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PineScriptでフィボナッチを扱う

Last updated at Posted at 2025-01-28

概要

本記事では、TradingViewのPineScriptを使用してフィボナッチに関する指標をどのように取り扱うかについて詳述する。フィボナッチリトレースメントやフィボナッチエクスパンションを用いることで、トレーダーは重要なサポートやレジスタンスゾーンを特定し、効率的なトレード戦略を構築することが可能となる。本記事では、PineScriptにおけるフィボナッチの基本的な扱い方と、それをトレード戦略に組み込む方法を解説する。

対象読者

  • TradingViewおよびPineScriptを利用している方
  • フィボナッチを用いたトレードに興味がある方
  • テクニカル分析を用いてシステムトレードの精度を向上させたい方

フィボナッチの基本概念

フィボナッチとは、自然界や金融市場の動きに見られる数列であり、価格の動きにおける重要なサポートラインやレジスタンスラインを見つけるために広く使用される。フィボナッチリトレースメント(Retracement)およびフィボナッチエクスパンション(Expansion)は、テクニカル分析において重要な指標とされている。

フィボナッチリトレースメント

フィボナッチリトレースメントは、ある価格の上昇または下降の過程において、特定の割合で反発するポイントを予測するためのツールである。通常、23.6%、38.2%、50%、61.8%、78.6%といったレベルがよく使用される。

フィボナッチエクスパンション

フィボナッチエクスパンションは、トレンドの推進力を元に、次の価格のターゲットゾーンを予測するために使用される。この方法を用いることで、次のレジスタンスやサポートを予測することができる。


PineScriptでフィボナッチリトレースメントを描画する

1. 基本的なリトレースメントの描画

PineScriptにはfibonacciという関数は直接存在しないが、lineplotを使ってフィボナッチリトレースメントを手動で描画することができる。以下にその一例を示す。

//@version=5
indicator("Fibonacci Retracement Example", shorttitle="Fibo Example", overlay=true)

// 高値と安値の設定
highLevel = ta.highest(high, 50)
lowLevel = ta.lowest(low, 50)

// リトレースメントレベルの計算
level23 = lowLevel + (highLevel - lowLevel) * 0.236
level38 = lowLevel + (highLevel - lowLevel) * 0.382
level50 = lowLevel + (highLevel - lowLevel) * 0.5
level61 = lowLevel + (highLevel - lowLevel) * 0.618

// リトレースメントラインの描画
line.new(x1=bar_index[50], y1=level23, x2=bar_index, y2=level23, color=color.green, width=1)
line.new(x1=bar_index[50], y1=level38, x2=bar_index, y2=level38, color=color.blue, width=1)
line.new(x1=bar_index[50], y1=level50, x2=bar_index, y2=level50, color=color.red, width=1)
line.new(x1=bar_index[50], y1=level61, x2=bar_index, y2=level61, color=color.orange, width=1)

2. 描画の解説

上記のコードでは、過去50バーの高値および安値を基にフィボナッチリトレースメントの主要レベル(23.6%、38.2%、50%、61.8%)を計算し、それらのレベルをline.new関数を使ってチャートに描画している。この手法を用いることで、価格がどのレベルで反発するかを視覚的に確認できる。


PineScriptでフィボナッチエクスパンションを描画する

1. フィボナッチエクスパンションの計算

フィボナッチエクスパンションは、過去の価格動向に基づいて次のターゲットレベルを計算する。エクスパンションの主要なレベルとしては、161.8%、261.8%、423.6%などが用いられる。以下は、フィボナッチエクスパンションを計算し描画するコード例である。

//@version=5
indicator("Fibonacci Expansion Example", shorttitle="Fibo Expansion", overlay=true)

// 高値と安値の設定
startPoint = ta.valuewhen(high == ta.highest(high, 50), high, 0)
endPoint = ta.valuewhen(low == ta.lowest(low, 50), low, 0)
retracementPoint = ta.valuewhen(high == ta.highest(high, 50), high, 1)

// エクスパンションレベルの計算
expansion161 = retracementPoint + (endPoint - startPoint) * 1.618
expansion261 = retracementPoint + (endPoint - startPoint) * 2.618
expansion423 = retracementPoint + (endPoint - startPoint) * 4.236

// エクスパンションラインの描画
line.new(x1=bar_index[50], y1=expansion161, x2=bar_index, y2=expansion161, color=color.green, width=1)
line.new(x1=bar_index[50], y1=expansion261, x2=bar_index, y2=expansion261, color=color.blue, width=1)
line.new(x1=bar_index[50], y1=expansion423, x2=bar_index, y2=expansion423, color=color.red, width=1)

2. 描画の解説

このコードでは、過去50バーの高値と安値を基に、フィボナッチエクスパンションを計算している。計算されたエクスパンションレベル(161.8%、261.8%、423.6%)をline.new関数を使ってチャートに描画し、次の価格ターゲットを視覚化している。これにより、価格が次に向かう可能性が高いゾーンを予測できる。


注意点

1. フィボナッチの適用範囲

フィボナッチリトレースメントおよびエクスパンションはあくまでサポートやレジスタンスを予測するためのツールであり、必ずしも価格がその通りに動くわけではない。市場の状況や他の指標と併せて利用することが重要である。

2. 精度の限界

フィボナッチによる予測は、全ての状況において正確であるとは限らない。過去の動きが未来の動きを完全に反映するわけではないため、リスク管理を徹底し、ストップロスや利益確定の戦略を合わせて考えることが望ましい。


結論

PineScriptを用いてフィボナッチリトレースメントやエクスパンションを扱うことにより、トレーダーは市場の重要なレベルを視覚的に確認することができ、より効果的なトレード戦略を構築することが可能となる。フィボナッチツールは、他のテクニカル指標と組み合わせて使用することで、その有用性を最大化することができる。

本記事で紹介した方法を活用し、PineScriptを使ったフィボナッチの適用範囲を広げていただきたい。


APIドキュメント:


免責事項

本記事に記載されている内容は、筆者がTradingViewおよびPineScriptを用いて学び得た知識と経験を基に執筆したものである。内容の正確性および完全性については可能な限り配慮しているが、必ずしもその保証をするものではない。

自動売買Botの構築や運用、またそれに関連する投資活動は読者自身の判断と責任に基づいて行われるべきであり、筆者および本記事を掲載するプラットフォーム(Qiita)は、それによって生じたいかなる損失や損害に対しても一切の責任を負わないものとする。

特に、トレードに関する意思決定は市場リスクを伴うため、実運用前に十分な検証とリスク評価を行い、必要に応じて専門家への相談を推奨する。

読者各位の責任において本記事をご活用いただければ幸いである。

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