この記事はQiita Engineer Festa 2023 参加記事です。
この記事で書くこと
2022年頃からPMとして担当していた開発プロジェクトにおいて、PLやチームメンバーと一緒にプレモーテムを実施した背景、実施内容、その効果を主観をもとに書いてみます。
この記事で書かないこと
「正しいプレモーテムはこれだ!」といった内容は書きません。
あるべき論やベストプラクティスを学びたい方々は、世の中の秀逸な記事やChatGPTさんを参考にされてください。
プレモーテムを導入して、ちょっとした文化になったお話。
プレモーテムを知るまで
取り組み当時の状況
2021年頃から、次世代のリーダーやマネージャーの育成を目指して、自分自身が直接的にプロジェクトを運営する機会を減らし、明確的にPLを立てたプロジェクト運営にシフトし始めました。
最初こそヒヤヒヤする場面もありつつも、それもすぐに無くなり、大きな問題も無くプロジェクトが走りきれるようになりました。
一方で、今までと違ってプロジェクトを客観的に見る機会が増えた私にとって、「〇〇はもっと早く気付けそうだな〜」「△△に関しては、プロジェクトスタート時点でも気づくことができたのでは?」と思える部分も出てきました。
ただ、それは決して私が優れているわけでは全く無く、客観的に見やすい役割に移ったからこそ気付けるだけでした。
「プロジェクトに取り組むメンバーと一緒に考え、一緒に気づきを得て、事前に対策を打てるようになれたらいいな〜。」
「自分一人で考えるよりも、この仲間たちの知見があれば、もっとすごい気付きが得られるだろうな〜」
「でも、どうすればいいんだろう。。。」
と一人でモヤモヤしていました。
プレモーテムとの出会い
自社が挑戦を推奨し挑戦による失敗があっても失敗から学びを得ることを大事にしている文化であることや、スクラム開発のレトロスペクティブなど振り返りの文化はあったのですが、「起きてから振り返って改善する」だけではなく、早期に気づく方法はないかな〜と。考えながら様々な勉強会に参加したり、書籍を読み漁ったりしてました。
そんな中、どこで情報を得たのかは思い出せないのですが、 Google re:Work について知る機会がありました。
その中にプレモーテムの事例が書かれていました。
プレモーテムって簡単に言うと何?
プレモーテムはプロジェクトの開始前に行うアクティビティで、プロジェクトのリスクを分析する目的で実施するものです。
似た用語として、ポストモーテムというものがあり、ポストモーテムはプロジェクト終了時や障害発生時に振り返って分析を行うものとなります。
(スクラム開発を取り入れていると「レトロスペクティブ」を実施しますが、これも振り返りの一種です。)
プレモーテムの導入
導入前夜
まずは、2人のリーダーに、私が半年くらい抱えていたモヤモヤを伝えて、その対策としてプレモーテムというアクティビティを実施したいことを相談してみました。
リーダーたちからは概ね賛同は得られたものの、「あまりにオープンクエッションだと意見が出にくそう」とFBをもらいました。
そのため、ちょっとした縛り(テーマ設定)を入れて、ケーススタディ的な形で、思考・ディスカッション・対策の検討を行うことで進めることにしました。
プレモーテム導入の効果
明確な効果測定はしていないのですが、プロジェクトを進めている最中、メンバー間の会話でリスクに対する議題が増えました。
また、初回にプレモーテムを実施したプロジェクト以外にも、複数のプロジェクトでアクティビティを実施していますが、それぞれのプロジェクトで大きな問題が起こりにくくなったり、ある種やむを得ない問題も早めに気づけるようになったと感じています。
私自身は現在開発チームを離れています。
先日、私が離れた後もプレモーテムという取り組みをしているチームがあると知り、ちょっとした文化醸成に貢献できたな〜と感じて嬉しく思っています。
Appendix
実際に今までやったプレモーテムのテーマ設定
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プロジェクトのリリース後、あなたの実装箇所で本番障害が発生しました。
- それはどんな障害ですか?
- その本番障害が起こった要因はなんですか?
- 現時点から、リリースまでの間にその障害の発生要因を防ぐために何ができますか?
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プロジェクトのリリースリハーサルが失敗に終わりました。
- 失敗と判断した理由は何でしたか?
- その失敗を、今からどのように回避しますか?
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プロジェクトリーダーが、体調を崩して明日から3週間休むことになりました。
- どのような影響がでますか?
- その影響を、今からどのように回避しますか?
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リリース後、このプロジェクトが原因で重大インシデントが発生しました。
- どのようなインシデントで、どんな影響がでましたか?
- そのインシデントを、今からどのように回避しますか?
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リリース後、あなたが関わった部分で本番障害がおこりました。
- それはどのような障害で、どのくらいの影響がでましたか?
- それは何故発生したと思いますか?
- 未然に防ぐために、今から何ができますか?
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リリース後、システム起因でCVRがありえないくらい落ちました。
- それは何故減少したのですか?
- それを防ぐために、今から何ができますか?
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(新規立ち上げ組織において)1年終了時点で、我々の実績が原因で部署の解散が決まりました
- それはどのような実績によって解散となりましたか?
- なぜ、そのような結果になったと思いますか?
- 未然に防ぐために、これから何をしていきますか?
厳密にはプレモーテムとは違う気もしますが、成功のイメージを持つために似たようなアクティビティもやりました。
- (新規立ち上げ組織において)1年終了時点で、我々の成果が評価され臨時ボーナス100万円/人がでました
- それはどのような成果だったため評価されたと思いますか?
- なぜ、そのような成果を出せたと思いますか?
- その成果につなげるために、これから何をしていきますか?