Delphi の unit friend

Unit Friend

Delphi の可視性

Object Pascal は、他の言語同様にクラスメンバに対する可視性を制御できます。
一般的な可視性は下記の通りです。

指令	アクセス範囲
private	宣言されたクラス
protected	宣言されたクラス, 継承先のクラス
public	誰でも
published	誰でも（RTTI が生成される）

※一般的では無い可視性として automated があります

本当に？

本当のことを言うとちょっと違います。
実は private と protected は更に「同一 Unit 内」からもアクセスできるのです。
Embarcadero Developer Network の記事「Delphi 7以降の言語およびコンパイラの新機能」には

privateキーワードは実際には同一ユニット内のクラス間に「フレンド」な関係を作成します

とあります。

例えば

type
  TFoo = class
  private
    FBar: String;
  public
    constructor Create; reintroduce;
  end;

  TBar = class
  public
    constructor Create(const iFoo: TFoo); reintroduce;
  end;

{ TFoo }

constructor TFoo.Create;
begin
  FBar := 'I am TFoo.'
end;

{ TBar }

constructor TBar.Create(const iFoo: TFoo);
begin
  // TFoo.FBar は private なのにアクセスできる
  iFoo.FBar := 'You are TBar';
end;

上記のようにアクセスできます。

この機能を勝手に Unit Friend と呼んでいます。

strict 指令

Unit friend は親子関係があったり関係性の深いクラスを作るときに利用されるテクニックですが、それをさせたくない場合があります。

それを制御するために strict 指令というものがあります。

指令	アクセス範囲
strict private	宣言されたクラス
strict protected	宣言されたクラス 継承先のクラス

このように strict を付けると、Unit friend の機能は無くなり、厳密にアクセス範囲が決定されます。

まとめ

可視性についてまとめると

指令	アクセス範囲
strict private	宣言されたクラス
private	宣言されたクラスと同一ユニット
strict protected	宣言されたクラスと継承先のクラス
protected	宣言されたクラスと継承先のクラスと同一ユニット
public	誰でも
published	誰でも（RTTI が生成される）

となります。

続く！