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Power Automateでプリザンターのレコードを自動更新する

Last updated at Posted at 2022-12-02

この記事は、OSSのノーコード・ローコード開発ツール「プリザンター」 Advent Calendar 2022 の3日目の記事です。

はじめに

今回は、プリザンターのレコードを自動更新するPower Automateフローを作成してみたいと思います。

Power Automateは、Microsoftが提供する業務自動化のためのサービスです。

この記事で作成するPower Automateのフローは、プレミアムコネクタであるHTTPコネクタを使用します。
プレミアムコネクタの使用が可能なPower Automateのライセンスが必要となります。
(とりあえず試してみたい、という場合は試用版のライセンスが使えます)

作るもの

下記のような仕様で作成します。

  1. プリザンターに下の画像のような、自動引き落としの支払日を管理するテーブル(期限付きテーブル)を用意します
  2. 毎日朝8:00に各レコードをチェックします
  3. 状況が「実行中」かつチェックした時点で「完了日」を過ぎているレコードの状況を「完了」にします
  4. 実行結果をTeamsの特定のチャンネルへ投稿します

image.png

フローの作成

Power AutomateのWebページにログインし、左側の「+作成」ボタン押します。

「スケジュール済みクラウドフロー」を選択します
image.png

フロー名と開始日、繰り返し間隔を入力して「作成」
image.png

作成後、フローエディタ画面に切り替わります。この時点では「Recurrence」のブロックのみが表示されていると思います。このブロックをクリックして開き、実行日時を再確認します。
開いた時点では、UTC時間での8時に動作してしまうので、下記の様に設定し直します。
(開示時刻の末尾にZが付いていると、タイムゾーンを選択してもUTCの時間で動作してしまうので、末尾のZは削除します)
image.png

変数の初期化を行う

まず最初に、フロー内で使用する変数を定義しておきます。

  • baseUrl: pleasanter.netのURL
  • サイトID: 処理対象のサイト(支払い(自動引き落とし))のサイトID
  • ApiKey: Pleasanter APIを実行するためのAPIキー
  • Message: Teamsに通知するメッセージを保持するための変数

「+新しいステップ」をクリックし、検索枠に「変数」と入力。出てきた一覧から「変数を初期化する」を選択します。
image.png

「変数を初期化する」のブロックに、変数名と値を入力します。種類は文字列とします。
(Messageの初期値は空のままで良いです)
image.png

APIで対象レコードを取得する

Pleasanterのレコード取得APIを使って処理対象のレコードを取得します。

  • 状況が「実施中」で完了が「今日よりも前」のレコードを取得

APIの実行には、HTTPアクションを使用します。
「+新しいステップ」をクリックし、検索枠に「http」と入力。「プレミアム」タブをクリックして出てきた一覧から「HTTP」を選択します。
image.png

追加されたHTTPのブロックを開き、方法(HTTP Mothod)とURIを入力します。
URIには、変数に格納したbaseURlとサイトIDを「動的なコンテンツ」から選択して挿入します。
image.png

  • ヘッダに Content-Type: application/json を設定し、BodyにAPIリクエスト用のJSONを入力します。
  • ApiKeyは変数値を挿入します。
  • ColumnFilterHashで、更新対象のレコードを下記の条件で絞り込みます。
    • Statusが200(実施中)
    • CompletionTime(完了)が前日以前

image.png

※ CompletionTimeの(addHoours(...))ところには、「動的なコンテンツの追加」ダイアログの「式」の入力欄に下記のコードを入力して設定します

addHours(addDays(utcNow(),-1),9,'yyyy/MM/dd')
  • 前日の年月日を取得するコード
    1. 現在日時をUTCで取得(utcNow())
    2. 1日引いて前日にする(addDays(...,-1))
    3. 9時間足して日本時間にして、yyyy/MM/ddの文字列として出力 (addHours(...,9,'yyyy/MM/dd'))

テスト実行してHTTPリクエストの結果を確認する

ここで一旦テスト実行します。
メニューバーの「テスト」をクリックして、ここまでのフローを手動実行します。
image.png

実行後の画面で「フロー実行ページ」のリンクをクリックして実行結果のページへ移動します。
image.png

実行結果で「HTTP」の「出力」を確認します。対象のレコードが取得出来ていれば、取得結果のJSONが本文欄に記載されていると思います。
本文の内容は、次のフロー「JSONの解析」で使用しますので、コピーしておきます。
image.png

リクエスト結果のJSONを解析する

「+新しいステップ」をクリックし、検索枠に「json」と入力。出てきた一覧から「JSONの解析」を選択します。
image.png

「コンテンツ」に動的なコンテンツからHTTPの「本文」を選択します。
image.png

「スキーマ」は先ほどコピーした実行結果のJSONから自動生成します。「サンプルから生成」ボタンをクリックし、実行結果のJSONを貼り付けます。
image.png

処理対象のレコードの状況をAPIで更新する

こちらの処理もHTTPアクションを使います。
「+新しいステップ」でHTTPのブロックを追加したら、下図のように入力します。この時、URLの "items/" と "/update" の間には更新対象のレコードのIDが入ります。

更新対象のレコードIDは最初のHTTPのリクエスト結果のJSONから取得します。
JSONは下記のような構造になっていて、"IssueId" にレコードのIDが格納されています。

{
    ....
    "Response": {
        ....,
        Data: [
            {
                "IssueId":12345,
                ...
            },
            {
                "IssueId":12345,
                ...
           },
           ....
        ]
    }
}

HTTPの結果のJSONは「JSONの解析」によりデシリアライズされていますので、「動的なコンテンツ」からアクセスできるようになっています。
動的なコンテンツのダイアログで、"IssueId"を選択して"items/" と "/update" の間に挿入します。
image.png
image.png

"IssueId"を設定すると、2つ目のHTTP(「HTTP 2」レコード更新用)の外側に「Apply to each」のブロックが自動で生成されます。
「Apply to each」は最初のHTTPで取得した処理対象のレコードを格納している"Data"配列をループ(繰り返し)処理するためのブロックです。

配列に含まれる要素(ここでは"IssueId")を使うと自動でループ処理を作ってくれるんですね。素敵。

後はリクエストの本文にApiKeyと更新内容 "Status":900 (状況を完了に設定) を設定すればOKです。
image.png

レコード取得のHTTPの場合と同様にテスト実行して結果の本文からスキーマを作成して、JSONの解析を行います。
image.png

image.png

レコードの更新結果のメッセージを変数に格納する

レコード更新用のHTTPのレスポンスから、実行結果のメッセージを取得してMessage変数へ追加します。

「Apply to each」内の「アクションの追加」をクリック、「変数」で検索して「文字列変数に追加」を選びます。

「名前」欄で変数名「Message」を選択。
「値」欄には、「動的なコンテンツ」ダイアログから「Jsonの解析 2」のMessageを選んで追加します。対象レコード数分、複数のメッセージが入るので<br>で改行を入れつつ追加します。

image.png

実行結果をTeamsのチャネルに投稿する

Message変数に入れたレコード更新の結果をTeamsのチャネルへ投稿します。

「Aplly to each」の外側の「+新しいステップ」をクリックし、「Teams」で検索。出てきた一覧から「チャットまたはチャネルでメッセージを投稿する」を選択します。

image.png

投稿先のチーム、チャネルを選択して投稿するメッセージを入力します。
image.png

メッセージのif(...)の部分は、「動的なコンテンツ」ダイアログの「式」に下記の様に設定します。

  • メッセージが空の場合は、"対象のレコードはありません。"を設定
  • それ以外は、Message変数の値を設定。(式の中で変数の値を使用したい場合はvariables(変数名)と記述します)
if(empty(variables('Message')), '対象のレコードはありません。', variables('Message'))

これでフローは完成です。「保存」ボタンをクリックして保存しておきましょう。

動作確認

動作確認のため、手動実行してみましょう。

実行前のテーブルの状態です。実行日は12/1とします。
image.png

実行後、下記の様に更新されたら成功です。

  • 状況が「実施中」かつ「完了」が12/1の前日以前のレコード「電気代」と「ラーメンサブスク」のみの状況が「完了」となる
    image.png

さらに、指定したTeamsのチャネルを確認します。
下記の様に出力されたらOKです。連続で実行すると既に実行済みのため、2つ目のメッセージの様に「対象のレコードはありません」と出力されます。
image.png

おわりに

今回、Power Automateを使ってプリザンターのレコードを自動更新するシステムを作ってみました。Power Automateは直観的に操作できる部分が多く、割とすんなり実装を進めることができました。
作成したフローはクラウド上に保存され、開発後即運用できるもの大きな魅力だと思います。

プリザンターと別のシステムとを連携するなど、工夫次第で様々な用途に活躍できそうですね。

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