JDLA e資格とは
東大の松尾豊教授(AIの領域では超有名)が中心となって作られた日本で初めてのAIに関する資格。
資格としては、一般的な知識を問うG検定とエンジニアとして必須知識を問うe資格がある。
取ってよかったか?
資格を受験するとき、皆さん一番気になる点だと思います。
個人的には取ってよかったと思っています。
良かった点としては、
・ものすごく漠然としていたAIの勉強に関する指針がつかめた
・資格という形で一つのゴールがあったので、変に独学するより学習が早かった
・輪読会などAIに本当に興味のあるコミュニティに参画できた
・自信になった
といった点が主なところです。
もともと私自身がITエンジニアであり、会社に新しいサービス開発の気風が生じていることもあって、
**「AIの見地から仕事がしてみたい」**という思いから受験を決めていました。
そういう意味で、漠然としていたAIの勉強に関する指針がつかめたことが一番大きな収穫だったように思います。
ただ微妙だった点は、
・認定講座(6桁の金額)の受講が必須でお金がかかる
・この資格があるから、すぐに現場で通用するかと言われたら疑問
・今この領域は博士課程出身者等がとても評価されているので、学歴をひっくり返すほどの効力は単体では持たない
ということでしょうか。
私はお金に関してはクリアできる環境が偶然整ったため受講しました。
残りの二点は注目度が高い資格のため、私の過剰な期待からくるもののようにも思います。
資格取得してみて、またAIの現場に属してみて思うのは、AIは全く新しい領域のため
資格があろうがなかろうが自分で勉強しないと使い物にならないということです。
即仕事につなげたいのなら、Kaggleのコンペティションに独力で参加して上位に食い込んだ方が資格よりもよっぽど評価されると思います。
ということを鑑みると、
お勧めしたい人
・AIに興味があるが、AIが何をやっているのか全く知らないので、仕組みをしっかり知りたい人
・AIの仕事をしたいが、上記のKaggleのコンペティションで何をやっていいか全くわからないので、その取っ掛かりをつかみたい人
・AIにつきものの数学が分かりづらく、ネット上のAI関連の記事で、数式を見てもイメージをつかめない人
・現在技術職(製造など)で、工学やその他のドメイン知識があるため、AIと組み合わせて実務を発展させたい人(異常系の自動検知等)
あまりお勧めしない人
・大学等でAIに触れるより良い環境がすでに整っている人
・とりあえず資格があれば就職、転職につながるというステータスとしてとらえている人
・そもそもの英字論文をあたってイメージをとらえ、実装までつなげられる人
と二分されるかなと思います。就職、転職に即つなげたいなら他に有利になる資格がいくらでもあると思うので、別のものをお勧めします。
ただ、AIとは何か理解できるようになり、どう応用していくかを自分で考える素地になる資格なので、スキルアップととらえている場合はとても有用だと思います。
資格試験の内容に関して
前回(第2回)受験した方の記事等を参考に対策をしていたのですが、第三回は思ったよりも基礎より実務に耐えうる技術を中心に出題されたように感じました。
もっとやっておけばよかったと思ったのは以下の通りです。
・RMSProp、Adamの詳細な数式と実装 (SGD,momentumとAdaGradで満足してたら痛い目見ますよ)
・RNNの逆伝播の実装
・LSTMとGRU
・VAEをKLダイバージェンスでなくJSダイバージェンスに変更するとどうなるか
・強化学習の報酬関数の種類と詳細な数式
・Object Detection(物体検出)の各アーキテクチャとIOUの計算方法
・クラスタリングのDBScan や Kmeans++の実装
そのほかにCNNとResnet, 発展の歴史や、固有値分解や主成分分析、カーネル法など出るのは
対策されている方なら把握されているかと思います。
実装と書いたところはプログラムの穴埋めベースでした。このような、現実に開発ではスタンダードな技術がどのように組み込まれるかという出題に寄せてきていたように思います。
逆に、sigmoidやsoftmax関数の数式と逆伝播の式などは、出題はしませんが知っていて当然という風に問題文に組み込む形に変わっていました。憶測でしかありませんが、実用のレベルに達さない知識は今後出題が少なくなるかもしれません。
Kmeansも、Kmeans++のみ詳しく聞いてきたので…
試験までに行った勉強
以下はご参考までに講座受講後から試験まで、私の行った勉強を記載します。受講した講座はAIジョブカレです。
半年前~ひと月前まで
・KaggleのTitanicとHouse Priceで、RegressionとClassificationを30回づつくらい提出。(上位1/3程度でした)
・CNNの独力実装でcifar10の精度を上げようと頑張って78%を出した後、imagenetのデフォルトのResNet50であっさり98%をたたき出されて落ち込む。
・物体検出に関してのみ講座でノータッチだったことに気づき、血球の検出や音符の検出など、英語で探すと見つかる写真とannotationのデータセットを中心に実装をしてみる
1か月前から
・認定講座側で設けられていた輪読会(参加費3000円)に参加し、出やすそうなところの情報を得る(LSTM, GRU, im2col, あとは逆伝播の実装)
・受講した動画(数学、機械学習、深層学習)を見返し。深層学習のみ3周しました。
・修了試験を解きなおし。数学は全て選択肢なしでも満点が取れた方がいいと思います。
以上のような流れで勉強をしていました。
最後にテクニカルな話をすると、
試験は問題数が多いため、わからないものや時間のかかるものは飛ばしてあとから解いた方がよいと思います。
また、問題はあえてわかりづらく聞いてくる節はあります。その時パッと見て暗記してきた中からでは答えが浮かばなくても、概念を理解している人であれば、問題文をよく読んで咀嚼すれば答えの選択肢にたどり着ける親切(?)な作りになっているので、落ち着いて最後まで諦めないでください。
これを読んで対策された方が一人でも合格するよう願っています。