タイトルの通り
担当者一人のIT部署は高確率で破綻する。
ドキュメントは完璧、ソースコードもきれいに整備されている。それでも破綻する確率は高い。なぜか?それは現場のノウハウが担当者の中にしかないからだ。
この1点に尽きる。
例えば
担当者が交通事故で亡くなったとしよう。これはもう引継ぎもくそもない。現存する資料とソースコードだけがすべてだ。代わりに採用された担当者があるがままの資産で仕事ができればいいが、そこは期待できない。資料が整備され、ソースコードが読めたとしても、現場のノウハウを持っているのは元の担当者ただ一人である。交通事故という極端なケースではないとしても、担当者が退職する時にそれまでのノウハウを短い期間で引き継ぐのは事実上不可能だ。この「ノウハウ」と呼んでいる部分は対人関係や過去の業務履歴が含まれる。
一人退職したくらいではびくともしない部署にするために
ノウハウの共有と、担当者Aができることは担当者Bもできるようにすること。つまり担当者は複数いなければ業務の継続性は危ういということだ。担当が複数いてお互いに同じことができること。誰かが不測の事態に陥っても仕事が回るためには、複数いることが絶対条件である。
ノウハウは言語化しにくい
個人が持つノウハウというものは、言語化したり文書化しておくのは難しい。手順が決まっていることを手順書にするくらいなら簡単だが、状況にあわせてこういう時はこうする、といった属人的な判断が必要な部分は、他人に伝わる形では残しにくいからだ。そういうことは経験の中で培われ記憶していくものである。まあ別に担当レベルで所属会社の将来を憂いてやる義理も責任もないのだが、そういう義理や責任を感じる人は最低でも2人以上の体制にするよう上司に掛け合ってみる価値はある。
ただし
担当者一人の部署ということは、行っている業務がどれだけ重要であるかに関係なく、人件費をかけたくない経営的な意思が働いている可能性が高い。属人的なノウハウの価値をどう見るかにもよるが、そもそもそういう価値の重要性がわかっていれば、担当者一人などという体制はあり得ない。よって一人体制を肯定する組織であるならば、将来その部署が破綻する可能性は低くない。1つの部署だけで済む話ならいいのだが、多部門にまたがる仕事をしているケースでは、アクシデント1つで企業がマヒしてしまう可能性がある。
結論
- ノウハウを甘く見ない
- 属人的な情報は複数人で日々の業務を通じて共有する
- 文書化可能なノウハウはできるだけ文書に起こす