵わないですね。他にも精力的に発表されています。

MEMS加速度センサ1

MEMS加速度計を用いた例は非常に幅広い分野で試行されている模様。産業からアカデミアまで多くの例が見つかります。ただ、波形を記録して使う用途ではホビーよりも学術分野での利用例が目立ちました。半ば当たり前ですが、MEMS加速度計はロボティクスやゲームのためのセンシング用途など本流での応用例が主流でした。

Raspberry Pi

Arduino

震度計

ここでは「地震計」と銘打っているものの、実際は計測震度を得ているものを挙げます。計算前は波形も当然取得していますが、震度表示に換算すると地震計ではなく震度計と呼ぶのがふさわしいです。「RaspberryPi + 地震計」で検索すると一番出てくるのがこのタイプ。

Raspberry Pi

  • (20) PiDASは同人ハードとのこと。ネットでも人気が高い商品で、震度階級も実際に則したものになるよう計算している模様。

※この記事のすぐ後に本家さんのQiita記事が出ていたようです(2023.06.26更新)

皆さん、計測震度をきちんと実装されています。気象庁が公開している手法での計算になりますが、実データに対してどのように適用するかは各々の例で少しずつ異なるようです。少ないリソースでどのように算出するかの工夫も見所です。ソフトウェアに関しては観測用の地震計より高度ですね。単に波形を記録するよりも作り甲斐があるのも、製作例が多い理由かもしれません。

Arduino(系)

震度計算ではフーリエ変換やフィルタ処理など、単に波形を記録するよりもプログラムが複雑になります。どうやらArduinoはメモリ的に不利なようで、震度計界隈ではあまり登場しません。

その他、PICなど

  • (26) 地震計の製作(自作) | R&S
    24bitΔΣ型のA/DのAD7714YNZを使っていて、電池駆動で1ヶ月ほど稼働するという本格的なもの。何よりホームページで設計コンセプトから原理、製作ノウハウに測定例までとても綺麗にまとめてあるので、読むだけでとても勉強になります。本記事のリストには欠かせないと思いリンクしました。
  • (27) 地震計 | 痛い日記
    様々なマイコンで加速度計測をした例。

まとめ(感想)

ぱっと検索しただけでもかなりの例が出てきました。自作地震計を公開しているのは熱量の高い人が多く、奥深い世界である事が改めて分かりました。

趣味から業務まで色々な場面でマイコンが活用されていて、その数も一昔前と比べるとかなり多い印象です。PICやH8などもかなり流行りましたが、やはりラズパイやArduinoの功績は大きいと思います。

アンプ回路を自作したり、センサを自作したりする例もあって実に様々なものがありました。末尾に少し掲載したPICマイコンを使った例も調べ始めるときりが無いくらいです。

コイルと磁石でセンサを自作し、直接USBオシロやPCの音声入力で観測する例も散見されました。これらも自作にカテゴライズされると思います。マイコンはあくまで手段の一部で、発想は人それぞれという事を実感しました(例えば地震研の広報「牛乳パックで作ってみよう地震計」など)。

他の人の製作例を見ると刺激を受けて自分でも色々と作りたくなりました。電子工作はやめられないですね。

その後

後日見つけた関連記事のリスト

  1. MEMSにもいくつか種類がありますが、今回は区別しません

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