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DXとQAの交点

Last updated at Posted at 2021-07-23

1. はじめに

DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実」を拝読していたところ以下の図が目に留まり、筆者はDXは専門外ですがQAの活動と重なる部分があるように思いました。

自社組織のDXは「目的」ではなく「手段」
DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実
https://note.com/naoto111/n/nebd8adf8e69e

2. 顧客へのより高い価値提供

品質の向上は、1)魅力を増やす、2)不具合を減らす、の両輪でもたらされます。

テスト担当者としては、不具合を減らすことで顧客満足度を向上させることが主な仕事になる。しかしプロジェクトマネージャが納品間際に非常に有用な機能を盛り込んだとしたら、プログラムの信頼性は下がるかもしれないが、製品の品質は向上する。魅力と不具合は両方で品質を決めているもので、どちらか一方が絶対というわけではない。
基本から学ぶソフトウェアテスト p.60

図に表すとこんな感じでしょうか。
quality one-dimensional model

3. QAの活動

QAの定義は諸説ありますがここでは「XP祭り2019 B-6 アジャイルソフトウェア開発への統計的品質管理の応用」のQAの説明を引用します。

品質管理と品質保証
品質管理と品質保証
XP祭り2019 B-6 アジャイルソフトウェア開発への統計的品質管理の応用
https://www.slideshare.net/sakataakinori/xp2019-b6 pp.50-51

「品質保証(QA)とはお客様の求める品質を会社として請け合うための諸々の活動です」で挙げられている4つのプロセスを「品質=魅力-不具合」で整理すると、QAの活動は以下の3通りあります。

  • 魅力を増やす
    • 目標の品質(=お客様が求めるであろう品質)を設定
    • ソフトウェアをお客様、市場へ提供、反応を採取(目標の品質へフィードバック)
  • 不具合を減らす
    • 品質管理をともなったソフトウェア開発
  • お客様へ提供する
    • 品質保証部門の検証により、お客様、市場への提供可否判断

4. 「魅力を増やす」と「不具合を減らす」の両立

「品質は大事である」といっても様々な部門で分業し部門ごとに求められる役割が異なるため品質の取り組みは個別最適化されます。一例として企画部門とカスタマサポート部門の役割を挙げます。

  • 企画部門:新たな魅力を提案して新たな顧客を創造する1
  • カスタマサポート部門:顧客の困りごとを解消して顧客満足を高める。

どちらの役割も大事ですがターゲットが「新規顧客」「既存顧客」と異なっています2。総論として「品質は大事である」といっても個別最適では各論レベルで足並みが揃わない可能性があります。

5. QA = グルーロジック

個別最適がイマイチなら全体最適を図るのは自然な発想でしょう。様々な部門から独立している立場を活かして品質に関して全体最適で調整するのもQAの役目です。

電子回路に「グルーロジック」という回路ブロックのあいだに入ってバスのアービトレーション(調停)やバスブリッジ、信号変換などを行う回路があります3。CPUや周辺回路と比べると目立たないですがグルーロジックが回路ブロック同士を接続(糊付け)することで回路全体がシステムとして機能できるようになります。
glue-logic.png

品質に関してステークホルダが全体最適で動けるように諸々を調停する点でQAはQMS(Quality Management System)のグルーロジックといえます。

6. DXとQAの交点

プログラマやテスタがプログラミングやテストの専門スキルを活かして品質を作るのに対して、QAはソフト開発の専門スキルを活かしてQMSを回します4。前出の「DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実」の図に対応するQAの活動例を挙げます。

  • 業務効率化:設計ツールやテストツールの開発、導入、運用、QMS規程類の改廃
  • 付加価値向上:目標の品質を設定し、商品開発をQAが後押しすることでの商品の魅力向上
  • 意識改革:品質文化の醸成、アップデート
  • スキル教育:技術者教育

7. DXの制度設計とQAの組織デザイン

前出のDXの図における「支援制度」「評価制度」をQAに当てはめるとこれらはQA組織より上位のレイヤで扱う話、組織のトップやリーダーがQA組織をどうしたいと考えているかだと思います。ただトップやリーダーは必ずしも品質の専門家ではなく、QAは彼らの知見を深めて視座を上げる後押し役というのはあると思います。

8. おわりに

  • 品質に関してどこの部門ともつながることができるQAはDXのキーなのかもと思いました。
  • QAの諸々の活動は今時のパラダイムでできるように変化を促す側面があるのですが、変化に対するベネフィットの説明が難しいと思うことがあります。この記事を書いていてDXが難しいと言われる理由の一つはこれなのかなと思いました。
  1. 参考:「企業の目的は、顧客の創造である。」(マネジメント【エッセンシャル版】 p.16)

  2. ここでは特徴を際立たせるために意図的に極端な書き方をしています。実際は既存顧客、新規顧客のどちらも大事です。

  3. 参考:第37回 システム統合を可能にする最新開発ツール(後編)

  4. 思考実験:AQUAフレームワークの品質保証兵站への応用-X. 付録:品質保証兵站も併せてご覧ください。

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