はじめに
M5Stackシリーズのモデルの中でも新しめのATOMシリーズ、その中でも表示にLEDが1つしかないATOM Liteは情報も少なく、サンプルやライブラリ等もあまり充実しているようには感じられない。
開発環境の1つであるUIflowを使えるようにセットアップする方法は一度実行できれば特別に難しい訳ではないが、ツール類や用語もアップデートされていたり、何よりいろいろな方法があり理解しずらかった。
忘備録も含めてセットアップ方法を記載しておく。
UIFlowとは
ATOM Liteの開発方法には大まかに2つの方法がある。
-
Arduino IDE
:C++ベースのArduino用開発環境で一番基本的 -
UIFlow
:ブロックを組み合わせてプログラミングするビジュアルプログラミング開発環境
Arduino IDE
とUIFlow
は排他で、どちらか一つしか使えない。
Arduino IDE
とUIFlow
を切り替えるためにはATOM Liteの再セットアップが必要になる場合があるので注意。
ATOM Liteの(再)セットアップ | |
---|---|
Arduion IDE環境 → UIFlow環境 | 毎回必要 |
UIFlow環境 → Arduion IDE環境 | 必要なし |
UIFlow開発環境の2つのモード
UIFlow開発環境にはオンラインモード
とデスクトップモード
がある。
オンラインモード
はインターネットモード
、デスクトップモード
はオフラインモード
やUSBモード
と記載されていることもある。
モード | オンラインモード | デスクトップモード |
---|---|---|
ATOM Lite側の接続 | 無線(Wifi) | USBケーブル |
ユーザー I/F | Webブラウザ | デスクトップアプリケーション (UIFlow-Desktop-IDE) |
特徴 (メリット) |
常に最新バージョンが 使える |
安定した開発環境を構築しやすい |
デメリット | Wifi環境と インターネット接続が必須 |
各PCに設定が必要 |
オンラインモードもデスクトップモードも画面や操作自体はほぼ同じなので、どちらを使うかは個人の好みで良いと思う。
ただし、イベントや展示会のように厳しいWifi環境だったりそもそもインターネット接続がない状況や、多数の人間が集まる勉強会などはデスクトップモードが向いていると思う。
UIFlowのバージョン (2020/10/30 現在)
ATOM LiteのUIFlowのバージョンとWeb版UIFlow、UIFlow-Desktop-IDEのバージョンがあり、それぞれ複数のバージョンが存在する。
バージョン | ATOM Lite用 | ATOM Matrix用(参考) | オンラインモード (Web版UIFlow) | デスクトップモード (UIFlow-Desktop-IDE Windows版) |
---|---|---|---|---|
v1.6.5 | ◎ | ◎ | 〇(β) | - |
v1.6.4 | ◎ | ◎ | - | 〇(β) |
v1.6.3 | ◎ | ◎ | - | - |
v1.4.5.x | Ⅹ | 〇(1.4.5.1) | 〇(1.4.5) | 〇(1.4.5) |
ATOM LiteのUIFlowのバージョンと、Web版UIFlow/UIFlow-Desktop-IDEのバージョンがあっていないと警告が表示されるのでバージョンを合わせるのが前提のようだ。(バージョンを合わせなくても動かないわけではない)
ATOM Matrixと違ってATOM Lite用UIFlowはv1.4.5(.x)がないため、必然的にv1.6.xを使用することになる。v1.6.xはオンラインモードではv1.6.5(β)のみ、デスクトップモードではv1.6.4(β)のみしかないため、最初にオンラインモード(執筆時点ではv1.6.5)を使用するか、デスクトップモード(執筆時点ではv1.6.4)を使用するか決めたほうがいいだろう。
セットアップ手順
環境
下記の環境で確認したが、いずれアップデートされると思われるので参考程度に。
Windows PC:Windows 10 Pro 64bit (1909)
M5Burner:バージョン 2.1.6
UIFlow-Desktop-IDE:V1.0.13
1. デスクトップモード、オンラインモード共通の手順
1.1. M5BurnerをPCにインストール
-
ダウンロードしたZIPファイルを適当なフォルダに解凍してPCにM5Burnerをインストール
1.2. ATOM LiteにUIFlowをインストール
-
ATOM LiteとWindows PCをUSBケーブルで接続
-
M5Burnerを起動する
-
M5Burner画面のATOM Lite用の適切なUIFlowイメージ(
v1.6.x-lite
)を選択して[Download]を押してダウンロードする。 -
M5Burner画面の上部、ATOM LiteのCOMポートを選択、Baudrateを
1500000
に設定後、[Burn]を選択してATOM Liteにイメージをインストールする。この時[SSID][Password]を要求されるが両方とも空白でよい -
最後に"
Burn Successfully
"の文字が出れば終了なので、Close
を選択する。エラーが発生する場合はBaudrate
を小さい数字にすると成功するかもしれない。 -
M5Burnerを起動したまま、続きの手順を実行
2(a). デスクトップモードの手順(続き)
2(a)-1. ATOM Liteのモードを設定
-
ATOM LiteのLEDが
青
になれば成功 -
M5Burnerは終了する。M5Burnerを終了しておかないと、後でUIFlow-Desktop-IDEとATOM Liteが接続できない事がある。
2(a)-2. UIFlow-Desktop-IDEをPCにインストール
-
ダウンロードしたZIPファイルを適当なフォルダに解凍してPCにUIFlow-Desktop-IDEをインストール
2(a)-3. UIFlow-Desktop-IDEの起動
-
UIFlow-Desktop-IDEを起動する
-
左下に"
Disconnected
"が出ている場合はATOM Liteと接続できていないので問題を修正してから"Disconnected
"の右のリサイクルマークのようなマークを選択する。COMポートが間違っていないならば、ATOM LiteとUSBケーブルをいったん抜き差しするとうまくいく場合がある。
2(b). オンラインモードの手順(続き)
2(b)-1. ATOM Liteのモードを設定
-
[
Start Mode
]を"Internet Mode
"に変更して、Wifiの[SSID
][Password
]にATOM Liteを接続させるWifiアクセスポイントの接続情報を設定して[Save]を押す。(ATOM Liteは2.4GHzのみなので注意) -
ATOM LiteのLEDが
赤
→緑
になれば成功。ATOM LiteのLEDが赤
のままで緑
にならない場合、[SSID
][Password
]が間違っているなどしてWifiの接続が失敗している。 -
M5Burnerは終了する。
2(b)-2. UIFlowオンラインの起動
-
UIFlowオンラインに接続
-
先ほど控えておいた
ApiKey
を入力、Languageに日本語
、DeviceとしてATOM Lite
を選択して、[OK]ボタンを押す